不幸な少女の”日常”探し

〚第三章〛〜家族編〜

〚45話〛「妹」

　本当に…怖かった…、本当はこれは夢で、目が覚めたらまたあの生活に戻ってしまうのではないか、そんな思いが2年経った今でも頭から離れない。
　
　この世界の僕の母親である人から…怖くて離れることが出来なくなっていた。
　
　母親は甘えん坊だとか怖がりだとか、微笑って僕を抱きしめてくれた。
　
　…そんな母親が僕は好きになっていた。
　
　
　
　
　
　
　
　僕が２歳になって三ヶ月経った頃。
　
　母親の大きかったお腹はだいぶもとの大きさに戻っていた。
　子供が産まれたのだ。
　妹だった。
　
　母親が妹を抱っこしているときに、僕は妹に触れてみた。
　ふにふにしてて可愛かった。
　
　妹が産まれてからは大変だった、夜泣いたりした時は母親があやしに起きたり。
　訳もわからず泣いている時はもうどうしていいか分からず困ったり。
　
　僕はあんまり泣かなくて手の掛からない子だったらしい。
　
　
　
　
　妹がハイハイできるようになった。
　僕は妹と良く遊ぶようになっていた、父親も妹が可愛くて仕方がないらしい。
　今日は仕事休む、などと言いながら妹と遊んでいると母親によく怒られたりしていた。
　
　ふと、本当にたまに…無垢な妹を触ろうとすると、こんな穢れた僕なんかが触っても良いのだろうか…そんなことが頭をよぎった。
　
　よく僕は母親の側に居るので家事の手伝いをしていた。
　母親は手伝いをしている僕をよく褒めて、撫でてくれた、それが嬉しくて手伝いをするのが楽しかった。
　
　三年間宿屋で皿洗いやシーツを洗ったり、布団を干したり、料理を作ったりしていたので、家事は得意だった。
　ただ初めの頃は、母親が教えてないのに家事が殆ど出来ていたのを見て驚いていたけど、母親のをいつも見ていたから…と、言ったらなんとか誤魔化せた。
　
　今では家事の３分の１を僕が手伝っていた。
　表で遊んでもいいのよ？と言われた事もあったが、…正直家から出たくなかった。
　
　「あうあうっ」
　
　今は妹と遊んでいるところ。
　妹が立ち上がろうとしてたので、僕は妹の手を握って上げるとなんと立ち上がったのだ！
　
　「お…、おかーさんっ！」
　
　僕はキッチンで昼ご飯を作っていた母親に向かって大声で叫んだ、勿論妹がビックリしない程度に。
　
　「はいは～い、　　　　なに？どうしたの？って、ええッ！？リーネちゃんもう立てるようになったの！？」
　
　リーネは妹の名前だ。
　ちなみに僕はナナ。
　
　「ういー」
　
　妹がドヤ顔をした…気がする。