不幸な少女の”日常”探し

〚第三章〛〜家族編〜

〚54話〛「過去Ⅰ」

　もう一度だけ………………信じてみよう。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　「…お母さん‥」
　
　「ぅん…？」
　
　「‥えっと……」
　
　いざ話そうとすると何処からどうやって話していけば良いのか分からなくなっていた。
　
　僕は転生者なんだ？
　
　こんな言い方で伝わるのか？
　
　違う世界なんて意味はわかるのか？
　
　違う世界の人間なんだ？
　
　ここに産まれた…転生したのでここの世界の住人なのでは？
　
　「‥ゆっくりでいいのよ…」
　
　それを聞いたと同時に僕は、口を開いていた。
　
　
　
　
　
　
　
　””
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　私はてっきり奴隷商に連れて行かれたと話すと思っていた。
　
　「…こんな事言っても…信じてもらえないだろうけど……僕には、前世…前の世界の記憶があるんだ」
　
　ただ答えは私が予想していないような事だった。
　
　「前の世界の…？」
　
　前の世界のとは何だろうか、そんな疑問が浮かんでいた。
　
　「…この世界とは別の世界、」
　
　この世界の住人だって、別の世界があったらな～なんて考えられるほどには別の世界という概念はあった。
　
　ただそれが現実にあるとは信じ難かった。
　
　…でも、私はただ黙って娘の話を聞いていた。
　
　
　
　
　娘の話を聞く限り、これまで３つの世界を転々としてきたらしい。１つ目は地球という星の日本という国の一人娘として、陽彩という名前で。
　
　家族は無責任な両親のもとに生まれ、母親は陽彩が13の時に他の男のところへ行き帰ってこず。父親は飲んだくれて娘に暴力や性的なことをし。
　
　学校では他の生徒からイジメを受け、学校の先生はそれを無視し、男の担任の先生からは、成績表と言うのを脅しに、性的な暴力を受け、帰ってからは父親の暴力があり、食事は父親の残した僅かな残り。
　
　学校は将来職につくために必要な所らしく、そこを卒業しないと殆ど職が無いらしい。
　
　成績表はその学校を卒業するのに必要なものだったらしい。
　
　ただそんな生活でも楽しみはあったらしい、父親のパソコン？と言うのでこの世界のような別の世界の事を書いた小説を読むのが楽しみだったらしい。
　
　だけどそれがバレたことが原因で家を出てそこで車という乗り物に轢かれて死んだらしい。
　
　それを聞き終えた私は泣きながら娘を抱き締めていた。
　そんな状況でありながら生きようと必死だった娘が凄かった、私ならそんなのは耐えられなかった。
　
　「辛かったね……」
　
　「…うん‥、でも…まだあるんだ」
　
　「………ぇ‥？」