不幸な少女の”日常”探し

榊原

文字の大きさ
73 / 227
〚第三章〛〜家族編〜

〚70話〛「血を流しに」

しおりを挟む

 さて!と、お母さんがボアを解体し始める。
 僕もそれを手伝う、肉以外の部位は鞘や防具、武器や服になったりする、ボアは何に使うかわからなくもないが、それをギルドや商店などに売るとお金になる。
 
 肉は地面に埋めておく。他の魔物が寄ってくるし、これを食べるとレベルが上がったり魔素を増やしたりして魔物がつよくなってしまう。それにもし魔物が来なかったりしてもここをたまたま通りがかった冒険者が不快な気持ちになったり、もし腐敗していたら腐敗臭が酷く森が汚くなってしまう。
 マナーが良くないので地面に埋めておくのだ。
 まあたまにマナーが宜しくない人が放置していたりするが。
 本当は冒険者達はギルドのルールで死骸を放置してはいけない決まりがあるので普通なら罰則があるのだが。
 正直誰が放置したかなんて受付嬢が見ない限り分からないし、目撃者が居ても嘘か分からないので、殆ど罰することが出来ていないのが現状だが、よほどマナーがよろしくない人でない限りしっかりと片付けはするのだが。
 
 地面に埋めておくと魔素は開放され空気中に戻り、肉はこの森の養分となるのだ。
 たぶん地中の微生物が働いて分解してくれるのと、魔素は酸素見たいな扱いだろう、酸素は普通に空気中にあるが、濃い酸素だと毒になる…的な。
 
 まあ取り敢えずボア戦前に回避練習も受け身練習もしたしこのボアの解体し終わればあとは売りに行くだけと。
 そういえば少し曇ってきた…というかいつの間にか曇っていた。
 
 「いつの間にか曇ってるわね?」
 
 「そうだね、……?あれ、降ってない?」
 
 なんかポツポツ降ってるような、肌に雫が当たる。
 
 「あっ!いけない!」
 
 「どうしたの?」
 
 洗濯物干しっぱだったような…。
 
 「洗濯物干しっぱだわっ!」
 
 それはまずい。
 だがこちら(解体&埋める&売る)も放れない。
 
 よほどテンパっているのか解体用のナイフを握りながらおろおろウロウロしてる。
 
 刃物持ちながらは流石に危ないので刃物を受取り、解体途中の魔物を見る。
 
 ほとんど終わっているのでまああとは僕でも大丈夫だろうと。お母さんに洗濯物行ってきていいよ、あとは大丈夫と言ってやると。
 
 気を付けることを一通りきっちりと伝えたあと猛ダッシュで家へと向かっていった。
 
 
 
 
 解体は思ったよりも力がいる仕事で想像通り丁寧さも必要だ。解体のし方によっては売れなくなってしまう事があるのだ。
 なので丁寧さも必要で力も必要、そして地味にグロ耐性も必要なので意外と大変。解体作業が何気に一番大変じゃないだろうか…なんて考えている内に解体を終え、お母さんが持ってきててくれたシャベルで穴を掘っていく。
 
 穴は肉全体が埋まるほど掘らなくてもいいらしく、半分程度埋れば、あとは掘った分の土を掛ければ終了だ。
 手のひらが血で真っ赤なので本当は水魔法で落としたいところだけど、私は何故か魔法が使えないので、すぐ横を川が流れているのでそこで洗うことにする。
 
 盗まれたり食べられるといけないので、汚れないように端をつまみ上げ、脇に挟んで運んでいく。
 多少の血は良いけどあまり毛皮の表面に目立つようだと売ったときに値段が少し下がってしまうのだ。
 
 それを横に置き、川に手を突っ込んだ。川はすごく浅く、手首辺りまでしか水深が無い。なので魔物心配もない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...