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〚第四章〛〜絶望の底編〜
〚87話〛「耐え凌ぐ」
しおりを挟む何時間たっただろうか。僕は死んだら転生する事すら忘れてしまっていた。死ぬことが怖かった。
だからナメクジのような異形の足音が聞こえて、急いで階段を降りて行く。
そして気付く、ここは異形の巣窟だった事を。
ムカデの異形、脚が人の手で、ムカデの頭には人の顔が付いていて、口角にはムカデの牙がついていた。サイズはナメクジのような異形と同じで高さが人一人と同じ大きさで、ムカデは身体が長いので余計に大きく見えていた。
甲殻の色は赤黒く、不気味に浮き出た血管が波打っている、そしてムカデの脚、手も赤黒く、所々にムカデの甲殻が疎らに生えていた。僕を見た異形のムカデの人面は、不気味に笑っていた。
ワラジムシの異形、ワラジムシの脚は、人の手足バラバラについており、関節に人の耳やら鼻が付いていて気持ちが悪く。これも同じくワラジムシの頭の位置には人面が付いていていた。
この異形達の人面は、女のような男のような年老いていたり若いような不気味な顔をしていて、その顔は決して整ってはいなく、右目が眉毛の位置にあったり、浮き出た血管で目が潰れていたりと気持ちが悪いのだ。
ワラジムシの人面は若い女の顔のようだった。甲殻は薄茶色で他の異形達と比べると比較的スッキリした甲殻だった。
ただ、左目が3つある、それとムカデの異形と近くに居たのだが、争う様子がなかった。
同じワラジムシ形の異形でも人面や脚が違ったり、完全にバラバラだった。それからミミズの様な異形見かけたりした。
心身共に疲れ果てて居ると、壁に亀裂が走っていて、その隙間にギリギリ入れたので、僕は現在逃避をする様に目を瞑ろうとした。
しかしいつ見つかるかわからない恐怖で目が閉じられなかった。
この亀裂は入り口が僕がギリギリ入れる大きさで、中には寝れるぐらいの広さがあった。
壁の亀裂は沢山あったが、中がこんなに広いのはここが初めてだった。
ここの異形に挑まないのは勝てないのがわかっているからだ。ステータスの消失した僕に、高難易度ダンジョンの深下層の異形達。これだけでも勝てないのがまるわかりだ。
…ただ、あんな高い所から落ちて死ななかった事と治癒を魔力枯渇せずに使えた事を考えると消失の意味が少し変わってくるけど。
途中異形を見かけた時にスキル:鑑定を使おうとしたが気付かれるかもしれない恐怖からか、発動出来なかった。
なのでレベルは不明で種族も魔物なのかさえも分からないままだ。
ただ、今は。
怖いよ………死にたくない…………。
足音が通る度に死の恐怖に耐え続けるのだった。
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