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〚第四章〛〜絶望の底編〜

〚93話〛「ボロボロの階層」

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 な……なんだよ……あれ………ッ。
 もう…訳が分からなくなって…ッ!。
 
 あれ以来異形の肉を食うことがトラウマになっていた。もう口に含む事も出来ないので噛むこともできない。
 
 なのでムカデの異形の牙を使って殺し続けている。だがいつかは喰わなければまたおかしくなってしまう。
 あの空腹感を耐えられる自信はない。
 
 僕は迷いながらも、今日も異形達を殺していた。
 
 例え迷っていたとしても何日も経てば空腹はやってくる。迷っているうちに…日に日に空腹感は増してゆく。
 
 僕にはそれが恐怖でしかなく、日に日に増してゆく空腹に、不安は大きくなってゆくばかりだった。
 
 そんなある日だった。
 探しても探しても異形が見当たらなくなったのだ。つまり、遂にこの階層の異形を狩り尽くしたのだ。
 
 思っていたような達成感はなく、次の階層へ向かおうと、最後に狩ったナメクジのような異形の体液を身体に塗った。
 
 これで臭いでよってくることは無いはずだ。下の階層に何がいるか分からないので念を入れておく。もしかしたらこの階層と同じ異形の可能性がある訳だけど。
 
 取り敢えず下の階層へ行く階段は見つけていたので、そこへ向かった。
 
 階段を降りている途中、やけにボロボロで亀裂が走っていることが気になっていた。
 
 階段を降りきようとした時、そこには一面銀色の水で埋まっていた。
 
 「…これは、魔導ミスリル…?」
 
 いつか、冒険者でレベル上げをしていた頃、ダンジョンの罠部屋に魔導ミスリルがあったことがある。それを魔導ミスリルだと教えてくれたのは……………誰だったか。
 
 それよりこの魔導ミスリルの水面をどうしようか。いや、どうしよもないか。
 
 僕なんかの意識じゃ簡単に呑み込まれるだろ。
 
 引き返して僕が目覚めた最初の階層を探ってみることにする。もしかしたら他に洞窟が広がっているかもしれない。
 それに僕が落ちた所に上に上がる手掛かりが……………
 
 上に上がる手掛かり…………?僕は強くなるためにこの異形達を…………?僕が落ちた………?僕は…誰かに……落とされた…ような…………?
 駄目だ、思い出せない。
 
 だけど…僕は強くならなくちゃいけない…そう思って。………あれ?なんでだっけ?
 
 そうだ、異形達に喰われて…殺され続けたから、喰われないために強くならないと。
 
 そういえば…僕は死なないんじゃ無いか。なら、魔導ミスリルに殺される事はあっても死ぬことはない………なら。 
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