不幸な少女の”日常”探し

〚第四章〛〜絶望の底編〜

〚117話〛「純白の聖竜」

　魔竜や如意輪観音は僕が死ぬと、魔竜は消え、如意輪観音はまた胡座をかき頬杖をついた。
　僕の身体が灰から肉へと戻るのに気付かず。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　気配感知に引っ掛かる辺りまで、身体が戻ると如意輪観音はこちらを見下ろし、魔法を発動しようと六本ある腕の内の一本をこちらに向けた。
　
　僕は未来視が発動しないのと、魔方陣が未だ途中までしか描かれておらず、魔法発動まで少し隙のある魔法だと思い、治癒を掛けているので、身体を動かさないで移動できる転移で避けようと、僕の足元に転移の魔方陣が描かれ始める。
　
　その瞬間、未だ途中の魔方陣の筈なのに未来視が発動し、僕の方へ黒い残撃が飛んでくるのが見えたが転移を速めることも中断することもできない。
　そして、
　
　転移後の僕の左腕は無くなっていた。
　
　意味がわかるまで数秒かかった、何故あんな中途半端な魔方陣の状態で発動できたのか。
　それはきっとどこかのプロセスを飛ばすか完了させずに撃ったからだろう。威力の制御とかなにかを。
　
　如意輪観音は完全に遊んでいる。殺す気なら僕の胴体か首を狙えばいい…それにこの数秒なにもしてこなかったのだ。
　黒竜を呼ばないのは魔力がキツいからかただ単に遊んでいるだけなのか…。
　
　相手が完全にお遊び状態でこれなのなら、戦う気になったら僕に勝ち目はない。そもそもお遊び状態で勝てないのだ。
　
　なら…。
　
　僕は、召喚する魔物の大きさが分からず使うのを躊躇っていた、【スキル：神竜召喚】を発動する。
　
　
　
　
　
　
　
　その瞬間。
　
　
　
　
　
　
　
　
　僕の気配感知がこの空間全てが埋まったのが見えた。そして紫色の魔力感知の光が魔法陣を描く。
　
　”虹色の線が”何重にも絡み合い、それが魔法陣を描いてゆき、千を超える魔法陣が何重‥幾重にも重なっていき、それが大きな魔法陣を描く、そして凄まじい高音がこの空間に響き渡り、光が止むと同時に純白を主とした虹色に輝く姿の神々しい竜が…姿を現した。
　
　如意輪観音の身の丈を僅かに越える程の大きさを持つ純白のドラゴンはその大きな姿で、僕と如意輪観音の間へと現れ、その純白の翼を大きく開いた。