不幸な少女の”日常”探し

〚アフターストーリー〛〜不幸な少女のその後〜

〚3〛「誰」

　ん？誰だ、あれ。なんか僕ん家の前に誰か居る。
　
　女…男か？
　
　立ち止まり鑑定を発動する。
　
　――椎名 日向。
　
　誰…？あ、いや、たしか…母親の今の名字が椎名だったような…。
　と言うことは不倫相手との子供…か…？なぜ僕の家に…。
　
　「お姉…ちゃん？」
　
　そいつは、立ち止まっていた僕に気付いたようで、こちらに向かってきた。
　
　「仮止さん…ですか…？」
　
　仮止は僕のこの世界の名前だ。
　
　「そうだが…お前は？」
　
　「えっ…と…椎名…日向と言います…お母さん…椎名璃紗さんに言われて…来ました」
　
　何で母親にさん付けなんだ？まあそれよりもこのきったない格好は。
　
　「あの…」
　
　「なんだ」
　
　「仮止奏さんは…」
　
　「ああ、父親なら離婚のショックで別の所で一人暮らししてるな」
　
　「そう…ですか」
　
　日向は俯き苦しそうな顔でポツリポツリとここに来たわけを話し出した。
　
　「家を追い出されてここで暮らせと」
　
　「はい…」
　
　「はぁ……」
　
　あの母親一回半殺しにするか？
　
　「まあいい、今鍵開けるから入れ」
　
　「…ありがとう…ございます」
　
　鍵を開け玄関で靴を脱ぐ。
　
　「あー…っと」
　
　どうするか……湯船溜めて無いからシャワーだけでも浴びせるか。
　
　「部屋に入る前に風呂に入ってくれないか？悪いが浴槽は溜めて無いんだが」
　
　「分かりました……汚い…ですよね」
　
　「服は…僕ので構わないな？男物ぽいのもあるし、パンツは……買ってくるから待ってろ」
　
　取り敢えずお湯が出るようにして着れそうな服をまとめて脱衣所に置いといてダッシュでコンビニに向かった。
　
　勿論買ってきたコーラとかは置いてきた。