上 下
206 / 227
〚アフターストーリー〛〜不幸な少女のその後〜

〚26〛「ジュエリー•オルクス•オニキス」

しおりを挟む

 それから1年。
 
 父親も暮らし始め、生活が安定してきた頃。
 
 「柚希、バフがけよろしく」
 
 「任せるのじゃ」
 
 「日向は序盤の麻痺と毒よろ」
 
 「分かった」
 
 指示を出し、一気に飛び出す月那。
 
 最初にタゲを取るためだ。
 
 ガァァンッ!
 
 金属音が響き、巨大な鉱石の腕に月那のレイピアが当たる。
 
 本当は真ん中の少女に当てたかったのだが。
 
 もう一方の腕での追撃が来て、それを避けるため一旦下がる。
 
 まさかとは思うが……。
 
 「こいつ…動かない系の魔物か」
 
 その場から一歩も動かない魔物。
 
 遠距離は魔法や飛び道具、至近距離は強力な腕という攻撃方法らしい。
 
 魔法陣が描かれ、黒い鉱石が飛んでくる。
 
 それを3人で避けると日向が突っ込んだ。
 
 麻痺の属性を持つ片手剣と、毒の属性を持つナイフを使い、ひたすらに切る。
 
 状態異常は最終的には手数が多いほうがいい。
 
 そして先に麻痺が入った。
 
 その隙を逃さず、柚希が後方から大魔法、僕は突っ込み、スキル【終極】を使う。
 
 スキル【終極】は、スキル熟練度を最終まですると出るスキルで。一度だけスキルをカスタマイズ出来る、そのスキルの威力はカスタマイズに依存する。
 
 ちなみに僕のスキル【終極】は、クリティカル確定の超多段ヒットする一撃だ。
 
 ステータスをSTRにのみ振っているため、クリティカルダメージアップ、攻撃力アップが僕のキャラに効果を発揮している。
 
 なのでこのスキルによるダメージは、ダメージ表記MAXで、それの多段ヒット、何度もダメージが出る。
 
 このボス、ジュエリー•オルクス•オニキスのHPゲージの三分の一を削れていた。
 
 「相変わらず月那のダメージはえげつないのう」
 
 後から来た炎の柱が更に敵のHPを減らす。
 
 「お姉ちゃんのスキル構成も凄いしね」
 
 そして日向の毒の状態異常が入った。
 
 ジュエリー•オルクス•オニキスは子供が真ん中に、周りに黒い鉱石が取り囲んでいる形になっており、真ん中の子供は、何をしても俯いて泣いている状態のままで。
 
 このボスはこのゲーム、ジュエリー•オルクス•オンラインのラスボスなのだ。
 
 レベルは999。
 
 このゲームの今開放されている最大レベルは780。
 
 レベル的に難易度は跳ね上がって、とても高難易度となっている。
 
 そしてこのボスを倒せばレベル開放。
 
 999まで上げれるようになる。
 
 そんな戦いをしているのだ。
しおりを挟む

処理中です...