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6話 決断と不安
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ソフィア様とアリサさんが帰った後、とりあえずは皆で夕食を食べ、各々が体を清めたり考えをまとめたりして再びリビングに集まる。しかし、俺はまだ提案を受けるべきか断るべきか決断できていない。そんなあいまいな考えから提案を受けた時のデメリットがふと口から出てしまう。
「もし提案を受け入れたとして、俺がソフィア様のところに行っている間、母さんとニア姉さんは今まで俺が狩ってきていた肉とかがなくなるから生活が辛くなるんじゃないの?」
「お姉ちゃんとしてはそんなことはどうでもいいの、セトと長期間離れ離れになることのほうが気がかりだし、心配なの。でも、そんなこと言って縛り付けるのは、いや、でも…」
どんどん小声になって自問自答を始めている。ニア姉さんもどうすべきか悩んでいるようだ。でも、俺としても家族と離れ離れになるのは嫌だし断るべきだ。そう思い、口に出そうとしたら
「セト、あなたは学院に行きたい? 私たちのことは抜きにして」
母さんからストレートに自分の気持ちを直接聞く質問が飛んできた。母さんたちのことを無視するとだと。それ抜きで考えると色々な人と交流ができ、独学では不可能なレベルまで魔法や剣の技術、その技術についての深い理解、その他の事柄の学び、そして将来的には様々な選択肢が広がる気がする。
(ここまでメリットが浮かんでくるということは学院に行きたいと思っているのか?)
そう考え、震える声で
「行ってみたいと、そうっ、思っています」
「そう、ならばそうなさい。あなたは自分で手繰り寄せたチャンスを不意にしてはなりません」
この返答は分かっていた。俺が行きたい、と言えば母さんはもちろん後押しをしてくれると分かっていた。でもやはり家族が心配だ。
「でも、母さんたちは…!」
「私たちは、セト、あなたの足かせにはなりたくないです。私たちのことは自分たちで解決して見せます。あなたは新たなやるべきことに尽力しなさい」
いつもは優しく何でも受け止めてくれる母だが、今は覚悟が決まった親の顔をしている。ニア姉さんも母さんの言葉にうなずいて自分を後押ししてくれている。ここまでしてくれたのを無下にするやつは大バカ者だ。
「ありがとう、母さん、ニア姉さん」
そう言ったとたん、二人への感謝とこれからは二人と長期間会えなくなってしまうという事実に悲しくなり涙を流してしまう。二人は立ち上がりそんな僕を抱きしめてくれた。
◆
「アリサ、先の私はどうだった?」
「ええ、今日のソフィア様は『いつもよりは』落ち着きを持って話し合いをされていたかと思います」
「うぅぅ、手厳しい。いつも、迷惑かけてごめんね」
「そう思うなら少しは自由奔放なところを直して欲しいですね」
私、ソフィアは現在セト様への提案を終えて馬車の荷台に乗って家に帰っている途中だ。昨日は私も弱っていたためナッツ村で一晩過ごしたため、あの事件が起きてから家に帰るのはこれが初めてであり、お父様から叱られるのが目に見えており少し怖い。
―ああ、自分で馬に乗って好きな場所に好きな速さで行きたい。
普段ならば愛馬に乗って帰路につくが勝手にベイツ森林に行ってあろうことか他人様にご迷惑をかけた罰として愛馬に乗ることは当分禁止されている。わざわざ私たちを迎えに来てくれた御者の方には頭が上がらない。
「全くソフィア様は昔から自分の興味があるとすーぐにこちらに相談もせずやりたい放題するんですから。で、今回はなんでまたベイツ森林に行かれたのです?」
「ほら、あそこって初学者にとって最適な実力試しじゃない。だから行ってみたのよ」
「……本当は?」
「入試のための勉強と訓練だけで飽き飽きしちゃってた」
まあ、実力試しというのも嘘ではないけど、入試まであと1年切ったからって勉強ばかりで退屈だもの。
「それでセト様にも受験のための訓練を共にしてもらうことで自分のモチベーションを保とうとしたと。まあ、プロヴァンス家としては少し痛い出費ですが、ソフィア様の命の恩人ですからお父様もあの提案を許した感じですね」
本来ならばお父様かお母様がセト様のところに出向いてお礼なりをお伝えするべきなのだが、急遽お父様から手紙が来て、要約すると『自分の不始末は自分でつけろ』とあったのだ。急いでお礼の内容を考えて手紙を出したところ小言を書かれながらも許可するという旨の返事が来た次第である。
「まあ、今日はお父様にたっぷり絞られるでしょう、覚悟しておいてくださいね」
「えー、助けてよぉ」
「明日になっても気持ちが引きづっていそうなら少しは慰めてあげますよ」
いつものようにアリサとそっけなく、でも私を思いやってくれていることに感謝しながら会話を弾ませていると、
「そろそろ着きますよ」
と言われた。服を整え直し、怒られる準備をしてお父様の元に向かった。
◇
雲一つなくすっかりと晴れた翌日の正午ちょっと前、プロヴァンス邸入り口にて。
「ソフィア様、準備はよろしいですか」
「大丈夫よ」
「今朝は少しどんよりした顔でしたが、今は大丈夫そうですね」
「ええ、これからセト様に会いに行くのですからそんな情けない姿見せられないわ!」
「良い心構えです。厳しいことを言いますが、提案をセト様に断られる場合のことも考えておいてください。その時にもその意気込みを忘れずにいてください」
「わかっていますよ…」
―あぁ、どうか受け入れてくれますように。アリサは私がやる気を出すためだけにセト様を誘ったと思っているようだけど、それは違うの。何かこの人をもっと見ていたい、近くにいたいと何となく感じたの。だからどうかお願いします。
「もし提案を受け入れたとして、俺がソフィア様のところに行っている間、母さんとニア姉さんは今まで俺が狩ってきていた肉とかがなくなるから生活が辛くなるんじゃないの?」
「お姉ちゃんとしてはそんなことはどうでもいいの、セトと長期間離れ離れになることのほうが気がかりだし、心配なの。でも、そんなこと言って縛り付けるのは、いや、でも…」
どんどん小声になって自問自答を始めている。ニア姉さんもどうすべきか悩んでいるようだ。でも、俺としても家族と離れ離れになるのは嫌だし断るべきだ。そう思い、口に出そうとしたら
「セト、あなたは学院に行きたい? 私たちのことは抜きにして」
母さんからストレートに自分の気持ちを直接聞く質問が飛んできた。母さんたちのことを無視するとだと。それ抜きで考えると色々な人と交流ができ、独学では不可能なレベルまで魔法や剣の技術、その技術についての深い理解、その他の事柄の学び、そして将来的には様々な選択肢が広がる気がする。
(ここまでメリットが浮かんでくるということは学院に行きたいと思っているのか?)
そう考え、震える声で
「行ってみたいと、そうっ、思っています」
「そう、ならばそうなさい。あなたは自分で手繰り寄せたチャンスを不意にしてはなりません」
この返答は分かっていた。俺が行きたい、と言えば母さんはもちろん後押しをしてくれると分かっていた。でもやはり家族が心配だ。
「でも、母さんたちは…!」
「私たちは、セト、あなたの足かせにはなりたくないです。私たちのことは自分たちで解決して見せます。あなたは新たなやるべきことに尽力しなさい」
いつもは優しく何でも受け止めてくれる母だが、今は覚悟が決まった親の顔をしている。ニア姉さんも母さんの言葉にうなずいて自分を後押ししてくれている。ここまでしてくれたのを無下にするやつは大バカ者だ。
「ありがとう、母さん、ニア姉さん」
そう言ったとたん、二人への感謝とこれからは二人と長期間会えなくなってしまうという事実に悲しくなり涙を流してしまう。二人は立ち上がりそんな僕を抱きしめてくれた。
◆
「アリサ、先の私はどうだった?」
「ええ、今日のソフィア様は『いつもよりは』落ち着きを持って話し合いをされていたかと思います」
「うぅぅ、手厳しい。いつも、迷惑かけてごめんね」
「そう思うなら少しは自由奔放なところを直して欲しいですね」
私、ソフィアは現在セト様への提案を終えて馬車の荷台に乗って家に帰っている途中だ。昨日は私も弱っていたためナッツ村で一晩過ごしたため、あの事件が起きてから家に帰るのはこれが初めてであり、お父様から叱られるのが目に見えており少し怖い。
―ああ、自分で馬に乗って好きな場所に好きな速さで行きたい。
普段ならば愛馬に乗って帰路につくが勝手にベイツ森林に行ってあろうことか他人様にご迷惑をかけた罰として愛馬に乗ることは当分禁止されている。わざわざ私たちを迎えに来てくれた御者の方には頭が上がらない。
「全くソフィア様は昔から自分の興味があるとすーぐにこちらに相談もせずやりたい放題するんですから。で、今回はなんでまたベイツ森林に行かれたのです?」
「ほら、あそこって初学者にとって最適な実力試しじゃない。だから行ってみたのよ」
「……本当は?」
「入試のための勉強と訓練だけで飽き飽きしちゃってた」
まあ、実力試しというのも嘘ではないけど、入試まであと1年切ったからって勉強ばかりで退屈だもの。
「それでセト様にも受験のための訓練を共にしてもらうことで自分のモチベーションを保とうとしたと。まあ、プロヴァンス家としては少し痛い出費ですが、ソフィア様の命の恩人ですからお父様もあの提案を許した感じですね」
本来ならばお父様かお母様がセト様のところに出向いてお礼なりをお伝えするべきなのだが、急遽お父様から手紙が来て、要約すると『自分の不始末は自分でつけろ』とあったのだ。急いでお礼の内容を考えて手紙を出したところ小言を書かれながらも許可するという旨の返事が来た次第である。
「まあ、今日はお父様にたっぷり絞られるでしょう、覚悟しておいてくださいね」
「えー、助けてよぉ」
「明日になっても気持ちが引きづっていそうなら少しは慰めてあげますよ」
いつものようにアリサとそっけなく、でも私を思いやってくれていることに感謝しながら会話を弾ませていると、
「そろそろ着きますよ」
と言われた。服を整え直し、怒られる準備をしてお父様の元に向かった。
◇
雲一つなくすっかりと晴れた翌日の正午ちょっと前、プロヴァンス邸入り口にて。
「ソフィア様、準備はよろしいですか」
「大丈夫よ」
「今朝は少しどんよりした顔でしたが、今は大丈夫そうですね」
「ええ、これからセト様に会いに行くのですからそんな情けない姿見せられないわ!」
「良い心構えです。厳しいことを言いますが、提案をセト様に断られる場合のことも考えておいてください。その時にもその意気込みを忘れずにいてください」
「わかっていますよ…」
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