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【 第一章 】未熟な王子と暫定騎士
護身術③
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「な、なんですか?」
マティアスは不安そうに見つめてくるウィルバートの襟を両手で掴み、ウィルバートの股に自身の脚を大きく割り込ませ引っ掛けた。
寝巻きの裾から太腿まで露出させ、そのままグイッとウィルバートを背後に押し倒す。
「なっ!」
ウィルバートが驚き声を上げた。
本に書いてあったように、襟はしっかり掴み、頭は打たせないように注意する。ウィルバートも倒されることに諦めたようで、マティアスを抱えるようにして背中から絨毯に転がった。
「やった! 出来た!」
マティアスは転がったウィルバートの腰に馬乗りになりウィルバートの顔を覗き込んだ。
「マ、マティアス様……!」
ウィルバートは明らかに動揺しているようで、首筋から耳まで真っ赤になっている。
「凄いだろう⁉ 剣を使わずに敵を倒す方法なんだ!」
マティアスはウィルバートから一本取ったことが嬉しくて、ウィルバートに跨ったまま興奮気味に言った。
「マティアス様、降りてください……」
ウィルバートが唸るよう声を発した。マティアスはニヤニヤしながら言葉を重ねる。
「なんだ? 私に負けて悔しいのか?」
「……負けたとか勝ったとかの問題ではありません」
ウィルバートは腰にマティアスを乗せたまま身を起こして強引にマティアスを退けた。
「なんだよ。不意打ちは卑怯だったかもしれないが、そんなに怒るなよ。護身術として良くないか? 寝ている時とか丸腰で襲われた時とか」
本当はウィルバートに一泡吹かせたかっただけなのだが、あくまで鍛錬の一つかのように言い訳した。だが、その言葉を聞いてウィルバートはカッと目を見開いてマティアスを強い口調で叱ってきた。
「駄目です! 寝込みを襲うような暴漢にこのような事、通用しない!」
「いや、でもさ、」
「絶対に駄目です! 敵とは常に距離をとってください! マティアス様はご自分の身を守る事が第一。襲って来た輩を倒す事は考えなくていい!」
ウィルバートが絨毯に座り込んだまま、同じく座っているマティアスを見た。そして寝巻きの裾を強引に引っ張り、マティアスの剥き出しの脚を隠す。
「王子なんだから、むやみに他人に肌を見せない!」
「別に良いだろ? お前しか居ないんだし」
「よくない!」
ウィルバートははぁーっと大きく溜め息をつくと立ち上がった。
「今日はこれで失礼します」
そしてそのまま出口へと向かう。そんなウィルバートの背中をマティアスは慌てて追いかけた。
「おい! 何か用があったんじゃないのか?」
「……いえ、改めます」
「別に今言えば良いだろう?」
「大丈夫です。大した事じゃないんで」
「なぁ、そんなに怒るなよ」
「……別に怒ってません」
ウィルバートは部屋を出て次の間を過ぎ、廊下へと続く扉を開けた。
「怒ってるじゃないかっ」
声を荒げたマティアスに、廊下に立っているマティアス護衛用の衛兵二人が驚いた顔をしている。
「だから、怒ってません! 寝巻きで出てこないでください!」
ウィルバートはマティアスを扉の内側に押し込み扉を閉めた。押し戻されたマティアスは再び扉を開けて廊下に出て、早足で去っていくウィルバートの背中に大声で言った。
「やっぱり怒ってるじゃないか!」
ウィルバートは振り向きもせず、そのまま大声で返してきた。
「怒ってません!!」
それは明らかな怒号で……。
「怒ってるよな?」
マティアスは衛兵二人に同意を求めた。
「は、はあ……」
衛兵は戸惑ったように返事をした。
マティアスは不安そうに見つめてくるウィルバートの襟を両手で掴み、ウィルバートの股に自身の脚を大きく割り込ませ引っ掛けた。
寝巻きの裾から太腿まで露出させ、そのままグイッとウィルバートを背後に押し倒す。
「なっ!」
ウィルバートが驚き声を上げた。
本に書いてあったように、襟はしっかり掴み、頭は打たせないように注意する。ウィルバートも倒されることに諦めたようで、マティアスを抱えるようにして背中から絨毯に転がった。
「やった! 出来た!」
マティアスは転がったウィルバートの腰に馬乗りになりウィルバートの顔を覗き込んだ。
「マ、マティアス様……!」
ウィルバートは明らかに動揺しているようで、首筋から耳まで真っ赤になっている。
「凄いだろう⁉ 剣を使わずに敵を倒す方法なんだ!」
マティアスはウィルバートから一本取ったことが嬉しくて、ウィルバートに跨ったまま興奮気味に言った。
「マティアス様、降りてください……」
ウィルバートが唸るよう声を発した。マティアスはニヤニヤしながら言葉を重ねる。
「なんだ? 私に負けて悔しいのか?」
「……負けたとか勝ったとかの問題ではありません」
ウィルバートは腰にマティアスを乗せたまま身を起こして強引にマティアスを退けた。
「なんだよ。不意打ちは卑怯だったかもしれないが、そんなに怒るなよ。護身術として良くないか? 寝ている時とか丸腰で襲われた時とか」
本当はウィルバートに一泡吹かせたかっただけなのだが、あくまで鍛錬の一つかのように言い訳した。だが、その言葉を聞いてウィルバートはカッと目を見開いてマティアスを強い口調で叱ってきた。
「駄目です! 寝込みを襲うような暴漢にこのような事、通用しない!」
「いや、でもさ、」
「絶対に駄目です! 敵とは常に距離をとってください! マティアス様はご自分の身を守る事が第一。襲って来た輩を倒す事は考えなくていい!」
ウィルバートが絨毯に座り込んだまま、同じく座っているマティアスを見た。そして寝巻きの裾を強引に引っ張り、マティアスの剥き出しの脚を隠す。
「王子なんだから、むやみに他人に肌を見せない!」
「別に良いだろ? お前しか居ないんだし」
「よくない!」
ウィルバートははぁーっと大きく溜め息をつくと立ち上がった。
「今日はこれで失礼します」
そしてそのまま出口へと向かう。そんなウィルバートの背中をマティアスは慌てて追いかけた。
「おい! 何か用があったんじゃないのか?」
「……いえ、改めます」
「別に今言えば良いだろう?」
「大丈夫です。大した事じゃないんで」
「なぁ、そんなに怒るなよ」
「……別に怒ってません」
ウィルバートは部屋を出て次の間を過ぎ、廊下へと続く扉を開けた。
「怒ってるじゃないかっ」
声を荒げたマティアスに、廊下に立っているマティアス護衛用の衛兵二人が驚いた顔をしている。
「だから、怒ってません! 寝巻きで出てこないでください!」
ウィルバートはマティアスを扉の内側に押し込み扉を閉めた。押し戻されたマティアスは再び扉を開けて廊下に出て、早足で去っていくウィルバートの背中に大声で言った。
「やっぱり怒ってるじゃないか!」
ウィルバートは振り向きもせず、そのまま大声で返してきた。
「怒ってません!!」
それは明らかな怒号で……。
「怒ってるよな?」
マティアスは衛兵二人に同意を求めた。
「は、はあ……」
衛兵は戸惑ったように返事をした。
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