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第一章 【転機、あるいは死期】
*流星
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そのままジンさんは私を横抱きにしたまま【赤黒蠍】から距離を取る。
「おい、見えたな?」
「見えた……って……何が……?」
「あのデカブツの動きだ。目玉に剣ぶっ刺す前に牙の動き、見えてたんだろ」
「あ……はい……少しですけど……」
なんでジンさんがそんな事を知ってるんだろうか?今の今までどこかで見ていたとしても、なぜ私が見ていた物まで……?と、私が考えている間に、ジンさんは突然私を背中に縛り付け出した。
「え……え!?一体何を……!?」
「縛ってる」
「見りゃ分かりまゴブっ!?」
口の中に痛み止めの水薬を突っ込まれる。少し甘いソレをむせながら飲み干せば、四肢の焼けるような痛みは少しなりを潜めた。そのまま私をガチガチに縛り付けると、ジンさんは少し離れた所に置かれていた、彼の武器、漆黒の大槌の元へ跳躍した。着地の勢いのままおもむろにソレを担ぎあげると、
信じられない言葉を口にした。
「いいか、あいつの動きを今から全部俺に教えろ。」
「はぁ!?」
怒りに燃える【赤黒蠍】はもはや油断も無くこちらを見据えている。いくら指折りの狩人とはいえ一人で……しかも私を背負って戦うというのか。
「無茶ですよ!逃げましょう!」
「獲物相手に逃げるバカがいるか」
「あなたにとってはでしょう!?」
水薬でいくらか楽になった喉からは文句も飛び出しやすくなったが、ジンさんはそんな事全く聞いちゃいない。
「いいか、お前のその眼は現実より少し「先」を視る。死にたくなきゃ黙って集中しろ。やり方はもう分かるだろ」
「そんな事!!急に言われてもッ!?」
「身体で覚えろクソガキ。ガタガタ抜かすとてめぇから叩っ潰すぞ」
そういうとおもむろに大槌を構え、身体に力を籠めだした。もうダメだこの人。
私は諦めて背中にしがみつく
「せめて安全戦闘を……」
「安全な戦闘があると思ってんのか」
「ですよね知ってましきゃぁぁぁ!!!!」
全力でその場から跳躍。でも不思議と恐怖感は薄い。しがみつく背中は本人のイメージと裏腹に私に力強さと頼もしさを感じさせた。
「ガキ!見ろ!予測しろ!」
「ぁぁもう……ッ!了解ですッ!!」
私は意識を【赤黒蠍】に向ける。痛みと酸欠が解消された今、先程よりもクリアに動きが視認できる。確かに視える。鋏の動きも尾の先の揺らめきも、今より少し先の姿がぼやけて視える。この力は一体なんなのだろうか?……今は考えることはやめよう。使えるものはなんだって使う。
集中が高まる毎にに目は血の色を帯びて輝き出す。
「!右斜め上空!火焔を吐きます!」
聞くや否やジンさんは左へ大きく跳躍。刹那、今までいた場所を灼炎が焼き尽くす。炎の威力も凄まじいが、私はジンさんの反射神経と身体強化に目を見張った。
「凄い……速い……!」
「必要以外喋んな。舌を噛む。」
「分かりまし…左から横薙ぎの鋏!!」
ジンさんはその場で軽く跳ね上がり、大槌を空中で構える。鋏が身体の下を通過する瞬間、勢いのままに大槌を鋏へ叩きつける。恐ろしく硬質な鋏と大槌が激しく激突し、おぞましい音を響かせる。鋏は地面を抉りながら通過していったが、その表面には大きなヒビ割れが走っている。とんでもない膂力……
【赤黒蠍】は自分より遥かに小さな生き物に力負けした事実を受け止められないらしく、もはや盲滅法に鋏、尾を振り回している。それだけでも破壊の権化には間違いないのだが、見切ることができる以上、ジンさんは軽いステップと体捌きで容易く全てを躱して見せた。
「お前にはどう見える?」
「どう……ですか?」
「あぁ。コイツが何に見えんのか」
「…………そうですね」
ラッシュを躱し切り、砂煙に紛れながらジンさんは【赤黒蠍】の上空に大きく飛び上がる。獲物を見失い、血眼で辺りを見回す様子を見下ろし、ジンさんは大槌を大上段に構える。その腕は血管が浮き上がり、私の目と同じように赤く輝き出す。私は改めて【赤黒蠍】を見通す。それはもう、先程のような恐怖の象徴ではなく……
「…………獲物です。私たちの。」
「合格だ。」
重力と膂力を兼ね備えた破壊の流星は
狙い過つことなく、【赤黒蠍】の鋼の如き頭蓋を爆音と共に粉々に吹き飛ばした。
「おい、見えたな?」
「見えた……って……何が……?」
「あのデカブツの動きだ。目玉に剣ぶっ刺す前に牙の動き、見えてたんだろ」
「あ……はい……少しですけど……」
なんでジンさんがそんな事を知ってるんだろうか?今の今までどこかで見ていたとしても、なぜ私が見ていた物まで……?と、私が考えている間に、ジンさんは突然私を背中に縛り付け出した。
「え……え!?一体何を……!?」
「縛ってる」
「見りゃ分かりまゴブっ!?」
口の中に痛み止めの水薬を突っ込まれる。少し甘いソレをむせながら飲み干せば、四肢の焼けるような痛みは少しなりを潜めた。そのまま私をガチガチに縛り付けると、ジンさんは少し離れた所に置かれていた、彼の武器、漆黒の大槌の元へ跳躍した。着地の勢いのままおもむろにソレを担ぎあげると、
信じられない言葉を口にした。
「いいか、あいつの動きを今から全部俺に教えろ。」
「はぁ!?」
怒りに燃える【赤黒蠍】はもはや油断も無くこちらを見据えている。いくら指折りの狩人とはいえ一人で……しかも私を背負って戦うというのか。
「無茶ですよ!逃げましょう!」
「獲物相手に逃げるバカがいるか」
「あなたにとってはでしょう!?」
水薬でいくらか楽になった喉からは文句も飛び出しやすくなったが、ジンさんはそんな事全く聞いちゃいない。
「いいか、お前のその眼は現実より少し「先」を視る。死にたくなきゃ黙って集中しろ。やり方はもう分かるだろ」
「そんな事!!急に言われてもッ!?」
「身体で覚えろクソガキ。ガタガタ抜かすとてめぇから叩っ潰すぞ」
そういうとおもむろに大槌を構え、身体に力を籠めだした。もうダメだこの人。
私は諦めて背中にしがみつく
「せめて安全戦闘を……」
「安全な戦闘があると思ってんのか」
「ですよね知ってましきゃぁぁぁ!!!!」
全力でその場から跳躍。でも不思議と恐怖感は薄い。しがみつく背中は本人のイメージと裏腹に私に力強さと頼もしさを感じさせた。
「ガキ!見ろ!予測しろ!」
「ぁぁもう……ッ!了解ですッ!!」
私は意識を【赤黒蠍】に向ける。痛みと酸欠が解消された今、先程よりもクリアに動きが視認できる。確かに視える。鋏の動きも尾の先の揺らめきも、今より少し先の姿がぼやけて視える。この力は一体なんなのだろうか?……今は考えることはやめよう。使えるものはなんだって使う。
集中が高まる毎にに目は血の色を帯びて輝き出す。
「!右斜め上空!火焔を吐きます!」
聞くや否やジンさんは左へ大きく跳躍。刹那、今までいた場所を灼炎が焼き尽くす。炎の威力も凄まじいが、私はジンさんの反射神経と身体強化に目を見張った。
「凄い……速い……!」
「必要以外喋んな。舌を噛む。」
「分かりまし…左から横薙ぎの鋏!!」
ジンさんはその場で軽く跳ね上がり、大槌を空中で構える。鋏が身体の下を通過する瞬間、勢いのままに大槌を鋏へ叩きつける。恐ろしく硬質な鋏と大槌が激しく激突し、おぞましい音を響かせる。鋏は地面を抉りながら通過していったが、その表面には大きなヒビ割れが走っている。とんでもない膂力……
【赤黒蠍】は自分より遥かに小さな生き物に力負けした事実を受け止められないらしく、もはや盲滅法に鋏、尾を振り回している。それだけでも破壊の権化には間違いないのだが、見切ることができる以上、ジンさんは軽いステップと体捌きで容易く全てを躱して見せた。
「お前にはどう見える?」
「どう……ですか?」
「あぁ。コイツが何に見えんのか」
「…………そうですね」
ラッシュを躱し切り、砂煙に紛れながらジンさんは【赤黒蠍】の上空に大きく飛び上がる。獲物を見失い、血眼で辺りを見回す様子を見下ろし、ジンさんは大槌を大上段に構える。その腕は血管が浮き上がり、私の目と同じように赤く輝き出す。私は改めて【赤黒蠍】を見通す。それはもう、先程のような恐怖の象徴ではなく……
「…………獲物です。私たちの。」
「合格だ。」
重力と膂力を兼ね備えた破壊の流星は
狙い過つことなく、【赤黒蠍】の鋼の如き頭蓋を爆音と共に粉々に吹き飛ばした。
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