女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~

第六章:蝕愛 2

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 学習サポーターという嘘が必要なくなったので、六年生では念導者として大手を振って動くことが出来る――が、一応授業中は子供達に勉強を教えてあげることにした。今後の聞き込み活動のためにも六年生達との交流を深めることも大切だ。
 ということで、オレは六年三組の部屋にやってきたのだが……。

「ねぇねぇ、対霊処ってどんな感じで仕事をするんですか?」
「霊ってやっぱり怖いの?」
「今までで一番危なかった仕事って何?教えて!」
「この杖を使って霊を倒すの?うわ、刃物だ!怖っ!」
「札もいっぱい入ってる!それっぽいね~」
「あーいいなー!私達も色々聞きたい!」
「うわっ、一組と二組の子まで来た!ちょっと狭いよー」
「怖い話聞かせてほしいな!何かある?」
「この前の避難訓練の時もお仕事してたんだよね?どかんどかんって凄かったよ」

 三組だけでなく一組と二組の子供――主にオカルト好きな女子が押し寄せて怒濤の質問攻めだ。交流としては良いのだが、授業を始められる状況ではない。

「私も聞きたいです!是非ぜひ仕事内容について詳しく教えて下さい!」

 しかも三組の担任を務める教師――蒼さんくらいの歳の女性までぐいぐい質問に来る。授業を始める気がないだろ、コレ。

「ぶぅ~。なんかムカツク~」

 周囲をぐるぐる浮いて回っているななは膨れっ面で、ご機嫌斜めだ。さっきまでオレを祝福してくれたお前はどこ行った?

「どうしたんだよ」
「女の子に囲まれてる駆郎にぃなんて……駆郎にぃじゃないよー」
「どういう意味だよそれ」
「ふーんだ。ロリコンさんには嬉しいんだよねー。よかったねー」

 どうやら急にもてはやされているオレのことが気に入らないようだ。嫉妬、なのだろうか。う~む、いつも通り面倒な子だ。

「悪いな。後でゆっくりお前の相手をしてやるから待っててくれよ」

 にっ、と口角を上げて格好付けてみる。
 我ながら、少し調子に乗ってしまっただろうか。答えはだった。

「そういう意味じゃないもーーーん!」

 顔を真っ赤にして怒ったななが叫ぶと、どこからか金属製のバケツが飛んできてオレの頭にクリーンヒットした。
 スカーン。
 夏にぴったりな、爽やかな音でした。



 六年生の女子アンド三組担任の授業ボイコットについては可児校長からのお叱りですぐ終息し、無事オレは学習サポーターとして活動することが出来た。
 しかし昼休みも女子がオレの元に集まりすし詰め押しくら饅頭まんじゅうで、ただでさえ暑いのに熱気が尋常じゃない。これは所謂モテ期なのかもしれないが、がた迷惑だ。怪異の調査に行くことが全然出来ないし、聞き込みどころかオレが答えているばかりだ。……でも悪い気はしない。

「駆郎にぃ。鼻の下が伸びてる」
「え~そうか?ふふふふふふふふふふふふふふふ」
「キモイ」
「豪速ストレートやめて。傷つく」

 こんな調子で全ての休み時間を消費してしまったが、それでも六年生の怪――神出鬼没のぼろ布を被った女の霊について、有力な情報もいくつか得ることに成功した。まさに三人寄れば文殊もんじゅの知恵……いや、女三人寄ればかしましいか?……これ、どっちも意味違う気がするな。
 子供達から寄せられた情報を統合すると、以下のようになる。

 ぼろ布を被った女の霊が出現するようになる少し前、屋上へ続く階段に飾られていたほこらが破壊された。その事件の発覚以降、六年生のフロアでぼろ布霊が頻繁に目撃されるようになった。しかし、最近――おおよそオレが奥部小に来るより一週間前くらいからは見かけなくなった。
 祠が破壊されたことに関しては犯人捜しをしたらしいが、結局誰がやったのかは不明らしい。

 以上。

「祠って……アレのことだよな」
「知ってるの駆郎にぃ?」
「オレがいた頃からあった物だからな」

 屋上へ続く階段に設置された祠は当時から何度も見ている。しかしその祠に関して逸話はないし、殆どの子供が存在していること自体忘れるレベルの代物だ。そもそも屋上が立ち入り禁止なので基本誰も使わない階段だ。今回破壊されて漸く存在を知った子の方が大半だろう。
 それが、何故今になって破壊されたのか分からない。

 放課後になり、やっと女子達から解放されたので早速調査開始だ。
 壊された祠は職員室で保管されているそうなので見せてもらうことにした。

「思いっきり壊されてねぇ。やった子にはきちんと指導したかったんだが……」

 残念そうな顔をして段ボール箱を抱えながら、可児校長が祠を持ってきてくれた。
 かなり昔に作られた物のようで古い木材特有の匂いがする――が、それに混じって悪しき気配の残り香もあった。
 壊されたのは依頼を受けるずっと前だ。それなのに未だに残り香があるということは、この祠は相当強い霊力を持った霊を封印していた可能性が高い。
 封印の念が込められていたであろう念導札。これが貼られていたおかげでオレがいた頃は一切悪しき気配を感じなかったのだろうが、切り裂かれた今は効力を発揮しないただの紙切れだ。
 この祠を開けた誰かは、中に強大な霊がいると知っていたのだろうか。もしそうだといたら、オレと同様に念導者なのだろうか。それとも他の野良霊?いや、どちらにしろ、こんな危険な代物を開けるだろうか。開けた瞬間に瞬殺されてもおかしくないんじゃないか?それとも封印されていた悪霊の霊力が衰えていたのか……?
 色々と謎だな。

「ところで可児校長。この祠は何で段ボールに入れてるんです?」
「邪魔だったから適当に仕舞っておいたんだよ」

 祠の扱いが雑。
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