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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~
第一章:迷える霊が、そこにいた 3
しおりを挟む翌日の午後。
空もいい感じのオレンジカラーになった頃。
オレとななは母校――晩出市立晩出奥部小学校に来ていた。理由はただ一つ、可児校長からの依頼があったからだ。
「失礼しまーす」
「しま~す♪」
校長室に入るとそこには夕陽を反射して光り輝く球体……可児校長の坊主頭があった。かなり眩しい。
「急に呼び出して済まないね、駆郎君」
「いえ、大丈夫です。それよりどうしてオレを名指しで?」
「それなんだが……」
可児校長は手招きして、ソファーに座るよう促してくる。オレはそれに従って腰掛けると、一枚の紙が差し出された。
相変わらずのコピーミスの紙を使ったエコなメモ。
だが、そこに書かれていたのは可児校長の文字ではなかった。
バランスが取れていない、ガタガタの文字。しかもどんどん右上がりになっている。小学生特有の下手くそさ。
「私の目の前でね、ペンが勝手に動いてその文章を書いたんだ」
エコメモには、こう書かれていた。
この学校に、ゆうれいがいる。
見たことない、へんなゆうれいが出ている。
はやく あまみやくろう をつれてきて。
おうぶ小のヌシ ミツデさま より
「あー……はい」
一発で誰がこんなことしたのか分かる。というかこんなことをする霊なんてあの子しかいない。
「私はその通りにして君を呼んだ訳だが……どういうことか分かるかい?」
「変な幽霊っていうのはよく分からないですけど、これを書いたヤツはいい子なんで心配しなくていいですよ」
まったく、ポルターガイストで自動筆記なんて味な真似をして。生意気な小学生霊なこと。まぁ生まれた順では、オレどころかななよりも年上だけどさ。
「それじゃあオレはちょっと様子を見てきます」
「ああ。頼んだよ」
オレは校長室を出て、早速件の変な霊とやらを探しにいこうとした――その時、目の前に一人の少女が現れた。
黒髪ぱっつんにゴスロリ服。この学校のヌシを名乗るミツデ様――ではなく、三手洗つぼみちゃんだ。
「わ~い、久しぶり~」
「ちょっと、急に飛びつくんじゃないわよ!暑苦しい!」
ななが後先考えず抱きついたせいで、もみくちゃになっている。空中でよくもまあ、器用なことですね二人共。
「お~い、その辺にしておけ」
「え~」
ご不満感で膨れ上がった表情のなな。一方もてあそばれまくったつぼみちゃんはぐったり。享年が近いとはいえ一応母校の先輩だから、もう少し加減をしてあげてくれ。
「あーもうっ、服がしわくちゃなんですけど!」
「だって、久しぶりに見たつぼみちゃんが可愛くってつい……」
「そ、それなら、仕方ないこともないわね!」
本人のチョロさは変わらないなぁ。ちょっと持ち上げられただけで何でも許しちゃうとか、本当にチョロ過ぎる。
「で、そろそろ本題に入っていいか?」
「本題?あ~、あのこと?」
「今、忘れかけてただろ」
わざわざ可児校長の目の前で実演してまでして怪異によるSOSを出したというのに、すぐに脱線しないでほしい。
「忘れてないわよ。変な霊が出たから駆郎を呼んだんだから」
呼び捨てやめろ。
と、何度も言ったが変えない子なので、もうツッコミは入れない。
「変って、具体的にどういうことだよ?」
「具体的って……そうね、ずっと寝ぼけているみたいなかんじかしら」
「はい?」
「いいえ、違うわ。何て言うか、頭の中身が空っぽになっているような……」
「うん。よく分からないから、案内してくれないか?」
聞いたオレが馬鹿だった。
つぼみちゃんが説明出来るような霊だったら、もう少しまともな文章でオレを呼び出しているはずだ。
おそらく、前例のない妙ちくりんなことが起きているのだろう。
……この学校、異例なこと起き過ぎだろ。
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