女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~

第二章:共同戦線 5

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「まずはこれをご馳走ちそうしてあげるよ!」

 茶々のクロスボウから磁轟弾ジゴウダンの矢が放たれる。流星群の如く飛来するそれらは、立ち上がろうとしていた邪怪の肉体にぶすぶすと刺さり浄怪していく。
 ゴキブリの足が二本消えたことで邪怪はバランスを崩して再び転倒、それと同時に茶々はトンファーソードを構えて一気に懐へ入り込んで残りの足も切断していく。
 的確な動きで、邪怪の機動力を奪ったのだ。
 邪怪も黙ってはいない。真下にいる茶々へと捕食器官である鮫頭を近づけ、スクリューの舌でぶった斬ろうとしてくる。

「させねぇよっ!」

 オレはその鮫頭に黒烏の一閃いっせんを食らわせる。刃は丁度目玉を潰したようで、苦しみ藻掻いて邪怪は退避しようとする――が、足はもうないので逃げられない。
 茶々のトンファーソードが鮫頭、そしてゴキブリの触角を切り落とした。対抗して邪怪はてるてる坊主の頭にめり込んでいた包丁を落として攻撃してくるが、それは横からの矢によって軌道が逸れてアスファルトの上を跳ねるだけ。

「ん?私は撃ってないんだけど」
「あー、今のはな……」
「なながやったんだよー」
「ということだ」
「へー、いいアシストするじゃん」

 落ちていた矢を、なながポルターガイストで飛ばしてくれたのだ。
 ななの助けもあって凶刃は無力化、トンファーソードが突き刺されて包丁も無事浄怪した。

「おっと、反撃が来るぞ!」

 次々と無力化されていくことに焦った邪怪は、てるてる坊主の中身……生ゴミを全方位に撒き散らしていく。
 魚の小骨ミサイル。
 野菜の切れ端ブーメラン。
 揚げ油を固めたやつ……って分別ちゃんとしろよ。

「もっとよく狙わないと当たらないよ~?」
あおってどうするんだよ……」

 オレ達は跳び回って避けたり武器で弾いたりして、生ゴミ攻撃をさばいていく。
 動けない邪怪渾身こんしんの遠距離攻撃だったが、大した成果は得られない。自身の最大の長所、機動力を奪われたことで生ゴミの動きが読みやすくなったことも大きいだろう。

「お、特大サイズだね~っ」

 邪怪は遂に体内から巨大なゴミ袋を吐き出す。ぎっしり詰まった燃えるゴミが入ったゴミ袋。これでオレ達を押し潰す気だ。

 ぶんっ。

 投げられるゴミ袋。
 見た目通り重いその一撃は――オレの聖結による結界盾が防ぐ。

「ぐぉおっ……!?」

 ピキピキ、と盾がきしみ、中心から徐々に割れていく。
 さすがに必殺級のゴミ、長くは持たなそうだ。

「茶々、盾が完全に壊れたら――」
「ぶった斬ってやるから問題なしだよ」

 眼前に迫る巨大ゴミ袋を前にしても、一切恐れを見せない。
 茶々はイラッとくる問題児だが、一人の念導者としての心構えは整っていた。

 ばりんっ。

 盾が、割れた。
 だが次の瞬間にゴミ袋は一刀両断。盾との衝突で失速したため、いとも簡単に切断出来たのだ。
 これで、邪怪の逆転要素はついえた。

「よし、一気にいくよ~!」

 そこから先は茶々の独壇場だった。
 無慈悲なまでの連続斬撃によって邪怪の体はずたずたに切り裂かれ、生ゴミとゴキブリだった物が飛び散っては消滅していく。
 最後には核が一つだけ残り、それもすぐにグサリと一撃。
 邪怪は完全に浄怪された。
 そのおかげでオレの体にこびり付いていたぬめぬめと悪臭も取れて、晴れてクリーンな体になった。

 もう、生ゴミまみれになるのは嫌だな。
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