女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~

第二章:共同戦線 7

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 揺れるワンボックスカーの中。
 少々香水臭いが、それ以外は快適だ。

「茶々って香水するんだな」
「私じゃないけど」
「それはオレの趣味なんでね、大人の男のたしなみさ」

 お前の趣味かよ。まぁ大方いい男って雰囲気を作って女性を口説き落とそうという考えなのだろうが、母さんはそんな浅い男には引っ掛からないぞ。
 引っ掛からない……はず。イケメン俳優が好きだけど、多分セーフなはず。アレはほら、若い男の子を応援したい気持ち的な感じなんだよ、きっと。

「この機会に聞きたいんだけどさ、このはさんの好みってどんな男?」
「少なくともあなたは論外みたいですけど。あと運転に集中して下さい」
「じゃあこの香りは好きかな?」
「いいから前向いて運転しろ」

 まったく、行兵衛はどうしてこんなに母さんのことを気にしているのか。どんなにアプローチをしても顔面血だるまにされるだけだというのに。そもそも不倫だから、そっちはバツイチシングルファーザーでもこっちは夫婦だから。影が薄い父さんだけど、れっきとした夫婦だから。
 まぁ、好きになってしまう理由は分からないでもない。
 母さんはトップクラスの念導者だし歳不相応の若々しさを保ちつつ良い体つきをしている。最近また太ったけど。家ではかなりだらしないが外面だけ見たらかなり上位なのだろう、おじさん界隈かいわいでは。
 そう考えると、よく父さんは結婚出来たな。ただの一般人なのに。こういう性質の悪いおじさん達から恨まれたり呪詛じゅそをかけられたりしなかったのだろうか。色々と疑問が湧き出てくるな。

「――う。――ろう。駆郎!」
「うおっ!?どうした!?」
「ぼーっとしてるんじゃないよ、私の話聞いてる?」
「いや、全然」
「一発、コレ刺していい?」
「ダメに決まってるだろ」

 考え事をしている間に茶々が話しかけていたようだ。全然気付かなかったわ。あとトンファーソードはやめろ、オレが死ぬ。

「で、どしたの?」
「だから、駆郎が呼ぼうとしている醒果会の念導者って誰のことだよって話」
「あー、はいはい」

 商売敵しょうばいがたきのことが気になっていたのか。そりゃそうか、納得。
 でもまだ連絡していないし都合がつくかも分からないし何より越権行為をよくした仲だし、べらべらと話して良いものか。

「えっとね、“きつねび”さんのところだよ!ましろさんてお姉さんなの!」

 思案している間にななが言ってしまったが。

「それってあれでしょ、西部劇みたいな格好していておっぱい大きい人」
「そうそう……って、茶々さんも知ってるの?」
「普段からあんな奇抜な格好していたら噂くらい聞くからね~。薄々気付いてたよ、勝手に余所よその念導者が来ていること」

 ダメだこりゃ。“きつねび”がちょいちょい母さんの仕事を手伝っていたことが一番知られちゃいけない相手にバレてしまったぞ。ましろのコスプレまがいで元々バレかけだったみたいだが。

「あ~あ、いけないんだー。私達を差し置いて晩出市で活動するなんて……面白いことになりそうだね♪」
「どこも面白くねーよ」
「え~?私は面白いと思うけどな~?」
「お前だけ、な」

 頼むから道楽感覚でちょっかいを出さないでくれ、マジで。そんなに人生退屈なのかよ、こいつ。
 ……そういえば、茶々が誰かと遊んでいるところって見たことないな。
 つーか茶々って確か小学生の時に……いや、今思い出すことじゃないな。

「ななにも教えて!面白いこと教えて!」

 ななは脳天気な質問をしている。
 そのの厄介さについてさっぱり理解出来ていないようだが。

「なな、もう黙ってようか。な?」
「ん?どうして?」
「余計なこと言わないでくれってことだよ」
「うん?」

 これは一ミリも伝わってないですね。
 お手上げです。はい。
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