女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~

幕間:狸囃子茶々の悪夢

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「お前の母ちゃん、浮気したんだってなー」
「うわ~酷~い」
「お父さんが可哀想かわいそうだよねー」
「もう出ていっちゃったんだっけ?」
「浮気相手ってまだ高校生なんだって」
「え!?それって犯罪じゃないの!?」
「マジで!?淫売いんばいな上に犯罪者かよ!」
「不潔だわ、最低ね」
「もしかしてあなたも浮気しちゃうタイプだったりして」
「ありそー。将来はゴミ女決定ね」
「ぎゃはははは!ゴミ女って、ゴミって!」
「ちょっと男子ー、笑い過ぎー」
「お前らが言ったんだろぉ?ゴミだって」
「そうだけどー、あんまりゴミゴミ言い過ぎると可哀想じゃない」
「そうそう。この子はとーっても可哀想な子」
「優しくしてあげないと、ねぇ」
「それに私達がいじめているみたいになっちゃうじゃない」


「お父さん大変よね、お仕事しながらあなたのお世話もして」
「良かったら私もあなたのお世話をしてあげるわ」
「ほ~ら、シャワーでキレイになりましょうね」
「ちょっとそれ、トイレの水じゃ~ん」
「あれ~?間違えちゃった。ごめんごめん」
「臭くなっちゃったじゃん。どうするのよ」
「あら、こんなところに偶然消臭スプレーが!しかもた~くさん」
「みんなでいっぱいかけてあげましょうよ」
「それそれそれ~!ぷしゅしゅしゅしゅ~!」
「連射は反則でしょ~っ!きゃははははははっ!」


「おいゴミ女、これ捨てといて~」
「ほいっと。あ、ゴミ箱と間違えたわ」
「うわ、お前ホントに臭いな!おえぇっ」
「トイレみてーな臭いだな」
「しかも消臭剤も混ざって最悪だぜ」
「近寄るんじゃねーよ、蹴り飛ばされてーのか?」
「いーじゃん、蹴っちまおうぜ」
「じゃあ今日からお前はオレらのサンドバッグってことで」
「それボクシングじゃね?」
「キックボクシングってことにすればいーだろ」
「そーら、オレ様の必殺キ~ック!」



「うわぁあっ!?」

 迫る男子の蹴りに戦き、がばりと身を起こす。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 またあの夢だ。
 まわしき奥部小に通っていた頃の記憶のフラッシュバック。
 何度も忘れようとしているのに、その度に余計強烈な思い出としてよみがえってくる。

「………私は、もう変わったんだよ……っ。もうあんなことにはならないんだよ!」

 茶々にとって奥部小は思い出したくないことばかりが跋扈ばっこしている巣窟そうくつだ。邪怪が発生したとしても絶対に行かない、行きたくない。その時だけは全てを行兵衛に任せてしまう程、足を踏み入れたくない場所だ。

「ああ、くそ。駆郎のせいだ」

 駆郎が奥部小に生け贄にされた霊達を保護している、という話をしたことで記憶の奥底から引き上げられてしまった。
 意識してはいけないと思えば思う程に泥沼へと嵌まっていく。

 自分をいじめ抜いてきた連中に負けないようにと己を鍛え上げ、やられた分だけ力でねじ伏せてきた。同じてつを踏まないようにと友達などという甘ったれた関係を断ち切り、一人で過ごしてきた。そして誰からも好かれないよう他者を小馬鹿にして喧嘩を売り、孤高の悪として振る舞ってきた。二度と信頼した相手から裏切られるなんて苦痛を味わうことのないように。
 それだけ徹底的にやり遂げたのに。
 一度受けた傷はぶり返して、繰り返しんでいく。

「やめやめ、これ以上考えても時間の無駄っ」

 いつもの悪い癖だ。
 過去を思い出しては嫌な気持ちになって、忘れて振り切ることが出来ない自分のことが嫌いになっていく。そんな負のスパイラル。
 そんな時は布団を被って楽しいことを考える。思いつかなかったらひつじでも山羊やぎでもいいから適当に数える。
 とにかく、全然違うことで脳内を満たすに限る。

 そうすれば眠れるんだと、自分に言い聞かせて。

 一刻も早く、眠ろうと。

 安眠出来るその瞬間を、必死に求めている。
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