女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~

第五章:翠と金の螺旋階段 4

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 夜もすっかりけてしまった。
 泥酔でいすいした母さんと行兵衛は既に潰れており、幼い霊達も疲れて眠ってしまった。そして何故か狼慈丸もななの膝の上で丸まってお休み中だ。

「散々大騒ぎしておいて……はぁ」

 残されたオレ達は大宴会もとい大乱闘の後始末をしていた。食べ終わった皿を洗って片付けて、床を汚す約一名の大量の血痕を拭き取る。

「いや~、このはさんの技は凄いね~」

 床掃除をしながら、茶々は先程までのプロレスという名の一方的暴力のことを思い出しているようだ。

「いいのかよ、自分の父親をボコボコにした相手だぞ?」
「パパが悪いんだし、別に気にしないよ。それにパパだって殴られるって分かってやっているし」
「じゃあやるなよ……」

 自分もタダでは済まないのを承知でセクハラするとか、チャレンジャー過ぎる。弱みを握って陰湿にやるよりかは幾分かマシではあるけど。

「まー、パパも構って欲しいんだよ。やり方が酷いけどねー、にひひ」
「……小学生の男子かよ」

 好きな人に振り向いて欲しいから、無関心よりも嫌がられる方がいいから意地悪なことをしてしまう。典型的な例だ。
 いい歳した大人がそんなことをしているのも、なんだかなぁ。

「好きなら好きって言えばいいのに」

 そこへゴミ捨てに行っていたこがねが戻ってきた。
 それはごもっともな意見ではあるけれども、母さんは一応人妻だから。影は薄いけど父さんがいるから。

「そんな簡単に伝えられたら困らないのよ。ギャルは尻軽だから分からないかな?」
「ボクは尻軽じゃないから」
「あ、そうだったね。下ネタジョークが通じない真面目ちゃんだったっけ。……あれ?じゃあ何でそんな格好しているのかな?」
「文句を言われる筋合いはないと思うけど」

 またピリピリムードになってきたぞ。
 この二人、戦う時は息の合ったコンビネーションが出来るのに、どうして日常生活では一触即発火薬庫状態になるのだろうか。

「喧嘩中悪いんだけどよ、お前らって好きな相手っているのか?」

 仲裁、ではないけれどミサキちゃんが間に入って、今にも取っ組み合いになりそうな二人を止めてくれる。

「いきなり何の話よ?もしかして恋愛相談だったりして?」
「ボクはそういうの、興味ない」

 脈絡のない質問内容に、二人とも戸惑い気味。かくいうオレもどういう流れだと少々困惑している。

「ほら、好きな相手にはどうたらこうたらって話していたから。同年代の事情が気になったっていうか……」

 語尾をにごしながら理由を口にするミサキちゃん。
 これは、誰か好きな人がいて自分の気持ちに整理をつけようと参考までに、ということだろうか。
 待て、相手は誰だ?
 行兵衛……はあり得なさそうだ。だとすると、まさか歳の近いオレなのか!?

「駆郎のことじゃないから安心しろ」
「……そうですか」

 ばっさり斬られました。

「それでどうなんだ。お前達って誰かに恋したことはあるのか?」
「う~ん、改めて聞かれると……ないなぁ」
「だからボクはそういうの興味ないって」
「オレならあるぜ。幼稚園の時――」
「駆郎には聞いていない」

 またぶった斬られた。
 風当たりが強すぎるぜ。泣けてくる。

「なんだい、若いくせに色恋の一つもしていないのかい?」
「もったいないですよ!」

 まだ起きていたヒノエさんとフタチさんまでもが、この修学旅行の夜話のノリに首を突っ込んでいる。
 フタチさんはいいとして、ヒノエさんは若干不倫が入っているでしょうに。

「人を愛するというのは良いことです。たとえ体が離ればなれになってしまっても心は繋がっている、そう感じることが出来ます」

 フタチさんは紅の髪飾りを触りながら、とろけた笑みを浮かべている。
 夫からのプレゼントからかつての甘い生活を思い返しているのだろう。

「人妻の方々に言われても、オレ達そういうのさっぱりないんですよ」
「勝手に“達”ってつけないでくれるかな~?」
「当たってるけどムカつく」

 茶々とこがねから怒られた。
 さっきから女子に囲まれて肩身が狭い。誰か助けて。
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