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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~
第五章:翠と金の螺旋階段 5
しおりを挟む「あ~……、頭がガンガンするわぁ……」
「オレは全身が痛い気がする……」
母さんは二日酔いで、行兵衛は昨日受けた傷が軋んでよろよろしている。これから清寂会の本部に行くのだが、こんなコンディションで大丈夫だろうか。
「大人には辛くても頑張らなきゃいけない時があるのよ」
全然格好良くないから。ただの二日酔いだから。さっきまでトイレで吐きまくっていた人が言っても心にさっぱり響きませんよ。
「心配するな。このはさんはオレが守るから」
あんたが側にいることの方がよっぽど心配なんだよ。それに守る対象に殴られてよろよろしている人が言う台詞じゃない。
と、まぁこんな調子で母さんと行兵衛は出掛けていった。帰りにはちゃんと新兵器とやらを持ち帰ってきてくれると信じておこう。
「のう、駆郎殿」
「ん?もう起きたのね」
ちょんちょん、と背中を突かれて振り返るとそこにはナルカちゃん。オレが起きた時には霊達はみんな爆睡していたが、出掛ける二人のばたばたで目が覚めたようだ。といっても、既に時刻は午前十時。むしろ何故起きない。霊だから朝は苦手、とかそういう理屈なのか。
「もうみんな起きておるぞ」
「そっか。それで、何の用だい?」
「邪怪も起きたっぽいから、報告しに来た」
「……マジ?」
ナルカちゃんの予言の答え合わせは、すぐにやってきた。
――ビィヨーン、ビィヨーン、ビィヨーン。
邪怪発生の緊急要請を知らせる警報だ。
茶々はそれを受けて、すぐに浄怪の支度に取り掛かる。
「駆郎、あと、えーと……こがね!まずいことになった!」
「まずいこと?」
これまでにないくらい慌てている茶々。またオレがいることを気にせず着替えるくらいには焦っている。
「ショッピングモールで出た、しかも玩具屋の中で子供がたくさん取り残されている!」
「それは……最悪」
こがねは冷静そうに返答しながら軍服のような仕事服を羽織り、戦闘準備をしていく。
「……こいつは全員で行くしかねーな」
被害の状況は詳細不明だが、現場に大勢取り残されていることを考慮するととにかく人手が必要。つまり念導者であるオレと茶々とこがねは確実に向かわないといけない。しかしななは別にいいとして、他の霊達を放置していく訳にはいかない。出自が分かったとはいえイレギュラーな彼女達だけにしてしまっては何が起こるか分からない。
それに、これは良い機会でもある。
「よし、みんな。昨日ななとミサキちゃんからポルターガイストのやり方は教わったな!今からみんなには子供達の救助を頼む!」
人手が足りない。猫の手も借りたい、そんな時は。
かつて人であった霊達の手を借りてでも生者を救出するのだ。
最後は澱神無と戦うのは確定している。ならば彼女達にはオレ達の戦いをサポートしてもらい、浄怪に慣れてもらう……そういう意図もある。
幸い、彼女達は全員オレ達についてきてくれた。オレの熱意が伝わったのか、それとも澱神無への怒りが突き動かしているのか。
どちらが理由かは分からないが。
「ねぇ、駆郎にぃ」
「何だよ」
「急いでいるのに自転車しかないの?」
「しょうがねーだろ、オレ達運転免許証持ってないんだよ」
「えー……」
―我の本気走りより遅いワン―
「うるさい柴犬」
―くぅーん……―
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