ハリネズミとネズミの日常

束子野 碧

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[2]小さき者の悩み

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新居探しのハリネズミ「針野はりの」と
針野はりのの空き家に住もうとしているネズミの千洲山ちずやま・・・
2匹は若干ピリピリして話し込んでいた前話。
さて、針野はりのが話す土地の秘密とは?!



針野はりのは続けます。

針野はりの:この土地は、代々ハリネズミが根付く場所と
   言われている土地です。だから・・・

少しバツが悪そうに話す針野はりのに少し苛立ちながら
千洲山ちずやまは理由を聞きます。

千洲山ちずやま:だーかーらー!!
    何が言いたいんですか!はっきりとした理由を言ってください。

その苛立ちが伝わってくる言葉に針野はりのはビクッと体を震わせながら、
どうしたら千洲山ちずやまを怒らせずに納得してもらえるのか考えます。

針野はりの:(千洲山ちずやまさんに理由を言ったら傷つけてしまうかも)

何でそんなに悩むことがあるのかと不思議な気持ちになりつつ
千洲山ちずやま針野はりのが自分に対して萎縮していると
気がつきました。

同じネズミの中でも、小さかった千洲山ちずやま
子ネズミの頃、小さいことを理由にバカにされていじめられていました。
小さくたって堂々としていれば良いとお爺さんに教えてもらい、堂々としていました。
すると、オドオドしたネズミたちが千洲山ちずやまの言うことを聞いてくれます。
読書が趣味だった千洲山ちずやまは、何かの本で「他のネズミよりも頭が良いと
成熟したネズミになり、一目置かれる」ということを知りました。
さらに熱心にたくさんの本を読み、ネズミの学校を首席で卒業するまでになりました。
その頃には、図体が大きくても力が強いネズミやオドオドしているネズミから
一目置かれるようになり、どのネズミよりも偉くなったような・・・
そんな勘違いが千洲山ちずやまを狂わせていきました。

自分はどのネズミよりも頭が良くて偉いんだ!
他のネズミは僕よりもバカなんだから、僕の言うことを聞けばいいんだ!

変な勘違いから、自分より知識のないネズミはバカに思えましたし、
図体が大きくてもオドオドしているネズミには口調を荒げて話をしました。
すると、千洲山ちずやまはいじめられなくなりました。

でも、いじめられなくなった代わりに、"仲間"を失いました。

千洲山ちずやまの態度や話し方に嫌気がさした"仲間"たちは
どんどん千洲山ちずやまから離れていきました。
それ以来、千洲山ちずやま

"仲間"なんていらないー
"仲間"なんて裏切るだけだー

そんな風にしか思えなくなり、千洲山ちずやまに対して接してくる
ネズミや動物たちに対して口調を荒げたり、威圧的な態度をとってきました。
その結果、誰も千洲山ちずやまを受け入れてくれなくなり、
家を探す日々が続いて今に至ります。

色んな思い出や感情が、針野はりのの悩む顔を見ながら浮かびます。
千洲山ちずやまは、フッと我に返って少し話し方を変えて問いました。

千洲山ちずやま:僕は、何も針野はりのさんを困らせたいわけじゃないんです。
    理由を教えてもらえませんか?

針野はりのは驚き、目をまん丸にして千洲山ちずやまの方を見ました。
このネズミは、こんな話し方もできるものかと驚くと共に、本当は優しいネズミなんだと
ホッとして震えは止まりました。
千洲山ちずやまは、震えが止まり表情が少し柔らかくなったことに気がつき、
自分は本当に変わってしまったんだなと悲しくなりました。
千洲山ちずやまは続けます。

千洲山ちずやま:理由を聞くだけなのに、僕は針野はりのさんに
    ご迷惑をおかけしましたね・・・僕、こんなネズミじゃなかったのに・・・


針野はりのは今にも泣き出しそうな千洲山ちずやまを見て
こんな状態のネズミを1匹で置いていくには心配になりました。
色々と苦労をしているからこそ、悲しんでいるに違いないと思いリュックに手をかけました。
リュックの中からあるものを取り出しながら、千洲山ちずやまに話しかけます。

針野はりの千洲山ちずやまさん、ちゃんと土地のことはお話します。
   でも・・・その前に、あなたのことを知りたくなりました!

そう言って、「針野はりの」と書かれた表札を取り出して
いそいそと元あった表札掛けに表札を戻したのです。
それを見た千洲山ちずやまは、驚きながら更に理由を聞きました。

千洲山ちずやま:どうして、表札を戻すんですか?!僕は、土地の理由を早く聞きたいのに!

ショックと怒りの間のような表情を浮かべた千洲山ちずやまを見ながら
針野はりのはざっくりとした理由と提案を持ちかけます。

針野はりの:土地についてザックリとした理由は、ハリネズミしか住めない理由が
   あるんですよ。だから・・・今日だけでもこの家で色んな話をしませんか?

千洲山ちずやまは、拍子抜けしたような表情になりつつも、
新たな家を今から探すのは困難だと考えて針野はりのの提案に乗ることにしました。

千洲山ちずやま:わかりました・・・、どうぞお願いします。

千洲山ちずやまの「わかりました」を聞き、針野はりのはパァーッと明るい
気持ちになりました。

針野はりのは、「どうぞ」と言ってドアを開き千洲山ちずやまを招き入れました。

針の有る無し、2匹の小動物は一つ屋根の下・・・
何を語るのでしょうか。

ー次回へ続く

<<あとがき>>

今回のメインキャラは千洲山ちずやまさんです!(「さん」づけ!)
小さいからっていじめられる・・・私も身長が低くチビだったので、
良くからかわれていましたから、千洲山ちずやまさんの気持ちはわかります。
ザックリとした理由は明かされましたが、もう少し掘り下げた理由があるみたいですね。
2匹はこれからどんな話をするのでしょうか?!
・・・乞うご期待!

出てきた2匹のご紹介。

針野はりの
ハリネズミの男の子(?)。
性格は、おっとり落ち着いた優しいハリネズミ。
自分が針を持っていることにコンプレックスを感じている。
針見し入り(人間で言う"人見知り")で、馴染むのに時間がかかる。
困っている動物をほっておけずに、いつも面倒なことに巻き込まれてしまう。

千洲山ちずやま
ネズミの男の子(?)。
何やら訳ありで家探しをしているネズミ。
性格は、サバサバして一言多く、口調がキツイが悪気はない。
"仲間"と言う存在が良くわからずに、一匹で暮らしている。
面倒なことは嫌いで、他の動物に自ら関わろうとはしない。

ちなみに、ネズミさんの名前はネズミが好きなチーズを変形させて
千洲山ちずやまとしています。

ショートストーリーでサクッと読める作品にしていこうと思いますので、
どうぞサクッと読んで頂けると嬉しいです。
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