必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「……怒ら、ない、の?」
 恐る恐る、声を震わせながら言う周に、雪也は杓子を動かしていた手を止めて周を見た。俯いて震える姿に、小さく苦笑する。
「怒っているよ」
 ビクリと周の身体が震える。雪也の手が伸びて、その髪を撫でた。
「周が火傷をほったらかしにしてたことに、怒ってる」
「…………ぇ?」
 予想もしていなかった言葉に周は思わず顔を上げて雪也を見つめた。心底驚いている周の表情に雪也は再び苦笑して、懐から手ぬぐいを取り出し痛みを与えぬよう慎重に周の手から水滴を拭う。
「物は壊れたら直すなり、買いなおすなりすれば良い。釜だって焦げを洗い落としたら良いんだ。失敗したってやり直すことはできる。でも怪我だけは隠してはいけないし、後回しにしてもいけない。命は、ひとつしかないのだから」
 手ぬぐいを水に浸し絞って、雪也は周の頬に残る涙の痕を優しく拭う。こんなに目を真っ赤にして、随分と痛いだろうに。
「さて、中に入ろうか。確か前に塗り薬を作ってたはずだから、それを塗ろう」
 優しく手を引く雪也に促されて、周もノロノロと庵に入る。囲炉裏の前に周を座らせた雪也はパタパタと小走りで薬が置いてある場所まで向かい、引き出しから目当ての塗り薬と清潔な包帯を取り出した。
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