必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「手を出して」
 言いながら優しく手を取って慎重に薬を塗る雪也に、周は唇を噛んだ。
 どうして、ここまでしてくれるのだろう。
〝苦しみから助けるのに、きっと理由なんかいらない〟
 そう雪也は言ったけれど、周を庵に住まわせてから雪也は損ばかりだろう。薬を調合する手伝いをするだけの知識もなく、薬草の手入れもできず、料理すら出来ない。掃除も雪也が手早くしてしまうので周が手を出す暇もなく、だというのに周が生きるだけで金がかかる。そのうえこんな風に失敗して米を台無しにしたばかりか薬や包帯まで使わせて。何一つとして、雪也は得ていない。弥生と違い、雪也には湯水のように使える金など存在しないし、生きるのに必要なだけの銭を薬を売ることで必死になって稼いでいる。それが豪商であった前の主よりもうんと少ない額なのだと周は知っていた。だというのに、雪也は言うのだ。怒っているのは、怪我を手当てしなかったからだと。
 前の主は物を壊したりすれば烈火のごとく怒り狂い、必ず血が噴き出すほどの鋭い棒が何度も何度も襲い掛かってきたというのに。
 怪我は時間が経てば勝手にふさがるが、物は壊れたら直すにも新しいものを用意するにも金がかかるのだと、そう怒鳴り散らしていたのに、雪也はまったく反対の事を言う。それが不思議でならない。
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