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「よし、できた。でもしばらく痛い時があるかもしれないから、あんまり無理しないようにね」
キッチリと綺麗に巻かれた包帯に、雪也は我ながら上手く巻けたと一人大満足で頷いていた。そして周の頭をポンポンと優しく撫でると立ち上がり、焦げた釜を持ち上げる。焦げた部分を除けてみたが、元々遠慮したのか米の量が少ないため焦げていない部分が少なく、どうにもこれは食べられる気がしない。周には申し訳ないと思いつつ、雪也はそれをしゃもじである程度真ん中に集めると袋に詰めた。
そして釜を持ちながら再び井戸に向かい、水をくむ。どうにか焦げを落とそうとタスキをかけた時、土を踏む音が聞こえた。振り返れば、やはり深く俯いている周がそこにいる。
「……ごめんなさい。俺が、洗うから」
自分の失敗であるのに後始末を雪也にさせるわけにはいかないと周は言うが、雪也は緩く首を横に振った。
「せっかく薬を塗って包帯を巻いたんだから、ゆっくりしていたら良いよ。これは気にしなくて良い。ねぇ周、僕は一応馬鹿じゃないつもりだ。周がしようと思ってこんなことになっただなんて、思ってないんだよ?」
釜に水を注いでゴシゴシと洗う。なかなかしぶとく焦げ付いているようだが、なんとかなるだろう。
「わざとじゃないんだから、そんなに気にする必要はない。僕もうっかりしてて、ごめんね」
周が悪いというのに、雪也は責めるどころか〝ごめんね〟と言った。あまりのことに周は呆然と立ち尽くすが、雪也は気にすることなくゴシゴシと釜を擦り続ける。
キッチリと綺麗に巻かれた包帯に、雪也は我ながら上手く巻けたと一人大満足で頷いていた。そして周の頭をポンポンと優しく撫でると立ち上がり、焦げた釜を持ち上げる。焦げた部分を除けてみたが、元々遠慮したのか米の量が少ないため焦げていない部分が少なく、どうにもこれは食べられる気がしない。周には申し訳ないと思いつつ、雪也はそれをしゃもじである程度真ん中に集めると袋に詰めた。
そして釜を持ちながら再び井戸に向かい、水をくむ。どうにか焦げを落とそうとタスキをかけた時、土を踏む音が聞こえた。振り返れば、やはり深く俯いている周がそこにいる。
「……ごめんなさい。俺が、洗うから」
自分の失敗であるのに後始末を雪也にさせるわけにはいかないと周は言うが、雪也は緩く首を横に振った。
「せっかく薬を塗って包帯を巻いたんだから、ゆっくりしていたら良いよ。これは気にしなくて良い。ねぇ周、僕は一応馬鹿じゃないつもりだ。周がしようと思ってこんなことになっただなんて、思ってないんだよ?」
釜に水を注いでゴシゴシと洗う。なかなかしぶとく焦げ付いているようだが、なんとかなるだろう。
「わざとじゃないんだから、そんなに気にする必要はない。僕もうっかりしてて、ごめんね」
周が悪いというのに、雪也は責めるどころか〝ごめんね〟と言った。あまりのことに周は呆然と立ち尽くすが、雪也は気にすることなくゴシゴシと釜を擦り続ける。
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