212 / 984
211
しおりを挟む
「上様にそこまでのご信頼をいただけているという証なれば、我が身の誉れと思いこそすれ、不本意だなどとは思いません。姫宮様のことは私も色々聞き及んでおりますから心配ではございますが、そもそも大奥に関われる男は上様のみ。私が残ったところでさしたるお支えにはなれますまい。庵の者たちとて、若くはございますが、もう大人です。物の分別はついているのですから、私達が長期で顔を見せることができずとも、理由も告げているのですから問題はございません。もちろん、私共も」
口ではそんなことを言いながら、弥生は胸の内で紫呉と由弦に詫びる。仕方がないと二人とも理解し納得はしているだろうが、寂しいことには変わりないだろう。それに、雪也の様子も少し気にかかる。あまりにも長期になるようであれば、弥生は動けずとも優たちはそれなりに自由に動けるので、様子を見に行ってもらうのも良いだろう。後で優と紫呉にその事を相談しようと決めて前を向けば、ようやく行列の前に着いた。
「では上様、近くで騎乗しておりますから、何かありましたらお声掛けください」
「ああ、頼む」
用意された籠に茂秋が乗り込むのを見届けて、その引き戸が閉められたと確認すると弥生は用意されていた馬に跨った。近臣の号令で行列が動き出す。
これから倖玖へ向けて、長い長い旅が始まるのだ。
口ではそんなことを言いながら、弥生は胸の内で紫呉と由弦に詫びる。仕方がないと二人とも理解し納得はしているだろうが、寂しいことには変わりないだろう。それに、雪也の様子も少し気にかかる。あまりにも長期になるようであれば、弥生は動けずとも優たちはそれなりに自由に動けるので、様子を見に行ってもらうのも良いだろう。後で優と紫呉にその事を相談しようと決めて前を向けば、ようやく行列の前に着いた。
「では上様、近くで騎乗しておりますから、何かありましたらお声掛けください」
「ああ、頼む」
用意された籠に茂秋が乗り込むのを見届けて、その引き戸が閉められたと確認すると弥生は用意されていた馬に跨った。近臣の号令で行列が動き出す。
これから倖玖へ向けて、長い長い旅が始まるのだ。
3
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
キミがいる
hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。
何が原因でイジメられていたかなんて分からない。
けれどずっと続いているイジメ。
だけどボクには親友の彼がいた。
明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。
彼のことを心から信じていたけれど…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる