必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 一歩、一歩と無意識に騒めきの方へ近づく。蒼の店の前にある民家の影に隠れ、そっと顔を覗かせた。薄暗い道に多くの人が集まっており、その中を役人らしき者が押す荷台の列が通る。あちこちの店の前で停まった荷台はすべてムシロがかけられていて中をうかがい知ることはできないが、その周りで妻であろう女性がすすり泣き、あるいは子供が泣き叫びながら縋りついているのを見れば、嫌でもその中身を知ることになる。
 毎日毎日戯れのように夫婦喧嘩をしていた果物屋の親父さん、珍しく湊やサクラを見ても顔色一つ変えず爽やかに笑っていた米屋の若旦那、娘を溺愛していた肉屋の親父。
 それぞれの店に荷台が停まって、悲しみが溢れる。そんな中で、蒼の店にもまた一台停まる。ヒュッ、と湊の喉が鳴った。
(まさか……)
 まさか、まさかそんなはずッ、だって、違うッ!
 頭の中でウワンウワンと己の声がこだます。もしや、という恐怖と、違う違うと否定する願い。背けることもできない視線の先で、荷車に縋る蒼の母親に近づく男の姿が見えた。母親の叫びが響き渡る。そんな彼女に一礼して去る男の腕を見た瞬間、湊は考えるよりも先に走り出した。
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