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9日目(タクシー)

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 彼女の名はラフィ。
 今日は視察のために僻地の村を訪れていた。


「さて、今日の公務も終わりました。屋敷に帰りましょう……と言いたいところですが困りました。馬車の手配を忘れていました。今から呼んでも来るまで時間がかかりますし……」

「――迎えに来ました」

 ザッ。


「あ、あなたは……」
「どうも、僕です」

 そう言って、男は両手を後ろに回してしゃがみ込みながらニコリとほほ笑んだ。


「その格好……まさかおんぶする気じゃありませんよね?」
「そのまさかです。ささ、お早く。日が暮れてしまいます」
「無茶を言わないでください。ここから屋敷まで歩くと3時間は掛かります。それも私をおぶってなど……」
「なんのその。姫様こそ、忍者の健脚を舐めないでいただきたい」
「……踏破できると?」
「モチのロンです」
「わかりました。ではお願いします。でも、無理なときは無理とすぐに言ってくださいね?」
「ご心配なく。では出発しましょう」
「(……まあ少しでも屋敷に近づいておいて損はないですし、ここは付き合ってみますか。途中で運よく馬車を拾えるかもしれませんし)」


 ~1時間後~


「ま、まさかほんとに屋敷まで辿り着くとは……それもたったの1時間で」
「フフ、このぐらい朝飯前です」
「ありがとうございました。どうぞ中に入って休んでいってください。さぞやお疲れでしょう」
「いえいえ、むしろ元気になったくらいです。僕にとっても役得でしたから」
「役得?」
「ええ。道中、姫様の豊満な胸を背中でたっぷり堪能できたので」
「……やっぱり気が変わりました。このままお引き取りを」
「そうですか。しからば」

 シュバッ。




「…………た、堪能///」
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