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「ねぇ、こんなところでねてるとかぜひいちゃうよ」
ふいに、おこされたぼくは「さむっ!!」思わずさけんだ。
そこは、今にも泣きだしそうな黒いくもが、空いっぱいにうかんび、つめたい風がふきあれていた。
ねはじめた時にいたはずの、ポカポカお日さまも、やさしい風さんのすがたも、そこになかった。
「ねぇ、だいじょうぶ?」
そばにいた女の子が、心配そうにぼくをのぞきこんでくる。
「うん、だいじょうぶ。だけど…ここってどこ?」きいてみるけど
「うーんとねぇ…」
そう言ってしばらくだまりこんだ女の子は、やがて、パチンと手をたたき
「あいの家のちかく!!」
まんめんのえみで、そうこたえる。
よく見ると女の子は、まだおさなく、じぶんと同じ5さいくらいだっだ。
「あいちゃんは、なにしていたの?」
ぼくがたずねると…
「あっ、そつだ!!」
はじかれたように顔をあげ
「あい、ツリーにかざるもの、さがしてたの。
そしたら、おにいちゃんがいて…」
わずかにとがめられてる気がして、
「ごめんなさい」
はなしのとちゅうなのに、口をはさんでしまった。
「お兄ちゃんは?」
「お兄ちゃんはなんで、こんなさむいとこでねてたの?」
すかさず、きいてくるあいちゃんに
「ぼくは、さくっていうんだ」まず、名のりあげ
「ねはじめたときは、こんなにさむくなかったんだよ」にがわらいでごまかす。
そんなぼくを、きょとんとしたかおでみつめたあいちゃんは
「まだ、ねむい?」ぼくにたずねる。
それに、くびを左右にふることでこたえたぼくは
「それより、さっき言ってたツリーってなに?」
はじめて耳にしたことばをたずねると。
「へっ!?ツリーしらないの?」
ふじぎそうなかおをしながらも、ていねいにおしえてくれた。
「ほんとうは、クリスマスツリーっていってね、きれいに木をかざっておくの。すると、クリスマスの前の日の夜に、サンタクロースっていうおじいさんが、それをめじるしにおうちにきてくれるんだよ」
すごくたのしそうに、かおを赤くそめる。
「そのサンタクロースっていうおじいさん。何しにくるの?」
「サンタのおじさんはねー、プレゼントくれるんだよ!!」
はずんだ声でそうさけぶと、ウズウズしたようにからだをゆらしはじめる。
「えっ!?しりあいでもないのに?」
「うん。いいこにしてれば、もらえるんだー!!」
「あいはねー、新しいお人形さんほしいんだー。
さくちゃんも、きっともらえるよー」
「ぼく、お人形さん、いらないよ」
「じゃなくてプレゼントだよ!!」
あいちゃんは、少しもおこったように、ほおをふくらました。
「ムリだよ…ぼく、おうち、かえれない。わからなくなっちゃったんだ、おうちのばしょ」
「それに、めじるしのクリスマスツリーなんて…もってない」いじけて言うと
「じゃ、うちくる?」とつぜん、あいちゃんのいいだしたことに、
ぼくは、おどらき目を大きく見ひらた。
「そんなの…ダメだよ。お父さん、こまらせちゃう」
くびをぶんぶんとふり、ひていするぼくに
「うちはだいじょうぶ」
むねをはるあいちゃん。
けっきょく、おしきられ、ぼくはこの夜、あいちゃんの家にとまった。
しょくじをすませ、おふとんにはいるけれど、ぼくはねむれない。
それどころか、こうふんしていた。
そうぞうすらしたことのないことばかり、たいけんしていた。
それも、たった一日で。なのに、体はしっかりと、つかれていたみたいで…
気づいたら、ゆめの中にいた。
ふいに、おこされたぼくは「さむっ!!」思わずさけんだ。
そこは、今にも泣きだしそうな黒いくもが、空いっぱいにうかんび、つめたい風がふきあれていた。
ねはじめた時にいたはずの、ポカポカお日さまも、やさしい風さんのすがたも、そこになかった。
「ねぇ、だいじょうぶ?」
そばにいた女の子が、心配そうにぼくをのぞきこんでくる。
「うん、だいじょうぶ。だけど…ここってどこ?」きいてみるけど
「うーんとねぇ…」
そう言ってしばらくだまりこんだ女の子は、やがて、パチンと手をたたき
「あいの家のちかく!!」
まんめんのえみで、そうこたえる。
よく見ると女の子は、まだおさなく、じぶんと同じ5さいくらいだっだ。
「あいちゃんは、なにしていたの?」
ぼくがたずねると…
「あっ、そつだ!!」
はじかれたように顔をあげ
「あい、ツリーにかざるもの、さがしてたの。
そしたら、おにいちゃんがいて…」
わずかにとがめられてる気がして、
「ごめんなさい」
はなしのとちゅうなのに、口をはさんでしまった。
「お兄ちゃんは?」
「お兄ちゃんはなんで、こんなさむいとこでねてたの?」
すかさず、きいてくるあいちゃんに
「ぼくは、さくっていうんだ」まず、名のりあげ
「ねはじめたときは、こんなにさむくなかったんだよ」にがわらいでごまかす。
そんなぼくを、きょとんとしたかおでみつめたあいちゃんは
「まだ、ねむい?」ぼくにたずねる。
それに、くびを左右にふることでこたえたぼくは
「それより、さっき言ってたツリーってなに?」
はじめて耳にしたことばをたずねると。
「へっ!?ツリーしらないの?」
ふじぎそうなかおをしながらも、ていねいにおしえてくれた。
「ほんとうは、クリスマスツリーっていってね、きれいに木をかざっておくの。すると、クリスマスの前の日の夜に、サンタクロースっていうおじいさんが、それをめじるしにおうちにきてくれるんだよ」
すごくたのしそうに、かおを赤くそめる。
「そのサンタクロースっていうおじいさん。何しにくるの?」
「サンタのおじさんはねー、プレゼントくれるんだよ!!」
はずんだ声でそうさけぶと、ウズウズしたようにからだをゆらしはじめる。
「えっ!?しりあいでもないのに?」
「うん。いいこにしてれば、もらえるんだー!!」
「あいはねー、新しいお人形さんほしいんだー。
さくちゃんも、きっともらえるよー」
「ぼく、お人形さん、いらないよ」
「じゃなくてプレゼントだよ!!」
あいちゃんは、少しもおこったように、ほおをふくらました。
「ムリだよ…ぼく、おうち、かえれない。わからなくなっちゃったんだ、おうちのばしょ」
「それに、めじるしのクリスマスツリーなんて…もってない」いじけて言うと
「じゃ、うちくる?」とつぜん、あいちゃんのいいだしたことに、
ぼくは、おどらき目を大きく見ひらた。
「そんなの…ダメだよ。お父さん、こまらせちゃう」
くびをぶんぶんとふり、ひていするぼくに
「うちはだいじょうぶ」
むねをはるあいちゃん。
けっきょく、おしきられ、ぼくはこの夜、あいちゃんの家にとまった。
しょくじをすませ、おふとんにはいるけれど、ぼくはねむれない。
それどころか、こうふんしていた。
そうぞうすらしたことのないことばかり、たいけんしていた。
それも、たった一日で。なのに、体はしっかりと、つかれていたみたいで…
気づいたら、ゆめの中にいた。
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