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7話 聖女と魔王
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「わたし グレイに会いたかった」
ミリアリアに治療を受けていた幼女の開口1番がそれだった。
後ろでミリアリアが深く頷いているのをグレイは見逃し、言葉の真意を聞くために膝を曲げ目線を同じくして言葉を重ねた。
「理由を教えてもらって良いかな」
「ん? 会いたかったから」
「そうか会いたかったのかぁ、なら仕方がないな」
グレイの質問に無表情で返してくる幼女にグレイ達は困ったように笑うしかなかった。
「ならひとつ聞かせてくれないかな?」
ジリウスが一歩先へ出て口を開こうとすると。
「ない ただグレイを見れたら良い」
まるでジリウスが何を話そうかを知っていたように幼女は先回りして口を開いた。
それに驚きながらもジリウスは幼女の瞳を覗き込み、何かを考えると肩を竦めて踵を返した。
「どうやら街に害をなす気は無いみたいだね、後はミリィとグレイの判断に任せるよ」
「え? 旦那?」
「領主様が受け入れたならオレも特に言うことはねぇや、じゃあなギルドの仕事に戻るわ」
「え? ちょっ待って」
「それと、流石に子供に手を出すのは衛兵案件だぜ」
「ウルセェ! キメ顔でいう言葉じゃねぇぞ!」
「ハッハッハ! じゃあな!」
ジンの揶揄いに疲れたように項垂れるグレイは幼女をどう扱うか困り果てていた。
それを見る幼女は身じろぎ1つせずにグレイを見つめていた。
「どうして血塗れだったんだ? 誰かに襲われたとか?」
「よく分からない 怖い人に斬られた」
その言葉にグレイが殺気立つが、堪えて質問を重ねる。
「キミに親御さんとかは居るかい? 親代わりでもいいけど」
「いない」
「帰る場所とか」
「ない」
「そうかぁ」
考えるのを止めた。
いくら魔族とはいえ誰かに狙われているであろう幼女を放り出す事はグレイには出来ない。
それなら諦めて思考を切り替えた方が有用だと思う事にしたからだ。
「お嬢はどうしますか?」
グレイは受け入れる事にした、けれど幼女は魔族だ。
様々な厄介事に巻き込まれる可能性を考えれば主人であるミリアリアの考えを聞いておく必要はあった。
最悪の可能性を考えながら。
「別にウチで匿っても良いわよ、私の部屋で面倒見るわ」
最悪は最高で塗りつぶされた。
しかし、あまりにも簡単に言い放つミリアリアに流石のグレイも驚きを隠せなかった。
聖女が魔族を匿う、それがどんなに危険な橋なのか分からないミリアリアでは無いだろう。
口を開こうとするとミリアリアの指がグレイの唇を押さえた。
「私の従者が覚悟を決めたんだもの、主人の私がそれを受け入れないでどうするの?」
グレイはミリアリアが聖女である事を改めて認識した。
人の為に自身を犠牲に出来る精神性、求める者に応える事のできる......この行いを聖女と呼ばずになんと呼べば良いのか。
待ってくだい!筋肉さん! 騙されないで! ほら今ニヤついてますよ! 絶対ろくでもない事を考えてますって!。
「お嬢! ありがとうございます!」
どうして!どうして聞こえないの!。
マスター 少々煩いです、少しお静かに。
「私は最後にこの子と話をしたいから少し席を外してくれないかしら」
「うっす! それじゃあお嬢 後は頼みます!」
「またね、グレイ」
幼女へ小さく手を振りながらグレイはミリアリアの部屋から出ていく。
それを見届けたミリアリアは笑顔を消し、幼女と同じように表情を消した。
父もギルド長も周辺に居ないし、教師の男は魔族を目の前にし既に逃げ出した。
人目を気にする必要は無くない。
ミリアリアは、砕けた窓ガラスに魔力を込めた。
『巻き戻れ』
一言で変化が起きる。
砕けて地に落ちたはずのガラスが宙に浮き全ての破片が何事も無かったかのように元に戻っていた。
「コレでいいか」
世界の摂理を捻じ曲げ時を操る大魔法。
現代では伝説とされている魔王のみが使える反則技だ。
「さて、色々聞きたいことがあるが......まずは場所を変えるぞ煩わしい管理者共の目が邪魔だな」
ミリアリアが指を振るうと世界が止まり、ミリアリアと幼女が暗闇に包まれ世界から姿を隠した。
//////////////////
我が器よ 何故グレイの元へ訪れた。
「少し前 戦女神の気配と一緒にグレイの気配を感じた」
あぁおそらく最初の邂逅の時だろうな。
「気になった 世界を見てもあんなデータない だから会いたくなった」
幼なくとも我が器か。
確かにその気持ちは分かるがコレからは世界を覗くのは最低限にせよ。
他の我に見つかればどのような手段を取ってでも接触しようとするであろうからな。
「ん 分かった」
それと我が器......不便だな、適当にマオとでも呼んでおく。
「マオ? 分かった わたしはマオ」
マオはコレより可能な限りグレイと行動を共にせよ。
それを通して我がグレイを見る。
「どうして?わたしは嬉しいけど 私は?」
最近は聖女としての役割が足を引っ張り満足にグレイと共に居れん。
グレイの為にも聖女の役割を棄てるわけにはいかないのだ。
「そう 分かった 私は大変」
だが その対価にグレイを側に置けるのだから忙しさに見合う。
既知の世界には戻りたくないからな。
どのような手段を使ってでもグレイを手放す気はない。
「ん よく分からない」
まぁいい 貴様も もう少しすれば分かるさ。
それより我の事はミリアリアと呼べ。
「ん どうして? 私はわたし 区別する理由はない」
残念だが、我は私だ。けれどお前ではない。
私の感情も記憶も思い出も誰のモノではない私だけのモノだ。
フフフ 存外 私は今世を気に入っているのだ。
「よく分からないけど分かった」
お前もココで過ごし 記憶と思い出を積み重ねれば分かるさ。
我が半身よ 喜べ 特等席の半分を貴様に譲ってやろう。
ミリアリアに治療を受けていた幼女の開口1番がそれだった。
後ろでミリアリアが深く頷いているのをグレイは見逃し、言葉の真意を聞くために膝を曲げ目線を同じくして言葉を重ねた。
「理由を教えてもらって良いかな」
「ん? 会いたかったから」
「そうか会いたかったのかぁ、なら仕方がないな」
グレイの質問に無表情で返してくる幼女にグレイ達は困ったように笑うしかなかった。
「ならひとつ聞かせてくれないかな?」
ジリウスが一歩先へ出て口を開こうとすると。
「ない ただグレイを見れたら良い」
まるでジリウスが何を話そうかを知っていたように幼女は先回りして口を開いた。
それに驚きながらもジリウスは幼女の瞳を覗き込み、何かを考えると肩を竦めて踵を返した。
「どうやら街に害をなす気は無いみたいだね、後はミリィとグレイの判断に任せるよ」
「え? 旦那?」
「領主様が受け入れたならオレも特に言うことはねぇや、じゃあなギルドの仕事に戻るわ」
「え? ちょっ待って」
「それと、流石に子供に手を出すのは衛兵案件だぜ」
「ウルセェ! キメ顔でいう言葉じゃねぇぞ!」
「ハッハッハ! じゃあな!」
ジンの揶揄いに疲れたように項垂れるグレイは幼女をどう扱うか困り果てていた。
それを見る幼女は身じろぎ1つせずにグレイを見つめていた。
「どうして血塗れだったんだ? 誰かに襲われたとか?」
「よく分からない 怖い人に斬られた」
その言葉にグレイが殺気立つが、堪えて質問を重ねる。
「キミに親御さんとかは居るかい? 親代わりでもいいけど」
「いない」
「帰る場所とか」
「ない」
「そうかぁ」
考えるのを止めた。
いくら魔族とはいえ誰かに狙われているであろう幼女を放り出す事はグレイには出来ない。
それなら諦めて思考を切り替えた方が有用だと思う事にしたからだ。
「お嬢はどうしますか?」
グレイは受け入れる事にした、けれど幼女は魔族だ。
様々な厄介事に巻き込まれる可能性を考えれば主人であるミリアリアの考えを聞いておく必要はあった。
最悪の可能性を考えながら。
「別にウチで匿っても良いわよ、私の部屋で面倒見るわ」
最悪は最高で塗りつぶされた。
しかし、あまりにも簡単に言い放つミリアリアに流石のグレイも驚きを隠せなかった。
聖女が魔族を匿う、それがどんなに危険な橋なのか分からないミリアリアでは無いだろう。
口を開こうとするとミリアリアの指がグレイの唇を押さえた。
「私の従者が覚悟を決めたんだもの、主人の私がそれを受け入れないでどうするの?」
グレイはミリアリアが聖女である事を改めて認識した。
人の為に自身を犠牲に出来る精神性、求める者に応える事のできる......この行いを聖女と呼ばずになんと呼べば良いのか。
待ってくだい!筋肉さん! 騙されないで! ほら今ニヤついてますよ! 絶対ろくでもない事を考えてますって!。
「お嬢! ありがとうございます!」
どうして!どうして聞こえないの!。
マスター 少々煩いです、少しお静かに。
「私は最後にこの子と話をしたいから少し席を外してくれないかしら」
「うっす! それじゃあお嬢 後は頼みます!」
「またね、グレイ」
幼女へ小さく手を振りながらグレイはミリアリアの部屋から出ていく。
それを見届けたミリアリアは笑顔を消し、幼女と同じように表情を消した。
父もギルド長も周辺に居ないし、教師の男は魔族を目の前にし既に逃げ出した。
人目を気にする必要は無くない。
ミリアリアは、砕けた窓ガラスに魔力を込めた。
『巻き戻れ』
一言で変化が起きる。
砕けて地に落ちたはずのガラスが宙に浮き全ての破片が何事も無かったかのように元に戻っていた。
「コレでいいか」
世界の摂理を捻じ曲げ時を操る大魔法。
現代では伝説とされている魔王のみが使える反則技だ。
「さて、色々聞きたいことがあるが......まずは場所を変えるぞ煩わしい管理者共の目が邪魔だな」
ミリアリアが指を振るうと世界が止まり、ミリアリアと幼女が暗闇に包まれ世界から姿を隠した。
//////////////////
我が器よ 何故グレイの元へ訪れた。
「少し前 戦女神の気配と一緒にグレイの気配を感じた」
あぁおそらく最初の邂逅の時だろうな。
「気になった 世界を見てもあんなデータない だから会いたくなった」
幼なくとも我が器か。
確かにその気持ちは分かるがコレからは世界を覗くのは最低限にせよ。
他の我に見つかればどのような手段を取ってでも接触しようとするであろうからな。
「ん 分かった」
それと我が器......不便だな、適当にマオとでも呼んでおく。
「マオ? 分かった わたしはマオ」
マオはコレより可能な限りグレイと行動を共にせよ。
それを通して我がグレイを見る。
「どうして?わたしは嬉しいけど 私は?」
最近は聖女としての役割が足を引っ張り満足にグレイと共に居れん。
グレイの為にも聖女の役割を棄てるわけにはいかないのだ。
「そう 分かった 私は大変」
だが その対価にグレイを側に置けるのだから忙しさに見合う。
既知の世界には戻りたくないからな。
どのような手段を使ってでもグレイを手放す気はない。
「ん よく分からない」
まぁいい 貴様も もう少しすれば分かるさ。
それより我の事はミリアリアと呼べ。
「ん どうして? 私はわたし 区別する理由はない」
残念だが、我は私だ。けれどお前ではない。
私の感情も記憶も思い出も誰のモノではない私だけのモノだ。
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