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幕間 私の勇者
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世界は既知に溢れている。
何をしようが、行動しようがそれは変わらない。
我がどんなに優れていようとも、修正力という点においては世界の方が上手だ。
裏を突こうとも、世界を滅ぼそうとしてもそれは変わらない。
必ず抑止の存在は現れて既知へと変わる。
だから500年前に諦めた。
意思を捨て、何も知らない同族達に言われるがままに世界を敵にした。
誰を消そうが、誰を救おうが既知は消えない。
あの時に勇者に倒されるあの瞬間でさえ既知だった。
全てが世界のシナリオ通り、なんとつまらない世界か。
それは我が魔王からミリアリア・アルティシアとして転生した時でさえ変わらなかった。
おそらく魂が強固過ぎた為にもう一度すり減らそうとしているのだろう。
確かに、この既知に溢れた世界は絶望しか無い。
自死を試みてもこの身に宿された聖女の力が傷を癒してしまう。
世界に絶望したまま、歳を重ねて魔王として復活して新たな勇者に討たれる。
そうしてようやく世界は我の魂を潰せるのだ。
あぁくだらない。
くだらないがどのように動いた所で結末は変わらないのなら考えるのは無駄。
そう思って居た。
あの日まで。
馬車で聖都から自宅へと移動している時だった。
今にも雨が降り出しそうな空は幾許もしないうちに大雨となるのも。
スラム街から飛び出し今日まで生き長らえて居た子供が狼型の魔物に食べられるのも。
分かって居た。
既にどの世界の我も暇つぶしに子供を救おうとしても手遅れで生き残るシナリオは存在しない。
存在しなかった。
「死にたくない! 死にたくない!」
狼の首を握りしめて泣き叫ぶ少年の姿。
世界の情報は変わっていない。
ここのあるのは少年だった残骸だけ。
けれど目の前には確かに少年は五体満足で生きている。
既知が未知へと変わった。
何が起きている? どうして! 意味が分からない!。
楽しい。
数百年生きて初めて感じた未知は毒のように『私』の体を駆け巡った。
「アンタだれ?」
幼い不安を抱えた少年の声。それすらも初めての情報だった。
声は震えて居ないだろうか?。
不審に思われて居ないだろうか?。
彼を手元に置きたい。
いや、何があろうとも手放してなるものか。
少年の傷を癒しながら、前世で培った話術で緊張をほぐしていく。
そして。
「ありがとう! ミリアリア様!」
あぁコレはダメだ。
少年の眩い笑顔に私は諦めたように笑う。
きっとこの世界で私を殺す毒は彼なのだろう。
弱く。弱く。脆弱にされて彼に殺されても私は笑顔で死ねる。
それ程までに未知は毒だ。
それから今世に父を説得し、彼を......グレイを私専属の執事とする事に成功した。
あの1度きりの未知でも構わない。
どうせ世界が修正してしまうだろう。
そう考えていたが違った。
「お嬢! ドワーフのオッサンと筋肉勝負したら凄く硬い籠手を貰った!」
ある時はドワーフ製の合金籠手を手に入れて来たり。
「お嬢! エルフが酔い潰れてた!」
何故か酔いどれエルフを拾って来たり。
「お嬢! このスライムはゴミ食べるんじゃないか? 筋肉説得してみるぜ!」
人懐っこいスライムをテイムしてみたり。
世界では彼は既に死んだモノと確定され、いつまでも情報の更新が行われないのだ。
だから未知は続く。
彼が笑う度に。
彼が怒る度に。
泣き、悲しみ、声を上げる度に世界は変わる。
今日も未知は続いていく、世界を振り回して。
私の勇者が世界を変える。
何をしようが、行動しようがそれは変わらない。
我がどんなに優れていようとも、修正力という点においては世界の方が上手だ。
裏を突こうとも、世界を滅ぼそうとしてもそれは変わらない。
必ず抑止の存在は現れて既知へと変わる。
だから500年前に諦めた。
意思を捨て、何も知らない同族達に言われるがままに世界を敵にした。
誰を消そうが、誰を救おうが既知は消えない。
あの時に勇者に倒されるあの瞬間でさえ既知だった。
全てが世界のシナリオ通り、なんとつまらない世界か。
それは我が魔王からミリアリア・アルティシアとして転生した時でさえ変わらなかった。
おそらく魂が強固過ぎた為にもう一度すり減らそうとしているのだろう。
確かに、この既知に溢れた世界は絶望しか無い。
自死を試みてもこの身に宿された聖女の力が傷を癒してしまう。
世界に絶望したまま、歳を重ねて魔王として復活して新たな勇者に討たれる。
そうしてようやく世界は我の魂を潰せるのだ。
あぁくだらない。
くだらないがどのように動いた所で結末は変わらないのなら考えるのは無駄。
そう思って居た。
あの日まで。
馬車で聖都から自宅へと移動している時だった。
今にも雨が降り出しそうな空は幾許もしないうちに大雨となるのも。
スラム街から飛び出し今日まで生き長らえて居た子供が狼型の魔物に食べられるのも。
分かって居た。
既にどの世界の我も暇つぶしに子供を救おうとしても手遅れで生き残るシナリオは存在しない。
存在しなかった。
「死にたくない! 死にたくない!」
狼の首を握りしめて泣き叫ぶ少年の姿。
世界の情報は変わっていない。
ここのあるのは少年だった残骸だけ。
けれど目の前には確かに少年は五体満足で生きている。
既知が未知へと変わった。
何が起きている? どうして! 意味が分からない!。
楽しい。
数百年生きて初めて感じた未知は毒のように『私』の体を駆け巡った。
「アンタだれ?」
幼い不安を抱えた少年の声。それすらも初めての情報だった。
声は震えて居ないだろうか?。
不審に思われて居ないだろうか?。
彼を手元に置きたい。
いや、何があろうとも手放してなるものか。
少年の傷を癒しながら、前世で培った話術で緊張をほぐしていく。
そして。
「ありがとう! ミリアリア様!」
あぁコレはダメだ。
少年の眩い笑顔に私は諦めたように笑う。
きっとこの世界で私を殺す毒は彼なのだろう。
弱く。弱く。脆弱にされて彼に殺されても私は笑顔で死ねる。
それ程までに未知は毒だ。
それから今世に父を説得し、彼を......グレイを私専属の執事とする事に成功した。
あの1度きりの未知でも構わない。
どうせ世界が修正してしまうだろう。
そう考えていたが違った。
「お嬢! ドワーフのオッサンと筋肉勝負したら凄く硬い籠手を貰った!」
ある時はドワーフ製の合金籠手を手に入れて来たり。
「お嬢! エルフが酔い潰れてた!」
何故か酔いどれエルフを拾って来たり。
「お嬢! このスライムはゴミ食べるんじゃないか? 筋肉説得してみるぜ!」
人懐っこいスライムをテイムしてみたり。
世界では彼は既に死んだモノと確定され、いつまでも情報の更新が行われないのだ。
だから未知は続く。
彼が笑う度に。
彼が怒る度に。
泣き、悲しみ、声を上げる度に世界は変わる。
今日も未知は続いていく、世界を振り回して。
私の勇者が世界を変える。
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