8 / 12
第三話 吸血鬼の異世界探索
しおりを挟む
五年前、夢幻界に大きな爆発が起こり、キノコ雲を出現させた。多くの者が死に、天からは黒い雨が降り、大地を地獄に変えた。
―――<第三話 吸血鬼の異世界探索>
吸血鬼の館のテラスで、パラソルをさしたブルーと了が話をしていた。設置されているテーブルにはケーキや紅茶が並び、了はそれを口にして満面の笑みを浮かべていた。そんな了に、腕を組みながらブルーは尋ねる。
「了、この世界はどんな世界だ?」
「いきなりなんだ」
紅茶を飲みながら疑問に思う了にたいして、ブルーは前髪を指でいじくりながら話す。
「なに、この世界に住むにあたってどんな世界か知りたくてな」
「なら人の街にある管理所に行けばいい」
了の口から出た管理所という聞きなれない言葉に、首を傾げるブルー。了はそんな彼女に説明する。
「治安を守ったりしている組織。私もそこに所属している。そこにいけば『アサキシ』という人間がこの世界について詳しく教えてくれるぞ」
「そうか、管理所とはどんな建物だ?」
「赤レンガでできた建物。人里の中では大きい建物だからすぐにわかるよ」
「私の様な吸血鬼が人が住む里に行って平気か?」
「数少ないが人の街にも妖怪は住んでいるし、平気さ。念のため私の紹介状を渡すよ」
「お気遣いありがとう。明日行ってくるよ ……質問したついでに何だが、了はなんで男の口調なんだ?」
美少女の了が男の口調であるのは、ブルーの目から見てもおかしかった。
「ん、それは友人からこうした方が、戦う者として威圧感でるぞっていわれたから」
「確かに、男口調の方が威圧感は出るが、年頃の娘だろ? それに女なのに男らしい了って名前気にしてないのか?」
「私にとって男口調でも女口調でもどうでもいいのし、名は体を表しているのさ」
そう言って、ケーキを食べ、紅茶を飲み干し、今日五回目の、おかわりをディナに申し出た。
―――
翌日の昼
日光除けのパラソルをかざし、赤いドレスを着たブルーが人里に居た。
「ほほう。これは」
ブルーは人の街の昔のヨーロッパ風のレンガや石造りでできた街並みに感嘆のため息をもらした。
「夢幻界とはこの場所は西洋に存在する場所なのか? ……ん?」
そう言いながら通りを歩いていると、ブルーにとって知らない東洋建築のパン屋をみつけた。
窓ガラスから店内を見てみるとそこには、エプロンをつけた着物の男性が働いていた。西洋建築のなかに東洋の服があるその異質さに首を傾げる。
「西洋なのか、東洋なのかはっきりしないな。どこなんだここは」
そうつぶやきながら再び歩き出した。歩いているとブルーにとって異質な者を見た。
「なんだあいつ……」
ブルーが見た者は、現代の服を着た若い女性の姿だった。女の姿は紫色のシャツを着ておりジーパンをはいていた。先ほど見た着物や自分が知る西洋のファッションとは違う物をみて、パラソルを思わず手から落としてしまいそうになるほど困惑した。
これは彼女が現代の服装を知らないことを意味しており、古い時代出身であることの表れでもあった。
「本当なんなんだ?」
困惑しながらも彼女は、人里を回った。
歩いていると人里の中心ともいえる大きな広場にきていた。広場にはベンチが設置されていて人々が座り談笑していた。
そんな広場の中心には、四角い石碑が立てられていた。人里を見て回って疲れたブルーは談笑する人々と同じようにベンチに座る。
「ふう疲れたわ…… あの石碑はなんだ」
ベンチに座った彼女の視界に石碑がうつる。よく見てみると石碑には慰霊の文字と無病息災と書かれていた。
(何かあったのか?) と思いながらしばしの間休息して、再び里を見て回った。
見て回ったことで、人の街は古風な洋風の建築や文化が基本で、東洋の建築物や現代の物は特殊だとわかった。
ブルーはこの世界について歴史や文化をふくめて気になりだしていた。
「さて、当初の目的の目的地、管理所とやらに向かうか」
―――
赤いレンガでできた三階建ての管理所の所長室に、吸血鬼ブルーが椅子に座って居た。
話を聞きに来たと伝えると、この部屋に通され、所長のアサキシはしばらくしたら来るので待っていていてほしいと言われて用意された椅子に座り待っていた。
所長室の内装は様々な書物が壁の本棚に並べてあり、この部屋の主の知識量を物語っていた。部屋の窓の前に大きな机が備えられており、その上は古ぼけた地球儀が置かれていた。
部屋にかけられた時計が鳴ると、ガチャリと扉が開く音が部屋に響く。
―――<第三話 吸血鬼の異世界探索>
吸血鬼の館のテラスで、パラソルをさしたブルーと了が話をしていた。設置されているテーブルにはケーキや紅茶が並び、了はそれを口にして満面の笑みを浮かべていた。そんな了に、腕を組みながらブルーは尋ねる。
「了、この世界はどんな世界だ?」
「いきなりなんだ」
紅茶を飲みながら疑問に思う了にたいして、ブルーは前髪を指でいじくりながら話す。
「なに、この世界に住むにあたってどんな世界か知りたくてな」
「なら人の街にある管理所に行けばいい」
了の口から出た管理所という聞きなれない言葉に、首を傾げるブルー。了はそんな彼女に説明する。
「治安を守ったりしている組織。私もそこに所属している。そこにいけば『アサキシ』という人間がこの世界について詳しく教えてくれるぞ」
「そうか、管理所とはどんな建物だ?」
「赤レンガでできた建物。人里の中では大きい建物だからすぐにわかるよ」
「私の様な吸血鬼が人が住む里に行って平気か?」
「数少ないが人の街にも妖怪は住んでいるし、平気さ。念のため私の紹介状を渡すよ」
「お気遣いありがとう。明日行ってくるよ ……質問したついでに何だが、了はなんで男の口調なんだ?」
美少女の了が男の口調であるのは、ブルーの目から見てもおかしかった。
「ん、それは友人からこうした方が、戦う者として威圧感でるぞっていわれたから」
「確かに、男口調の方が威圧感は出るが、年頃の娘だろ? それに女なのに男らしい了って名前気にしてないのか?」
「私にとって男口調でも女口調でもどうでもいいのし、名は体を表しているのさ」
そう言って、ケーキを食べ、紅茶を飲み干し、今日五回目の、おかわりをディナに申し出た。
―――
翌日の昼
日光除けのパラソルをかざし、赤いドレスを着たブルーが人里に居た。
「ほほう。これは」
ブルーは人の街の昔のヨーロッパ風のレンガや石造りでできた街並みに感嘆のため息をもらした。
「夢幻界とはこの場所は西洋に存在する場所なのか? ……ん?」
そう言いながら通りを歩いていると、ブルーにとって知らない東洋建築のパン屋をみつけた。
窓ガラスから店内を見てみるとそこには、エプロンをつけた着物の男性が働いていた。西洋建築のなかに東洋の服があるその異質さに首を傾げる。
「西洋なのか、東洋なのかはっきりしないな。どこなんだここは」
そうつぶやきながら再び歩き出した。歩いているとブルーにとって異質な者を見た。
「なんだあいつ……」
ブルーが見た者は、現代の服を着た若い女性の姿だった。女の姿は紫色のシャツを着ておりジーパンをはいていた。先ほど見た着物や自分が知る西洋のファッションとは違う物をみて、パラソルを思わず手から落としてしまいそうになるほど困惑した。
これは彼女が現代の服装を知らないことを意味しており、古い時代出身であることの表れでもあった。
「本当なんなんだ?」
困惑しながらも彼女は、人里を回った。
歩いていると人里の中心ともいえる大きな広場にきていた。広場にはベンチが設置されていて人々が座り談笑していた。
そんな広場の中心には、四角い石碑が立てられていた。人里を見て回って疲れたブルーは談笑する人々と同じようにベンチに座る。
「ふう疲れたわ…… あの石碑はなんだ」
ベンチに座った彼女の視界に石碑がうつる。よく見てみると石碑には慰霊の文字と無病息災と書かれていた。
(何かあったのか?) と思いながらしばしの間休息して、再び里を見て回った。
見て回ったことで、人の街は古風な洋風の建築や文化が基本で、東洋の建築物や現代の物は特殊だとわかった。
ブルーはこの世界について歴史や文化をふくめて気になりだしていた。
「さて、当初の目的の目的地、管理所とやらに向かうか」
―――
赤いレンガでできた三階建ての管理所の所長室に、吸血鬼ブルーが椅子に座って居た。
話を聞きに来たと伝えると、この部屋に通され、所長のアサキシはしばらくしたら来るので待っていていてほしいと言われて用意された椅子に座り待っていた。
所長室の内装は様々な書物が壁の本棚に並べてあり、この部屋の主の知識量を物語っていた。部屋の窓の前に大きな机が備えられており、その上は古ぼけた地球儀が置かれていた。
部屋にかけられた時計が鳴ると、ガチャリと扉が開く音が部屋に響く。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる