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第三話 吸血鬼の異世界探索 2
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「待たせて、すまないな」
部屋に入ってブルーと対面したのは、凛とした美しい女性だった。女性の髪は青く、長さは背にかかるほどで、服はワンピースに似た物を着ており、片腕には赤いドクロの刻印がされている黒いブレスレットをつけていた。
その女性の名はアサキシ。この部屋の主であり管理所の所長を務めている。アサキシを見たブルーは意外に思った。
(こんな女が、ここの主だとは。了みたいな戦士が所属している組織だから筋肉男か年老いた老人を想像していたが)
ブルーの想像とは違いアサキシは女で、年齢は二十五歳と若い。容姿はブルーに引けを取らず美しく、胸は服の上からでもわかるほど大きい上に、背が高くて腰は細い。いわゆるモデル体型であった。
そんな彼女をみてブルーは少しがっかりした。
(イイ女じゃなくて、筋骨隆々でいい男だったらよかったんだけどなー)
がっかりしているブルーに、アサキシは不思議に思いながらも話しかける。
「しかし驚いたよ。事件を起こした吸血鬼が頭を下げこの世界について、知りたいがために此処に来るとはな」
アサキシの言葉にブルーは少しイラつきながらも来たわけを話す。
「了にこの世界について知りたければ、此処に来いと言われたんでね。この世界に住むんだ、文化や歴史について知りたい」
「そうか、そうかいいだろう」
それを聞いて頷き、椅子に座ってアサキシは話を夢幻界について語り始める。
「まずこの世界についてだ。少しお前にとって不愉快な言葉が出るかもしれんがいいか」
「構わん」
「そうか。この世界は夢幻界と呼ばれて、魔法や奇跡や妖怪が普通に存在する世界だ」
「普遍的な異世界だな」
「次はこの世界について大まかな歴史を話すか。この世界では5年前に妖怪と人間の大きな争いがあったが、今は和解している」
アサキシの話にブルーは声を上げて困惑した。
「妖怪との大きな争いだと! 妖怪は人を襲う等して力を得るが人が居なければ力を失う。それこそ幻想になって消えることもある。なのに人に対して大きな争いなどありえない」
「それは、『先導師』と呼ばれる者が現れたからだ」
「『先導師』?」
聞いたこと無い言葉を呟き、アサキシはそうだと答える
「この世界も妖怪と人との大きな争いも無い時代。要は妖怪は人を脅かし人が退治する関係であり、命の危険が深刻な問題では無かった時代があった。だが、先導師が現れたことで全てが変わった」
ブレスレットに手を当てながら、ブルーに語る。
「先導師はこの世界に相応しくないほどのオーバーテクノロジーを与えた。人体の細胞を自在に操る技術、ナノマシンと呼ばれるものや特殊兵器、パワードスーツなどをな」
「細胞を操る!? そんなばかな」
ブルーは驚きそう口にしたが、アサキシは「本当だ」と答えて話を続ける。
「そのせいで、妖怪たちは恐れた。人間世界の様に科学が進歩することで人間が強くなり、妖怪は再び力を落として脅威で無くなって消えてしまうのではないかと」
「消えてしまう恐怖ね、確かに恐ろしい」
「その恐怖で妖怪は、今以上に必要以上に人を襲い殺した。自らの存在を揺るぎない物にするために」
「しかし、人間もやられっぱなしではないだろう?」
ブルーが口を挟む。人間はやられたらやり返す生き物、それは彼女にも分かっていた。ブルーの言葉にアサキシもうなずき肯定する。
部屋に入ってブルーと対面したのは、凛とした美しい女性だった。女性の髪は青く、長さは背にかかるほどで、服はワンピースに似た物を着ており、片腕には赤いドクロの刻印がされている黒いブレスレットをつけていた。
その女性の名はアサキシ。この部屋の主であり管理所の所長を務めている。アサキシを見たブルーは意外に思った。
(こんな女が、ここの主だとは。了みたいな戦士が所属している組織だから筋肉男か年老いた老人を想像していたが)
ブルーの想像とは違いアサキシは女で、年齢は二十五歳と若い。容姿はブルーに引けを取らず美しく、胸は服の上からでもわかるほど大きい上に、背が高くて腰は細い。いわゆるモデル体型であった。
そんな彼女をみてブルーは少しがっかりした。
(イイ女じゃなくて、筋骨隆々でいい男だったらよかったんだけどなー)
がっかりしているブルーに、アサキシは不思議に思いながらも話しかける。
「しかし驚いたよ。事件を起こした吸血鬼が頭を下げこの世界について、知りたいがために此処に来るとはな」
アサキシの言葉にブルーは少しイラつきながらも来たわけを話す。
「了にこの世界について知りたければ、此処に来いと言われたんでね。この世界に住むんだ、文化や歴史について知りたい」
「そうか、そうかいいだろう」
それを聞いて頷き、椅子に座ってアサキシは話を夢幻界について語り始める。
「まずこの世界についてだ。少しお前にとって不愉快な言葉が出るかもしれんがいいか」
「構わん」
「そうか。この世界は夢幻界と呼ばれて、魔法や奇跡や妖怪が普通に存在する世界だ」
「普遍的な異世界だな」
「次はこの世界について大まかな歴史を話すか。この世界では5年前に妖怪と人間の大きな争いがあったが、今は和解している」
アサキシの話にブルーは声を上げて困惑した。
「妖怪との大きな争いだと! 妖怪は人を襲う等して力を得るが人が居なければ力を失う。それこそ幻想になって消えることもある。なのに人に対して大きな争いなどありえない」
「それは、『先導師』と呼ばれる者が現れたからだ」
「『先導師』?」
聞いたこと無い言葉を呟き、アサキシはそうだと答える
「この世界も妖怪と人との大きな争いも無い時代。要は妖怪は人を脅かし人が退治する関係であり、命の危険が深刻な問題では無かった時代があった。だが、先導師が現れたことで全てが変わった」
ブレスレットに手を当てながら、ブルーに語る。
「先導師はこの世界に相応しくないほどのオーバーテクノロジーを与えた。人体の細胞を自在に操る技術、ナノマシンと呼ばれるものや特殊兵器、パワードスーツなどをな」
「細胞を操る!? そんなばかな」
ブルーは驚きそう口にしたが、アサキシは「本当だ」と答えて話を続ける。
「そのせいで、妖怪たちは恐れた。人間世界の様に科学が進歩することで人間が強くなり、妖怪は再び力を落として脅威で無くなって消えてしまうのではないかと」
「消えてしまう恐怖ね、確かに恐ろしい」
「その恐怖で妖怪は、今以上に必要以上に人を襲い殺した。自らの存在を揺るぎない物にするために」
「しかし、人間もやられっぱなしではないだろう?」
ブルーが口を挟む。人間はやられたらやり返す生き物、それは彼女にも分かっていた。ブルーの言葉にアサキシもうなずき肯定する。
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