側妃が欲しいのですか? 言い訳は聞きたくありません

みみぢあん

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17話 薬湯茶の正体

 ファゼリー伯爵が秘密裏ひみつり薬湯茶やくとうちゃを医師に見せて調べてみると… 侍女のロッティがれていたお茶は、疲労回復ではなく、避妊ひにんが主な効能こうのうだと判明した。
 ロッティはその日のうちに拘束され、ファゼリー伯爵の厳しい尋問じんもんが始まり… 同時にロッティの交友こうゆう関係が調査される。

 朝食室で薬湯茶に疑問を持った日の翌日。
 王太子の執務室で、応接用のソファセットに腰を下ろした王太子夫妻に、調査の進捗状況しんちょくじょうきょうをファゼリー伯爵が報告した。



「王宮医の1人? ロッティはその人と不倫関係にあったと?! ファゼリー伯爵、ロッティはいつからその男性と付き合っていたのかわかりますか?」
 知らなかったわ! ロッティに恋人がいたなんて… それも相手は妻子がいる医師ですって? なぜそんな人と……

 ベアトリスは自分の友人だと思っていた、侍女のことを何も知らなかったことに、驚愕きょうがくし… 寂しい思いに捕らわれる。

「はい、妃殿下… 周囲の者たちの話では、恐らく3年ほど前から、不倫関係が始まったそうです」

「3年?! そんな前から、ロッティは……」
 なぜなの? なぜ?!

「それでエドガー、その不倫相手がロッティに避妊用の茶葉を渡したのか?」
 顔を真っ青にして動揺するベアトリスを、2人掛けのソファに座り… 隣から抱きしめ、マクシミリアンもファゼリー伯爵にたずねた。

「はい、その医師も昨日のうちに拘束して尋問じんもんしたら、そう自白しましたから」
 ファゼリー伯爵は淡々と報告を続ける。

「ロッティは… 薬湯茶が避妊用だと知っていたのですか?」

「…はい、妃殿下… 残念ながら… ロッティは何もかも知っていて、共犯になったようです」
 さすがに信頼していた侍女の裏切りを、ベアトリスに話すのが気が引けたらしく、ファゼリー伯爵はほんの少し言いよどむ。

「避妊用だと知っていて、私に飲ませた?」
 私に子供が出来なくて苦しんでいることを、1番知っていたロッティが… なぜなの?!

「理由は? 犯行の動機どうきをロッティは自白したのか?」

「はい、殿下… それは… 不倫相手の医師にそそのかされたのが、1番の理由です」
 ファゼリー伯爵はチラリッ… とベアトリスに一瞬だけ視線を向けた。

「1番の理由…? 他にも理由があるのだな?」

 マクシミリアンの腕の中で、ベアトリスはビクッ… と身体を震わせる。
「……っ?!」
 ロッティ、私が何をしたと言うの?! ひどいわ!!

「はい… ロッティは妃殿下に強いうらみを持っていたようです」
 動揺するベアトリスを見て、言いよどんでいたファゼリー伯爵は、意を決したように、マクシミリアンの問いに答えた。

「何故だ?! 私が見る限り、ベアトリスほど使用人たちに親切な王族はいないと思うが…?」
 自分の腕の中で身体を震わせるベアトリスを、険しい表情でマクシミリアンは見下ろす。

「問題は… 妃殿下が殿下の元へ、嫁いで来られる前までさかのぼります」

「嫁いでくる前?!」

「どういうことですか、ファゼリー伯爵」
 私が母国にいる時から、ロッティにうらまれていたということなの?



 思いも寄らぬ方向へと話が進み… ベアトリスは何が何だか、わからなくなる。






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