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49話 ミレイユの叔母たち
しおりを挟む社交界にクレマンが従妹と浮気をしていたと、アルブライトン公爵家の嫌がらせで広がった醜聞のせいで… ミレイユの母方の叔母(クレマンを最初にミレイユに紹介した人)につかまってしまう。
「叔母様… 浮気のうわさはデタラメなのよ?」
ミレイユはクレマンを助けようと、叔母に説明したが…
「オルドリッジ子爵家の令息なら、浮気の心配は無いと思っていたけれど… 残念だわ!」
「申し訳ありません、伯爵夫人! 僕の軽率な行動で、ミレイユに大きな迷惑をかけたことを、心から反省しています!」
クレマンはチクチクとミレイユの叔母に嫌味を言われ、泣きそうになる。
――― だが…
それはまだ序の口で、国王の補佐官であるミレイユの父に、もう1人の叔母(父方)に、紹介された時は…
「私の可愛い姪の婚約者はあなたね?」
「はい…… 王妃様」
ミレイユの隣に立ち、王妃の問いかけに答えるクレマンの腕が密かに震えていた。
「あなたの醜聞は、私の耳にも届いているわよ…?」
「はい………」
真冬の凍てついた湖のような瞳で、王妃(父方の叔母)に見つめられ、クレマンの顔は血の気を失い、真っ青になっていた。
「無能で愚かな者ほど、他人に濡れ衣を着せて、足を引っ張ろうとするものです… あなたも気を付けなさい!」
王妃は夜会が始まる前に、実兄であるミレイユの父から、クレマンに関する醜聞はアルブライトン公爵家が流したデタラメだと聞かされている。
「は… はい! 王妃様!」
「それにしても… そのような虚偽を信じる愚か者が、この王国にいるとは… 何とも嘆かわしいことですね!」
王妃は夜会に招待された貴族たちが見守る中、厳かにクレマンの醜聞は濡れ衣であり、それを信じる者は愚か者だと言い放ったのだ。
大広間にはクレマンの醜聞を流した王妃の政敵、第2王子を王太子にしようとしている、アルブライトン公爵家の者たちもいた。
学園の食堂で、ミレイユたちに絡んで来たジョゼフの姿もある。
「ねぇミレイユ? あなたも、そう思わないかしら?」
王妃は打って変わって、ミレイユにあたたかい眼差しを向ける。
「はい、王妃様… 私も数日前に学園で、とても愚かな人と出会いました… 自分が犯した不正を恥じることもなく、私の婚約者に嫌がらせをするような卑劣な人でした」
ミレイユは学園の食堂でジョゼフにされたことを思いだし… とっさにその時のことを、王妃に語った。
少し前までニヤニヤと笑っていたジョゼフの姿が、ちょうどミレイユの視界に入り怒りを感じたからだ。
「ああ… なんと嘆かわしいことでしょう…!」
政敵アルブライトン公爵家への嫌がらせと、可愛い姪のために、王妃は憂いをおびた声で、貴族たちの前で嘆いて見せる。
少し前まで、クレマンの話で花を咲かせていた貴族たちだが… 王妃とミレイユの会話を聞いた後は、『誰がクレマンに嫌がらせをしたのか?』に話題が変わっていた。
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