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7話 リアンナの縁談
しおりを挟む結婚相手がどんな相手でも、リアンナは伯爵家から出ることができれば、今よりはまともな生活ができるのではないかと、期待を持っていた。
だからこそ、学園の成績を上位で維持するために、今まで血のにじむような努力を続けてきたのだ。
「リアンナ、お前の夫となるローンヘッド男爵だ… 挨拶をしなさい」
ペルサル伯爵はニヤニヤと笑みをうかべて、執務室にいた先客をリアンナに紹介した。
「ローンヘッド男爵様、初めましてリアンナと申します」
やっぱりこの人が、私の結婚相手なのね? いったいどんな人なのかしら? お父様と同じぐらいの年齢にみえるけれど… 優しい人だと良いなぁ?
リアンナはローンヘッド男爵に向きなおり、伯爵令嬢らしく優雅なおじぎをしてから、期待を込めて顔をあげると… 相手の顔をほほ笑みながら見つめた。
「初めましてリアンナ嬢… お会い出来て光栄です」
ローンヘッド男爵はリアンナの前まで来て、手をとるとキスをして顔をあげる。
「…っ?!」
リアンナは自分を見つめるローンヘッド男爵の視線に、思わず息をのむ。
「……」
顔をあげてリアンナを見つめるローンヘッド男爵の視線は、驚くほど冷ややかだった。
「……っ」
ローンヘッド男爵様は、きっと私との結婚を望んでいないのだわ?! 男爵様の冷たい眼差しには覚えがある。
まるでお義母様が… 私に向ける軽蔑の眼差しと同じだから! ああっ! もしかすると、この人は私が伯爵家の婚外子だと知っているのではないかしら?
名門、ペルサル伯爵家の当主であるリアンナの父親は、貴族社会で大きな影響力を持っている。
そんな父親が何らかの理由でローンヘッド男爵に、リアンナとの結婚を無理強いしたのはあきらかだった。
「リアンナ嬢は学園ではとても成績優秀だと、お父上にお聞きしましたが… あなたは努力家なのですね?」
穏やかな声でリアンナを称賛する男爵だが… 穏やかなのは声だけだった。
リアンナの父に背を向けたローンヘッド男爵の表情には、リアンナをバカにするような嘲笑がうかんでいる。
背筋が凍りそうな男爵の冷たい視線にたえられず、リアンナはうつむく。
「は… はい、男爵様…」
嫁いだら幸せになるどころか… 新たな地獄が、私を待っているのね? 考えが甘かった。
婚外子はどこに行っても婚外子なのだわ。
結婚への期待は儚く消えてしまったが… いつものようにリアンナは隙の無い淑女の笑みをはりつけ、失望をかくした顔をゆっくりとあげる。
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