契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん

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21話 婚約式


 からりと晴れたあたたかな日に、フラッドリー公爵家の庭園で、神官が立ち合いリアンナとアルベールの婚約式がおこなわれた。

 アルベールの瞳と同じ、あわい空色のドレスで身をつつんだリアンナと… リアンナのドレスが美しくえるように合わせて仕立てた、ブルーの礼装姿のアルベール。
 美男美女の2人は一対いっついの絵のようにおにあいで、美しく輝いていた。


「公爵家の婚約式だからもっと、華々しいと思っていたのに… なんて地味でつまらない式なのかしら?」
 リアンナの義母、ペルサル伯爵夫人が1番前の参列者席でヒソヒソと夫につぶやいた。

 神官から祝福の言葉を贈られていたリアンナとアルベールの耳にまで、ペルサル伯爵夫人の侮辱ぶじょく的な言葉がとどく。

 1人目の婚約者候補のローンヘッド男爵は、平民の商人あがりで社会的地位が低く、裕福だがペルサル伯爵家よりもずっと格下だった。
 男爵はリアンナにとって最悪の条件の相手だったため、伯爵夫人は喜んでいたが… 突然、ペルサル伯爵家よりも格上のフラッドリー公爵家との縁談えんだんが持ち上がり、ペルサル伯爵夫人はそれ以来ずっと不機嫌なのだ。


「……っ」
 私が公爵家にとつぐのが気に入らないから… お義母様はあんな侮辱ぶじょくを口にするのだわ?! ここには公爵様もいらっしゃるのに… なんて無礼ぶれいな人なの!! 

 フラッドリー公爵が気分を悪くしているのではないかと心配で、リアンナは視線をむけるが… エヴァとならんで参列者席に座る公爵は、不機嫌そうには見えなかった。

 伯爵夫人にフラッドリー公爵家を侮辱ぶじょくされ、リアンナは怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしていると… 隣に立つアルベールに名前を呼ばれ、大きな手でつつみこむように手をにぎられる。

「リア…?」

「?!」
 リアンナは自分の手をにぎるアルベールを見あげると… 

「……」
 困った顔をしているが、『僕は気にしないよ?』と言っているように見えた。

「…っ!」
 そうね、アル… こんな日に私が怒っていてはいけないわね? 落ちつかないと! 卑劣ひれつな伯爵夫人に動じないアルは、本当に立派な人だわ! 誰よりも優しいひとだし…

 リアンナは小さくうなずき、『もう、大丈夫です』 …とアルベールに気持ちを伝える。
 ニッコリと笑い、アルベールもリアンナにうなずき返す。

 婚約が決まってから、毎日一緒に昼食をとるようになり、お互いのことを良く知り親しくなった2人は… 周囲から見れば仲の良い理想のカップルに見えた。

 フラッドリー公爵も自分のおいと、リアンナが手をつないでほほ笑みあう姿を見て、満足そうにしている。

 上機嫌の公爵とは裏腹うらはらに、その隣でエヴァは不機嫌そうにまゆをひそめ、自分の恋人アルベールがほほ笑みかける、リアンナをにらみつけた。





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