34 / 34
32話 その後… ーENDー
しおりを挟むリアンナとアルベールが結婚して1年と数ヶ月がすぎたころ… 田舎にあるフラッドリー公爵家の本邸で、2人に元気な女の子が誕生した。
リアンナの寝室の前で、公爵邸の使用人たちに産まれたばかりの娘のお披露目を終えると… アルベールは叔父の腕に娘をそっとわたした。
「さぁ、叔父上… 僕の娘の名付け親になる約束を、果たして下さい!」
嬉し涙で瞳をうるませて、アルベールは叔父を急かした。
叔父は小さな娘から目を離さず、グスッ… と鼻をすすりながら答える。
「“クラリス” …はどうだろう?」
「クラリス…… 良い名前ですね! うん、僕たちの娘にピッタリだ」
アルベールは空色の瞳をうるませて、何度もうん… うん… とうなずく。
「ふふふっ… これで私の役目も終わりだな…? 亡くなった兄上にようやく報告ができる『アルベールは立派な公爵に成長した』とな…」
アルベールの両親が沈没事故で亡くなっていらい、ずっと親代わりとなり… 時には厳しく叱り、時には優しく見守って来た叔父がホッ… とため息をつく。
「叔父上… 僕たちの子どもは1人では終わりませんよ? 次の子の名まえもお願いします」
「ハハハッ…! 気が早いやつだな? リアンナが聞いたらうんざりするぞ?!」
カラカラと笑いながら、叔父はクラリスを若い父親の腕にもどす。
「リアにも伝えないと… この子の名まえを…」
アルベールは叔父から娘を受け取ると、小さな額にキスをして、リアンナの寝室へ入る。
カチャッ… と扉が開き夫のアルベールがベッドサイドにやって来て、リアンナの隣に産まれたばかりの小さな娘を寝かせる。
「名前はもらえた?」
出産で疲れはて、かすれてしまった声でリアンナはたずねた。
「クラリスだ… 僕たちの娘の名まえはクラリスだよ、リア…」
いすを引いて腰をおろすと、アルベールはリアンナの頬や額、唇にキスをして娘の名前を伝えた。
「まぁ… 良い名前だわ… さすが叔父様ね…」
リアンナが娘の名まえを気に入り笑うと… アルベールは急に心配そうな顔になる。
「でも、女の子なのが心配だな…」
「…どうして?」
女の子は跡取りになれないから?
「だって、ほら… エヴァの子が男の子だろう? 僕たちのクラリスを息子の妻に欲しがるかもしれないじゃないか…」
スウィンフェン子爵家に嫁いだエヴァは、1ヶ月前に、男の子を出産している。
「…ああ!」
「考えると、心配で心配で…」
手段を選ばずエヴァが強引に押し切るのではないかと、今からアルベールは不安なのだ。
「まぁ……」
あらあら… アルはずいぶん先の話で悩んでいるのね?
リアンナはクスクスと笑った。
リアンナとアルベールが結婚して半年もすぎないうちに… エヴァは学園の卒業を待たずに、とちゅうで退学してスウィンフェン子爵家のジョアシャンと結婚した。
エヴァはジョアシャンと婚約して間もなく子供を身籠ってしまったため、醜聞になる前に結婚を急いだのだ。
「ねぇ、アル…? それはその時になってから、クラリスと一緒に考えましょう?」
リアンナは手をのばして、アルベールの頬をなでてなだめる。
「それもそうだね…… リア、愛しているよ」
「私も… 愛しているわ」
ー END ー
ここまで読んで下さりありがとうございました!
またどこかでお会いできれば、幸いです☆彡
285
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
二人が一緒にいる理由
四折 柊
恋愛
キャサリンはヴィクターが好き。だけど私たちは恋人ではない。いわゆる腐れ縁で一緒に過ごしてきた。でもそれも終わる。学園を卒業すればお互いに婚約者を探すことになるから。そうなれば今と同じ気安い関係ではいられなくなるだろう。「それは嫌」キャサリンは勇気を出して想いを告げようと決心した。全4話。
【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆
愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!
香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。
ある日、父親から
「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」
と告げられる。
伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。
その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、
伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。
親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。
ライアンは、冷酷と噂されている。
さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。
決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!?
そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?
【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します
大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。
「私あなたみたいな男性好みじゃないの」
「僕から逃げられると思っているの?」
そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。
すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。
これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない!
「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」
嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。
私は命を守るため。
彼は偽物の妻を得るため。
お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。
「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」
アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。
転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!?
ハッピーエンド保証します。
遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした
おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。
真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。
ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。
「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」
「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」
「…今度は、ちゃんと言葉にするから」
数多の令嬢を弄んだ公爵令息が夫となりましたが、溺愛することにいたしました
鈴元 香奈
恋愛
伯爵家の一人娘エルナは第三王子の婚約者だったが、王子の病気療養を理由に婚約解消となった。そして、次の婚約者に選ばれたのは公爵家長男のリクハルド。何人もの女性を誑かせ弄び、ぼろ布のように捨てた女性の一人に背中を刺され殺されそうになった。そんな醜聞にまみれた男だった。
エルナが最も軽蔑する男。それでも、夫となったリクハルドを妻として支えていく決意をしたエルナだったが。
小説家になろうさんにも投稿しています。
【完結】エリーの純愛~薬草を愛でる令嬢は拗らせた初恋を手放したい~
青依香伽
恋愛
伯爵令嬢のエリーは公爵令嬢である従姉のもとで侍女として働いている。
そんなエリーは、幼い頃からの想い人を忘れることができずに初恋を拗らせていた。
この想いが報われないことなど昔からわかっていたのに。
どんなに好きでも、叶わぬ恋は苦しいだけ。そんな思いから、エリーはついに初恋を手放す決心をした。
そんな矢先、離れて暮らす祖母が体調を崩したとの報せが届く。従姉からの後押しもあり、エリーは大好きな祖母のいる領地へと急いで向かった。
傷ついた心を癒しながらも、今は祖母と領地のために前に進もうと決意するが、長年持ち続けた想いはなかなか手放せるものではなくて......。
※【完結】『ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~』のスピンオフです。本編の女学院卒業後の話になります。
※単独でもご覧いただけるように書いています。
※他サイトでも公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる