すてられた令嬢は、傷心の魔法騎士に溺愛される

みみぢあん

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35話 魔力判定

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 オルドナンス神殿の、神官長の執務室に、ソレイユとアンバレは案内されると…
 お皿のように薄い、不純物や傷がいっさいない無色透明の魔石を、ちょうど大人の顔ほどの大きさで真円しんえん型にけずり、そのまわりを取りかこむように赤、青、黄、緑、紫、乳白色、黒、の色魔石を配置し、金で固定した魔道具を見せられる。


「さぁ、ソレイユ嬢、触れて見て下さい」
 神官長にニコニコとすすめられ… ソレイユは急に恥ずかしくなる。

「はい…」
 きっと何も反応しないわ?! アンバレ様の魔法で飛ばす幻鳥げんちょうを見て、子供のようにはしゃいでしまったけれど… 魔力判定をすると言ってしまったのは間違いだったわ! ううっ… 恥ずかしい!

 ソレイユの隣に立つアンバレも、神官長と同じようにニコニコとソレイユを見守っていて… 増々恥ずかしくなった。
 後悔しながらソレイユは、魔力判定の魔道具にそっと触れる。

「//////////////っ…」
 ほら! やっぱり子供も頃にしたときと同じだわ?!

 予想通り、魔道具は何も反応を示さず、ソレイユは頬を真っ赤にした。

 だが、神官長は…
「ソレイユ嬢、この真円しんえんの真ん中はどこだと思いますか?」

「え?」
 真円の真ん中?!

 神官長にたずねられて、ソレイユは指を真ん中だと思う場所にチョンッ… と置くと…

「なるべく正確に位置を測って、人差し指を中心に置いて下さい」

「正確にですか?」
「はい、正確にです」

「わかりました」
 ニコニコと穏やかに微笑み続ける神官長の顔を見つめ、何のためかはわからないが… 神官長がそうしろと言うのならと、ソレイユは理由は聞かずに、言われるがまま従った。

 まん丸な透明の板の中心を、指の関節や爪の長さを使い、測ってから再び中心にチョンッ… と人差し指を置く。
 言われた通りにすると、不思議なことにポヤッ… と板が白く光った。

「あっ、光った?!」
 キラキラと輝くというほどでは無く、本当にポヤッ… と、胡桃くるみの実ぐらいの大きさで、弱々しい感じではあるが、確かに光っている。

「魔石に集中することで、雑念や不安が消え、より判定しやすくなるのですよ」
 中心を探すことに意味は無く、単にソレイユの集中力を引き出すために、神官長は指示したのだ

「まぁ?!」
 辛うじて… 恥をかかなくて済んだわ?

 ソレイユはホッ… と胸をなで下ろし、自分にも魔力があったのだと喜んだ。

「これはっ…?!」
 ソレイユも驚いたが、それ以上にアンバレの方が驚いていた。

「アンバレ様! 私も幻鳥げんちょうを使えますか?!」

「ああ、連絡用の板にはめ込んだ魔石に、私がたっぷり魔力を込めておけば、問題なく使えるだろう… それよりもだ、神官長この光の色は…?」

「さすがは、王立魔法騎士団の騎士団長様ですね!」
 穏やかに微笑んでいた神官長が、喜色満面の笑みを浮かべた。

「いや、私は団長職は辞めましたから… ああ、いや! 今はそんなことはどうでも良い! この色は……」
 アンバレの驚きの表情が… 何やら考え込むような表情に変わる。


「ソレイユ嬢、あなたのお身内の中に南方の地、ジョファージュにえんのある方は、いらっしゃいませんか?」
 神官長の口から出た町の名前に覚えがあったソレイユは、大きくうなずいた。

「はい? 私の母方の祖母が、ジョファージュの男爵家出身です」
 んん? 魔力の判定に何の関係があるのかしら?

「やはりそうでしたか! ソレイユ嬢のお名前も、南方の古語で太陽という意味ですから、何か関りがあると思っていたのです!」

「ええ、はい! 母の叔母が私と同じ名前で、母がとてもその方をしたい娘の私にも、叔母のように賢い女性になるようにと、名前を頂いたと聞いています… 私はお会いしたことはありませんが…?」

「なるほど! ジョファージュか、それならこの光の色が、ソレイユにあってもおかしくないか?!」
 なぜかアンバレまで嬉しそうに笑う。

 どうやら、魔力に関する知識が豊富な神官長とアンバレは、『何か』を理解しているようすだ。

「あの? ジョファージュがどうしたのですか?」


 今まで魔法にえんの無かったソレイユだけが話が見えずに、顔をしかめた。




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