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77話 帰還した騎士たち
しおりを挟むコカトリスを退治しに、副団長カルムの指揮で地方に出ていた騎士たちが戻って来ると、全員が酷い呪毒に侵されていることが判明した。
ソレイユと神官ジャンティエスは王宮に常設された転移魔法陣のわきで、石床に寝かされた騎士たちを手分けして、聖水で濡らした布をあて地道に浄化する。
「ううっ… 申し訳… ない… 神官殿に、このようなことを… させてしまって…」
醜く広がった呪毒紋に聖水を濡らした布を当てられ、看護を受ける騎士が、ソレイユの見習い神官の服を見て謝罪をする。
ソレイユとは初めて会った騎士で、自分が話している相手がペイサージュ伯爵夫人だと知らないのだ。
「騎士様… 私は神官様のお手伝いをしているだけで、私自身は神官ではないのです… ですから、そのようなことはお気になさらず、今はどうかお身体を休めることだけを考えて下さいね?」
治療師様が治癒魔法をかけて下さり、ひどい火傷は治っているけれど… 呪毒紋が身体じゅうに広がっている! アンバレ様の時よりもずっと酷いわ?!
コカトリスと戦い、続けてイフリートとも戦ったのだから、命があるだけでも幸運だと… 騎士たちはそんな状況にいた。
転移魔法で帰還できた騎士の数は、王都を出発した時の半数にしか満たないからだ。
王宮で働く使用人たちが、ちょうど良い大きさにシーツを切り裂き… 神官長コンプレスが神殿に取りに戻り、追加した聖水を入れた桶に、手ぎわよく布を畳んで浸してゆく。
「……っ」
聖女様はまだ、見つからないの?! 王宮へ着いたとたん、聖女様は1人でどこかへ行ってしまい、いなくなってしまったけれど… 早く騎士様たちの呪毒を浄化しないと、この状態では命に関わるわ?! せっかく、ここまで生きて帰って来れたのに!
あまりにも悲惨な情景に、ソレイユの瞳から涙がこぼれる。
「ソレイユ、大丈夫か?」
アンバレが負傷した騎士の横にひざまずくソレイユの肩をたたく。
「アンバレ様! 聖女様は見つかりましたか?!」
「ああ、見つかったよ! 自室へ戻って、聖女殿はのんびり湯あみまでして、着替えをしていたらしい」
聖女ブリュイは王宮で暮らしているため、王家から自室を与えられているのだ。
王太子たちと一緒に、消えた聖女を捜していたアンバレは、憎々しげにはきすてた。
「湯あみ…?!」
そんな人が本当に聖女と言えるの?! エクレラージュ様の記憶がある私には… とうてい、そんな無責任なことをする聖女がいるなんて… 信じられないわ?!
「今は王太子殿下が説得しているが… 聖女殿のほうは、まだ時間がかかりそうだ」
「…なんて愚かな人なの?!」
「それよりもソレイユ、実はカルムが危ないんだ! もう一度、手当てしてやってくれないか?」
「え?! カルムお兄様が?!」
帰還した騎士たちの中で、カルムお兄様の状態が一番ひどかったから、私は一番最初にお兄様を聖水で浄化したけれど… やっぱり、私ではダメだわ!! 聖女様に何とかしてもらわないと!
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「絶対に嫌です! 今日は怖い思いをたくさんしました、だから私はとても疲れているのです! 浄化なんて出来ません――!!」
「そんな我がままは通用しないぞ、ブリュイ! 自分の義務を果たせ!」
「…っ?!」
ソレイユが振り向くと、王太子に腕をつかまれ引きずられるように、聖女ブリュイがあらわれた。
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