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新たなる属性
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勉強は概ね順調だった。元々の頭の悪さに加え、数ヶ月授業に遅れを取ってしまったことも、今回の成績が悪かった原因の一つだった。レインとソラに付きっきりで教えてもらったお陰で、遅れていた部分はなんとか取り戻せた。
その日もソラに教えてもらいながら、放課後勉強をしていた。
「疲れちゃった?少し休憩しようか。」
「うん。はぁ~······前より解けるようになってきて、ちょっと楽しくなってきた!」
「そっか!あとちょっとやったら、満点も夢じゃないかもね。」
ソラに褒められ、俺はまんざらでもなく嬉しくなった。
「ねぇ、イアン。この前のこと、本当にごめんね。」
「ん?あれはもういいって!」
「いや、嘘ついたこともそうなんだけど····キスしたり、触ったりしたの、すごく嫌だっただろうなって。」
ソラがシュンとしてしまったので、俺はあわてて否定した。さすがヒロイン属性とも言うべきか、ソラが悲しそうにしていると、助けてあげたくなってしまうのだ。
「ソラ違うんだ──嫌だったわけじゃなくて·····俺単純だから、すぐ気持ち良くなっちゃうんだよ。ソラは友達だったから、その·····俺の言ってること分かるだろ?」
「───嫌だったわけじゃなくて、気持ち良くなりそうだったってこと?ただの友達相手だったら、普通キスされるのも嫌じゃない?」
ソラにそのように言われ、俺は確かにそうだと思った。ここはBLゲームの世界。俺は、男に対して何をされても嫌悪感を抱かないように設定されているのだろうか。しかし、ソラ君ファンクラブに襲われた時は死ぬほどゾッとしたんだが。
「うーん····ごめん、俺馬鹿だから自分でも分かんない。」
俺が笑って答えると、ソラはじっと俺を見つめてきた。
「確かめてみようよ。」
「え·····何??」
「僕のこと、生理的に無理かどうか確かめてみよう。嫌だったらすぐやめるから。」
何だそのエロいシチュエーションは。しかし、俺はレインとの性的な絡みを、嫌などころか心待ちにしている自分がいた。これでソラとも抵抗がなくできるとなれば、俺はショボい悪役の分際で、クソビッチ野郎ということになる。俺がクソビッチ属性があるかどうか、確かめたい気持ちもあった。
「友達はそんなことしないと思うけど。でも、ソラがいいなら試してみてもいいよ。」
なんと上から目線な言い方だろうか。これはモテる奴しか許されない発言である。しかし、ソラは腹を立てることなく、少し緊張したような面持ちで俺の手を握ってきた。
俺は、プールの時と違って今からそういうことをする!ということが分かっているので、余計にドキドキしてしまった。ソラの顔が近付いてきた。ソラは近くで見ても毛穴一つない美肌で、色素が薄く、目も髪も薄茶色で人形のようにキレイだ。
ソラの唇が俺の唇と重なり、ぎこちなかったが、そのまま数秒間口付けていた。
ソラの唇は柔らかく、男なのにいい匂いがして、俺は自分で興奮しているのが分かった。ソラがゆっくりと顔を離し、
「イアン、嫌じゃない?」
と恐る恐る聞いてきた。その表情がかわいくて、俺はソラともっとキスしたい衝動に駆られた。大胆にも自分からソラの唇を奪ってしまった。先程とは違い、お互い遠慮せず貪るようなキスをした。
俺とソラがキスに夢中になっていると、
「おい、交代の時間だぞ。」
とドアの外からレインに声をかけられたので、俺たちは慌てて距離を取った。ソラは残念そうな顔をして、「イアン、続きはまた今度」と耳元で囁いた。勉強どころじゃなくなった俺は、
「ご、ごめんレイン!俺今日用事あるの思い出した!先帰るね。」
と言い、足早にレインの部屋を出ていった。
確定だ。俺はクソビッチ野郎だったのだ。もしもソラが純情で、俺とレインのやったことを知らないのだとすれば、俺はいたいけなヒロインを弄ぶ、最低クソ野郎ということになる。
いずれにせよ、くすぶってしまった情欲の火を早く発散させたい。最近では、その時に思い出すのは、悔しくも侍従時代、レインから仕掛けられた数々の行為だったのだが、今日は初めてソラになりそうだ。
久しく女性の裸体を思い出せなくなった自分を恨めしく思いながら、俺は帰路に着いたのだった。
その日もソラに教えてもらいながら、放課後勉強をしていた。
「疲れちゃった?少し休憩しようか。」
「うん。はぁ~······前より解けるようになってきて、ちょっと楽しくなってきた!」
「そっか!あとちょっとやったら、満点も夢じゃないかもね。」
ソラに褒められ、俺はまんざらでもなく嬉しくなった。
「ねぇ、イアン。この前のこと、本当にごめんね。」
「ん?あれはもういいって!」
「いや、嘘ついたこともそうなんだけど····キスしたり、触ったりしたの、すごく嫌だっただろうなって。」
ソラがシュンとしてしまったので、俺はあわてて否定した。さすがヒロイン属性とも言うべきか、ソラが悲しそうにしていると、助けてあげたくなってしまうのだ。
「ソラ違うんだ──嫌だったわけじゃなくて·····俺単純だから、すぐ気持ち良くなっちゃうんだよ。ソラは友達だったから、その·····俺の言ってること分かるだろ?」
「───嫌だったわけじゃなくて、気持ち良くなりそうだったってこと?ただの友達相手だったら、普通キスされるのも嫌じゃない?」
ソラにそのように言われ、俺は確かにそうだと思った。ここはBLゲームの世界。俺は、男に対して何をされても嫌悪感を抱かないように設定されているのだろうか。しかし、ソラ君ファンクラブに襲われた時は死ぬほどゾッとしたんだが。
「うーん····ごめん、俺馬鹿だから自分でも分かんない。」
俺が笑って答えると、ソラはじっと俺を見つめてきた。
「確かめてみようよ。」
「え·····何??」
「僕のこと、生理的に無理かどうか確かめてみよう。嫌だったらすぐやめるから。」
何だそのエロいシチュエーションは。しかし、俺はレインとの性的な絡みを、嫌などころか心待ちにしている自分がいた。これでソラとも抵抗がなくできるとなれば、俺はショボい悪役の分際で、クソビッチ野郎ということになる。俺がクソビッチ属性があるかどうか、確かめたい気持ちもあった。
「友達はそんなことしないと思うけど。でも、ソラがいいなら試してみてもいいよ。」
なんと上から目線な言い方だろうか。これはモテる奴しか許されない発言である。しかし、ソラは腹を立てることなく、少し緊張したような面持ちで俺の手を握ってきた。
俺は、プールの時と違って今からそういうことをする!ということが分かっているので、余計にドキドキしてしまった。ソラの顔が近付いてきた。ソラは近くで見ても毛穴一つない美肌で、色素が薄く、目も髪も薄茶色で人形のようにキレイだ。
ソラの唇が俺の唇と重なり、ぎこちなかったが、そのまま数秒間口付けていた。
ソラの唇は柔らかく、男なのにいい匂いがして、俺は自分で興奮しているのが分かった。ソラがゆっくりと顔を離し、
「イアン、嫌じゃない?」
と恐る恐る聞いてきた。その表情がかわいくて、俺はソラともっとキスしたい衝動に駆られた。大胆にも自分からソラの唇を奪ってしまった。先程とは違い、お互い遠慮せず貪るようなキスをした。
俺とソラがキスに夢中になっていると、
「おい、交代の時間だぞ。」
とドアの外からレインに声をかけられたので、俺たちは慌てて距離を取った。ソラは残念そうな顔をして、「イアン、続きはまた今度」と耳元で囁いた。勉強どころじゃなくなった俺は、
「ご、ごめんレイン!俺今日用事あるの思い出した!先帰るね。」
と言い、足早にレインの部屋を出ていった。
確定だ。俺はクソビッチ野郎だったのだ。もしもソラが純情で、俺とレインのやったことを知らないのだとすれば、俺はいたいけなヒロインを弄ぶ、最低クソ野郎ということになる。
いずれにせよ、くすぶってしまった情欲の火を早く発散させたい。最近では、その時に思い出すのは、悔しくも侍従時代、レインから仕掛けられた数々の行為だったのだが、今日は初めてソラになりそうだ。
久しく女性の裸体を思い出せなくなった自分を恨めしく思いながら、俺は帰路に着いたのだった。
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