破滅エンド後にバグ!?BL乙女ゲームのヒロインポジションが、悪役サブキャラの俺に移ってます!?

きなこもち

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図書館の主

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 俺は屋敷に帰り、自室に籠るとベッドに勢いよくダイブした。

 先程のソラとの口付けを思い出すと堪らない気持ちになり、自然と熱を持つ部分に手が延びてしまった。

 ソラは中性的な美しさがあるが、女の子として見ているかというとそういうわけではない。ソラの穏やかで清純な一面と、泣く子も黙るような恐ろしい一面が俺の頭の中で一致しないが、男女のあれの時、彼はどちらの顔をするんだろうか、俺とソラは体格差はほとんどないが、俺が攻めでソラが受けになるんだろうか、などとどうでもいい妄想を膨らませていると、早々に俺の終わりが近付いてきた。手の速度を早め、思い切り手の中に自身の熱いものを放つと、一気に賢者タイムが襲ってきた。
 (まさか、ソラで抜くことになるなんて······気付かない内に沼らせてくるのがヒロインたる所以か·····!)
 欲望に忠実すぎる自分を呪いながら、俺は眠りに落ちた。


 翌日は、放課後に図書係の仕事があった為、レインとソラとの勉強会は休みだった。昨日ソラとあんなことがあったので顔を会わせずらいこともあり、俺は少しほっとしていた。

 放課後、俺は一人、図書館で本の整理をしていた。少し高めの位置の本棚に『人は転生するのか否か』という明らかに場違いな誰も読まなさそうなタイトルが目に入った。この答えを知るのはこの俺ただ一人だぞ!などと思いながら、なんとなく気になり、背伸びをして本を手に取ろうとした。

 その時、その本の隣にあった、薄い冊子のようなものがバサッと床に落ちた。
 拾ってみると、本ではなく学習ノートのようだ。
 (本棚になんでノート??)
 俺は不思議に思いながら、ノートを開いてみた。中身は授業内容をまとめたごく普通のノートだ。分かりやすくまとめてあり、几帳面な字である。このノートの持ち主は、空きスペースに落書きをしてしまう俺とは違い、きっときちんとした人物なんだろう。

 パラパラとめくると、途中から、

『忘れ物!』

 と別の人物の字で書かれていた。
 ん?ノートを落として、別の誰かが拾ったのか?疑問に思いながら、その先を読み進めていた。

 このノートの持ち主(男)と、ノートを拾った人物(女)は交換日記のように、一言ずつだがメッセージのやり取りをしていた。
 後半は、かなりプライベートなことを話すようになっていて、2人の距離が近付いているのが見て取れた。
 (おいおい!なんだこの甘酸っぱい恋の始まりは······!!)
 この2人が付き合えていたらいいなと思いながら、やり取りの最後のメッセージを読んだ。
『俺は卒業したら勉強の為、外国へ留学することになりました。このやり取りをできるのはこれで最後だと思う。君に会いたいです。今日の放課後、屋上で待ってます。』
 (····え!?ここで終わってるー!結局会えたのか!?会えなかったのか!?)
 俺が一人でノート片手にニヤついていると、知らぬ間に図書委員担当の女教師が俺の近くに立っており、なぜかワナワナと震えながら、俺を見ていた。
「き、君······それ読んだの!?だれも手に取らないようなところに置いてたのに──」
「え?あ、はい····──もしかして先生も読んだんですか!?この2人、どうなったんでしょうね。でも今はもういない生徒だろうから、どうなったかは分かりませんね!」
 俺は聞かれてもいないのに、興奮気味にこの淡い恋を綴ったノートの存在を知る女教師に話しかけた。今まで話したこともなかったのに、馴れ馴れしかっただろうか?

 女教師の名前はアイシャといい、大きなメガネにおかっぱ頭、いつもカーディガンと膝下のスカートを履いた、典型的な『ガリ勉な地味女』という風貌の教師だった。

 メガネを取ったら美人!ということもなく、目鼻立ちも平凡で、言い方は悪いが転生前の俺のモテない姉のように、見るからに男を知らなそうな顔をしている。
「き、君、そのノートのこと、誰にも言わないで欲しいの!」
「·····え?あ、はい────でも、どうして·········あの、違ったら失礼ですが、このノートの持ち主とやり取りをしてた人って、もしかして先生じゃ········」
「言わないでー!!!」
 突然アイシャに大声で叫ばれ、俺はビクッと跳ねてしまった。
「私だって、馬鹿だって分かってるんだから!!高校時代のことをいつまでも引きずって、そのノートも処分できないし、思い出を壊したくなくて、あの頃と同じ場所に置いたままにしてる····!」
 なるほど。先生は高校時代の想いを捨てきることができずに、ノートをあの時のままにして、図書委員顧問という立場で守っていたのか。
「あの、先生俺でよければ何ですけど·····当時のお話聞かせてください。」
 アイシャはずっと誰かにこのことを話したかったのか、高校時代を思い出しながら、ぽつぽつと語り始めた。
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