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十五章 呪いの言葉
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静は帰宅した友里を睨みつけた後、憤然としながら近付いてきた。
内面の醜悪さが表情に現れているようだった。
「今何時だと思ってるの?今日、大事な日だって言ったよね!?」
そういえば、静に乱交パーティーのことを言われていた。
友里はその時初めてそのことを思い出した。
「それに何?その格好。泥だらけじゃない!!あなたは主役なのよ?怪我でもしたらどうするの!?·····いいからさっさとシャワー浴びて着替えてきて。」
友里は返事もせず、目も合わせようとしなかった。
静の脇を通り抜けようとした時、静に肩を掴まれた。
「ちょっと!聞いてるの!?」
「······うるさいんだよ。」
友里の言葉に反応した静の動きが止まった。
「何ですって·········?」
「俺がやるって言ったか?お前の変態野郎の集まりになんか絶対にいかない。勝手に一人で行けばいい。」
「ゆうくん、自分が何言ってるか分かってる?あなたの写真、バラしてもいいのよ。これからお金の援助も一切しないし、保護者としての保証人にもならない。」
切羽詰まった顔の静を見ながら、友里は嘲笑の笑みを浮かべた。
「バラしたきゃバラせよ。お前が犯罪者だって自白するようなものだ。もう気色悪い変態ババアの言いなりにはならない。親父の家も金も全部やるよ。でも、俺には触らせない。汚い手で触るな。吐き気がする。」
静の顔色がフッと青白くなり、幽霊のようにリビングの方へ消えたかと思うと、手に包丁を握りしめ友里の前に戻ってきた。
「···········殺すの?俺を。」
「言う事聞かないなら殺すわ。」
静の目は狂気に満ちていた。今までの友里なら、この目を見た瞬間、父親のようにグチャグチャになって死ぬのは嫌だと、静のいいなりになっていた。
しかし、今は不思議と静が怖くなかった。
「脅しじゃなくて、刺すならちゃんと刺せよ。」
「黙れ!!」
静はゆっくりと友里に近付き、包丁の刃を向けたまま突進してきた。
友里は激しい焼けるような痛みを感じた。包丁の刃が、友里の腕を深く刺していた。
「·················!!」
友里は静の持つ包丁を取り上げようと手を伸ばした。静も死に物狂いで友里を攻撃しようと、力任せに包丁を振り回し半狂乱になった。
友里と静は揉み合いになり、互いのことに必死になっていた。戸口に立った人物がゆっくりと近づいてくるのに気が付かなかった。
「おい。友里に何してる。」
地を這うような声の先を、静と友里が振り向くと、そこには新が立っていた。
怖いほど静かな、けれど憎しみのこもった目で静を見ている。
「あ··········これは違うの······!あなたには関係な······」
静が言い終わらないうちに、新は静の髪を掴むと床に引き倒し、馬乗りになった。
静の手から包丁が離れ、床にカランと転がった。
「あ、新·······何で····」
新は転がった包丁に目を移した。
おもむろに包丁を拾い上げると、確かめるように両手で丁寧に握り直した。
そして、思い切り振りかぶった。
「やめてぇ·········!」
「····あらた、だ、駄目だ·······!」
肉に刃物が食い込む鈍い音と共に、新の顔に血飛沫が舞った。
すべてがスローモーションに感じる。
新は手を緩めることなく、何度も何度も静の腹部目がけて、渾身の力で刃物を振り下ろした。
最初は呻いていた静の声は次第に虫のようなか細い声になり、三度目に刃物が体を貫いた時には、静の体はピクリとも動かなくなっていた。
新は取り乱すことなく、無表情のまま静を見下ろしていた。
友里は金縛りから解けたように脱力し、動かなくなった静に馬乗りになっている新に駆け寄った。
「あ、あ、あらた·······あらた····!」
友里は新から包丁を奪い取り、柄の部分を何度も握りしめた。
「は、早くシャワー浴びて·····!お前はここに来てない!!家に帰れ!!!」
新を立たせようとするが、新はその場に座り込んだまま全く動こうとしない。
「お願いだから······!!ここから出ていって!!!」
「···········友里··········」
新の瞳が友里を捉える。
不思議と虚ろではなく、瞳は爛々と輝き今までに見たことがないほど生き生きとしていた。
新の血で染まった両手が友里の頬を包む。雨で冷えてしまったその手は冷たく、まるで氷のようだった。
新の瞳に魅入られていると、その瞳が近付いてくる。
その瞬間、唇に温かな体温と湿り気を感じた。新にキスされた。
この異常な状況において、友里は経験がないほどの高揚感と開放感を感じた。
暗い檻の中で繋がれていた鎖の鍵を、新が開けてくれたのだ。
友里は抑えていた自身を解き放ち、本能の赴くままに新を求めた。
何度も影が重なり合い、唾液が混ざり合う濡れた音だけが暗い部屋に響いた。
新は恍惚とした表情で囁いた。
「友里。ずっと一緒だよ。愛してるんだ。」
それは、かつて静に言われた呪のような言葉だった。
しかし、友里はこの呪に喜びを感じた。
新からかけられた呪は友里の心臓の真ん中に埋め込み、宝箱に入れて鍵をかけた。
誰も踏み込めないように。
◇
卒業式当日。
そこに新と友里の姿はなかった。
卒業生達の間では、二人の噂話で持ちきりだった。
昨日、校庭で大喧嘩をしていたことは多くの生徒が見ていた。
『羽柴新と冴木友里が駆け落ちした。』
皆がこう噂し、驚愕と好奇の言葉を口にした。
壮一は疲れた顔で、持ち主のいない、かつて友里が座っていた空の席に目をやった。
昨夜、壮一が帰る頃には日が暮れ、時計は20時を回っていた。壮一は執行部だった為、卒業式の打ち合わせが長引いたのである。
校門をくぐろうとしていたところ、数人の生徒が興奮気味に話しているのを聞いた。
「なぁ、今日見た!?二組の羽柴と冴木がさ、取っ組み合いの喧嘩してたの!」
壮一は不安になり、友里に電話をかけたが繋がらなかった。新にもかけるが同様だ。
急いで友里の家に向かった。家の電気はついておらず、留守のように見えた。
壮一は、友里に無断で作った家の合鍵を取り出した。
駄目なことだとは分かっていたが、友里の家には問題がありすぎた。いざという時、家の中に助けに入れなかったら困ると思ったのだ。
家の中に足を踏み入れると、明らかに異様な雰囲気が漂っていた。
ここは普通の家じゃない。
暗くてジトッとした陰鬱な闇があった。
一見何の変哲もないが、廊下の辺りが生臭いような妙な匂いがした。
隅々まで目を凝らして見てみると、フロアマットの端に赤黒いシミができている。
その時、壮一のスマートフォンからこの場に似つかわしくない、気の抜けたようなラインの通知音がなった。
友里からだ。
「絶対受かるよ!バイバイ。」
たった一行、そう書かれてあった。
この家で何があったのか想像に容易かった。おそらく一人でやったことではないのだろう。壮一は、友里に選ばれなかったことがひどく悲しかった。
彼のためなら何だってできたのに。例え殺人だって。
「やるなら完璧にやれよ······お粗末な奴ら。」
苦笑しながら半ば呆れたように呟くと、壮一は彼らの残した不始末を手際良く片付けた。
誰も気付かないように。
壮一は最後に友里の部屋を訪れた。
ここに来るのは子供の時以来だ。昔は、子供らしい虫の図鑑や漫画、ぬいぐるみが置いてあったが、今は何もない。
趣味のものは一切なく、ベッドと机と衣類だけ。そんな生活感のない部屋だった。
壮一の目に飛び込んできたのは、椅子にかけてあった友里のマフラーだった。学校でも、合格祈願に行く時も巻いていた。
壮一は手に取り、自分の首に巻きつけた。大好きな友里の匂いが残っている。
(ゆう·······どうか幸せが訪れますように。)
壮一は友里の為に、涙を流しながら祈りを捧げた。
壮一と友里の言葉を交わすことのなかった別れを、雨上がりに差した月明かりが照らしていた。
こうして、新と友里はこの街から姿を消した。そして二度と戻らなかった。
内面の醜悪さが表情に現れているようだった。
「今何時だと思ってるの?今日、大事な日だって言ったよね!?」
そういえば、静に乱交パーティーのことを言われていた。
友里はその時初めてそのことを思い出した。
「それに何?その格好。泥だらけじゃない!!あなたは主役なのよ?怪我でもしたらどうするの!?·····いいからさっさとシャワー浴びて着替えてきて。」
友里は返事もせず、目も合わせようとしなかった。
静の脇を通り抜けようとした時、静に肩を掴まれた。
「ちょっと!聞いてるの!?」
「······うるさいんだよ。」
友里の言葉に反応した静の動きが止まった。
「何ですって·········?」
「俺がやるって言ったか?お前の変態野郎の集まりになんか絶対にいかない。勝手に一人で行けばいい。」
「ゆうくん、自分が何言ってるか分かってる?あなたの写真、バラしてもいいのよ。これからお金の援助も一切しないし、保護者としての保証人にもならない。」
切羽詰まった顔の静を見ながら、友里は嘲笑の笑みを浮かべた。
「バラしたきゃバラせよ。お前が犯罪者だって自白するようなものだ。もう気色悪い変態ババアの言いなりにはならない。親父の家も金も全部やるよ。でも、俺には触らせない。汚い手で触るな。吐き気がする。」
静の顔色がフッと青白くなり、幽霊のようにリビングの方へ消えたかと思うと、手に包丁を握りしめ友里の前に戻ってきた。
「···········殺すの?俺を。」
「言う事聞かないなら殺すわ。」
静の目は狂気に満ちていた。今までの友里なら、この目を見た瞬間、父親のようにグチャグチャになって死ぬのは嫌だと、静のいいなりになっていた。
しかし、今は不思議と静が怖くなかった。
「脅しじゃなくて、刺すならちゃんと刺せよ。」
「黙れ!!」
静はゆっくりと友里に近付き、包丁の刃を向けたまま突進してきた。
友里は激しい焼けるような痛みを感じた。包丁の刃が、友里の腕を深く刺していた。
「·················!!」
友里は静の持つ包丁を取り上げようと手を伸ばした。静も死に物狂いで友里を攻撃しようと、力任せに包丁を振り回し半狂乱になった。
友里と静は揉み合いになり、互いのことに必死になっていた。戸口に立った人物がゆっくりと近づいてくるのに気が付かなかった。
「おい。友里に何してる。」
地を這うような声の先を、静と友里が振り向くと、そこには新が立っていた。
怖いほど静かな、けれど憎しみのこもった目で静を見ている。
「あ··········これは違うの······!あなたには関係な······」
静が言い終わらないうちに、新は静の髪を掴むと床に引き倒し、馬乗りになった。
静の手から包丁が離れ、床にカランと転がった。
「あ、新·······何で····」
新は転がった包丁に目を移した。
おもむろに包丁を拾い上げると、確かめるように両手で丁寧に握り直した。
そして、思い切り振りかぶった。
「やめてぇ·········!」
「····あらた、だ、駄目だ·······!」
肉に刃物が食い込む鈍い音と共に、新の顔に血飛沫が舞った。
すべてがスローモーションに感じる。
新は手を緩めることなく、何度も何度も静の腹部目がけて、渾身の力で刃物を振り下ろした。
最初は呻いていた静の声は次第に虫のようなか細い声になり、三度目に刃物が体を貫いた時には、静の体はピクリとも動かなくなっていた。
新は取り乱すことなく、無表情のまま静を見下ろしていた。
友里は金縛りから解けたように脱力し、動かなくなった静に馬乗りになっている新に駆け寄った。
「あ、あ、あらた·······あらた····!」
友里は新から包丁を奪い取り、柄の部分を何度も握りしめた。
「は、早くシャワー浴びて·····!お前はここに来てない!!家に帰れ!!!」
新を立たせようとするが、新はその場に座り込んだまま全く動こうとしない。
「お願いだから······!!ここから出ていって!!!」
「···········友里··········」
新の瞳が友里を捉える。
不思議と虚ろではなく、瞳は爛々と輝き今までに見たことがないほど生き生きとしていた。
新の血で染まった両手が友里の頬を包む。雨で冷えてしまったその手は冷たく、まるで氷のようだった。
新の瞳に魅入られていると、その瞳が近付いてくる。
その瞬間、唇に温かな体温と湿り気を感じた。新にキスされた。
この異常な状況において、友里は経験がないほどの高揚感と開放感を感じた。
暗い檻の中で繋がれていた鎖の鍵を、新が開けてくれたのだ。
友里は抑えていた自身を解き放ち、本能の赴くままに新を求めた。
何度も影が重なり合い、唾液が混ざり合う濡れた音だけが暗い部屋に響いた。
新は恍惚とした表情で囁いた。
「友里。ずっと一緒だよ。愛してるんだ。」
それは、かつて静に言われた呪のような言葉だった。
しかし、友里はこの呪に喜びを感じた。
新からかけられた呪は友里の心臓の真ん中に埋め込み、宝箱に入れて鍵をかけた。
誰も踏み込めないように。
◇
卒業式当日。
そこに新と友里の姿はなかった。
卒業生達の間では、二人の噂話で持ちきりだった。
昨日、校庭で大喧嘩をしていたことは多くの生徒が見ていた。
『羽柴新と冴木友里が駆け落ちした。』
皆がこう噂し、驚愕と好奇の言葉を口にした。
壮一は疲れた顔で、持ち主のいない、かつて友里が座っていた空の席に目をやった。
昨夜、壮一が帰る頃には日が暮れ、時計は20時を回っていた。壮一は執行部だった為、卒業式の打ち合わせが長引いたのである。
校門をくぐろうとしていたところ、数人の生徒が興奮気味に話しているのを聞いた。
「なぁ、今日見た!?二組の羽柴と冴木がさ、取っ組み合いの喧嘩してたの!」
壮一は不安になり、友里に電話をかけたが繋がらなかった。新にもかけるが同様だ。
急いで友里の家に向かった。家の電気はついておらず、留守のように見えた。
壮一は、友里に無断で作った家の合鍵を取り出した。
駄目なことだとは分かっていたが、友里の家には問題がありすぎた。いざという時、家の中に助けに入れなかったら困ると思ったのだ。
家の中に足を踏み入れると、明らかに異様な雰囲気が漂っていた。
ここは普通の家じゃない。
暗くてジトッとした陰鬱な闇があった。
一見何の変哲もないが、廊下の辺りが生臭いような妙な匂いがした。
隅々まで目を凝らして見てみると、フロアマットの端に赤黒いシミができている。
その時、壮一のスマートフォンからこの場に似つかわしくない、気の抜けたようなラインの通知音がなった。
友里からだ。
「絶対受かるよ!バイバイ。」
たった一行、そう書かれてあった。
この家で何があったのか想像に容易かった。おそらく一人でやったことではないのだろう。壮一は、友里に選ばれなかったことがひどく悲しかった。
彼のためなら何だってできたのに。例え殺人だって。
「やるなら完璧にやれよ······お粗末な奴ら。」
苦笑しながら半ば呆れたように呟くと、壮一は彼らの残した不始末を手際良く片付けた。
誰も気付かないように。
壮一は最後に友里の部屋を訪れた。
ここに来るのは子供の時以来だ。昔は、子供らしい虫の図鑑や漫画、ぬいぐるみが置いてあったが、今は何もない。
趣味のものは一切なく、ベッドと机と衣類だけ。そんな生活感のない部屋だった。
壮一の目に飛び込んできたのは、椅子にかけてあった友里のマフラーだった。学校でも、合格祈願に行く時も巻いていた。
壮一は手に取り、自分の首に巻きつけた。大好きな友里の匂いが残っている。
(ゆう·······どうか幸せが訪れますように。)
壮一は友里の為に、涙を流しながら祈りを捧げた。
壮一と友里の言葉を交わすことのなかった別れを、雨上がりに差した月明かりが照らしていた。
こうして、新と友里はこの街から姿を消した。そして二度と戻らなかった。
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