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47 駅前カフェ
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誤魔化すように言って、ズンズンと信号に向かって進む。
ケーキ屋を探してキョロキョロしていると、蒼井は苦笑しながら後からついてきた。
「そんなに急がなくても大丈夫だって。早く着いたってどうせ並ぶし」
「で、でも……っ」
ゆっくり一緒に歩くだけでも意識してしまいそうだから、今はサッサと先に行く方が楽に思える。
せっかくのデートなのだけれど、今は恥ずかしくて蒼井の顔を直視することも出来ない。
俺は背を向けて微かにプルプルしながら、蒼井が追いついてくるのを待った。
すると、ふいに後ろから手をきゅっと握られる。
「ーーーーっ!?」
「はい、捕まえた。んじゃ、行こっか」
「お、おいっ……! 離せよ! ここ外……っ」
「大丈夫、すぐ店入るし。そしたらもっとイチャイチャ出来るね」
「そ、そういう事じゃな……っ蒼井っ!」
「行くぞー」
行くぞー、じゃねぇ。
全力で恥ずかしいと表現しているのに、何も伝わっていない。
おかげで今、俺たちは軽く注目の的になってしまっている。
少し遠くからは、腐女子なのかなんなのか知らないけれど、女子高生達がキャーキャー言いながら俺たちを動画に納め始めた。
(ったく、勝手に撮るなっての!)
俺は真っ赤になった顔を俯けたまま、蒼井に連れられてケーキ屋へと向かった。
・・・
ーーそして、恥ずかしくて死にそうになりながらも、ケーキ屋に到着。
店内で食べるもよし、持ち帰って食べるもよしの人気店だ。
見たところ、やはり店内は混み合っていて満席状態だった。
注文カウンター前には、順番待ちの客が十名ほど並んでいる。
(すげー! どれも美味そう!)
ショーケースにズラリと並んだケーキはどれもこれも美味しそうで、イートインの客はみんなコーヒーとケーキを嬉しそうに席へ運んでいく。
その様子を観察していると、どうやらショートケーキとチーズケーキが人気のようだ。
でも、モンブランやガトーショコラなんかも美味しそうで、見ていると全部味見してみたくなる。
「えー、どれにしようかな……」
「颯太、とりあえず人気のやつを一個ずつ頼んでお互いの味見しない?」
「え、いいの?」
「ん、それが一番お得で確実でしょ」
なるほど、蒼井の案は確かに良い。
そんなわけで、俺はそれに乗ることにした。
しかしながら、お互いのケーキを味見し合うということは……。
(か、間接キス……!? てか、また ″あーん″ とか、しないよな!?)
以前の出来事を思い出し、焦りと不安が込み上げてくる。
けれど、今回はさすがに人が多すぎるし、蒼井も怯むのではないだろうか。
心配で見上げると、目が合って微笑まれる。
「何?」
「べ、別に……っ」
と、そうこうしているうちに俺たちが注文する番になった。
今日は外も暖かく喉も渇いていたので、お互いアイスコーヒーを選び、ショートケーキとチーズケーキを一つずつ注文する。
席は暫く待つかと思ったのだけれど、運よく二人分の席が空いたので、すぐに座る事が出来た。
ラッキーと思いながら席に着くと、蒼井はホッとしたように息を吐いた。
「ふぅ、良かった。すぐ座れて」
「だなっ。てか、ケーキまじ美味そう!」
なんたって甘いもの好きな俺は、ついテンションが上がってしまう。
ちなみに、俺はショートケーキの方なのだが、手作り感のある生クリームは見ているだけでも幸せな気分になってしまう。
すると、そんな俺を見つめていた蒼井が、愛おしげに目を細めた。
「ふふ、颯太は甘いもの好きだもんなぁ。嬉しい?」
「えっ、う……う、れしい……けど」
しまった。
目の前に蒼井がいるのに、すっかり気を抜いて浮かれていた。
まるで小学生を見守るような目で見守られ、俺はムッと頬を膨らませた。
「な、なんだよ、そんなに見んな……てか、食べるぞ!」
「はいはい、食べようね。颯太、かーわい」
「……っ」
ケーキ屋を探してキョロキョロしていると、蒼井は苦笑しながら後からついてきた。
「そんなに急がなくても大丈夫だって。早く着いたってどうせ並ぶし」
「で、でも……っ」
ゆっくり一緒に歩くだけでも意識してしまいそうだから、今はサッサと先に行く方が楽に思える。
せっかくのデートなのだけれど、今は恥ずかしくて蒼井の顔を直視することも出来ない。
俺は背を向けて微かにプルプルしながら、蒼井が追いついてくるのを待った。
すると、ふいに後ろから手をきゅっと握られる。
「ーーーーっ!?」
「はい、捕まえた。んじゃ、行こっか」
「お、おいっ……! 離せよ! ここ外……っ」
「大丈夫、すぐ店入るし。そしたらもっとイチャイチャ出来るね」
「そ、そういう事じゃな……っ蒼井っ!」
「行くぞー」
行くぞー、じゃねぇ。
全力で恥ずかしいと表現しているのに、何も伝わっていない。
おかげで今、俺たちは軽く注目の的になってしまっている。
少し遠くからは、腐女子なのかなんなのか知らないけれど、女子高生達がキャーキャー言いながら俺たちを動画に納め始めた。
(ったく、勝手に撮るなっての!)
俺は真っ赤になった顔を俯けたまま、蒼井に連れられてケーキ屋へと向かった。
・・・
ーーそして、恥ずかしくて死にそうになりながらも、ケーキ屋に到着。
店内で食べるもよし、持ち帰って食べるもよしの人気店だ。
見たところ、やはり店内は混み合っていて満席状態だった。
注文カウンター前には、順番待ちの客が十名ほど並んでいる。
(すげー! どれも美味そう!)
ショーケースにズラリと並んだケーキはどれもこれも美味しそうで、イートインの客はみんなコーヒーとケーキを嬉しそうに席へ運んでいく。
その様子を観察していると、どうやらショートケーキとチーズケーキが人気のようだ。
でも、モンブランやガトーショコラなんかも美味しそうで、見ていると全部味見してみたくなる。
「えー、どれにしようかな……」
「颯太、とりあえず人気のやつを一個ずつ頼んでお互いの味見しない?」
「え、いいの?」
「ん、それが一番お得で確実でしょ」
なるほど、蒼井の案は確かに良い。
そんなわけで、俺はそれに乗ることにした。
しかしながら、お互いのケーキを味見し合うということは……。
(か、間接キス……!? てか、また ″あーん″ とか、しないよな!?)
以前の出来事を思い出し、焦りと不安が込み上げてくる。
けれど、今回はさすがに人が多すぎるし、蒼井も怯むのではないだろうか。
心配で見上げると、目が合って微笑まれる。
「何?」
「べ、別に……っ」
と、そうこうしているうちに俺たちが注文する番になった。
今日は外も暖かく喉も渇いていたので、お互いアイスコーヒーを選び、ショートケーキとチーズケーキを一つずつ注文する。
席は暫く待つかと思ったのだけれど、運よく二人分の席が空いたので、すぐに座る事が出来た。
ラッキーと思いながら席に着くと、蒼井はホッとしたように息を吐いた。
「ふぅ、良かった。すぐ座れて」
「だなっ。てか、ケーキまじ美味そう!」
なんたって甘いもの好きな俺は、ついテンションが上がってしまう。
ちなみに、俺はショートケーキの方なのだが、手作り感のある生クリームは見ているだけでも幸せな気分になってしまう。
すると、そんな俺を見つめていた蒼井が、愛おしげに目を細めた。
「ふふ、颯太は甘いもの好きだもんなぁ。嬉しい?」
「えっ、う……う、れしい……けど」
しまった。
目の前に蒼井がいるのに、すっかり気を抜いて浮かれていた。
まるで小学生を見守るような目で見守られ、俺はムッと頬を膨らませた。
「な、なんだよ、そんなに見んな……てか、食べるぞ!」
「はいはい、食べようね。颯太、かーわい」
「……っ」
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