single tear drop

彩矢

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波紋

波紋

「男の名前は李浩然(リー  レオハン)。マカオを拠点に暗躍する犯罪組織のボスだ。10年前まで、卯月真沙哉と呼ばれていた男で……母違いの兄だ」

「ちなみに、大上と真沙哉は従兄弟同士だ。劣勢に立たされるのを見越して、昇龍会に恨みを持つ真沙哉に助けてくれと泣きついたんだろうよ」

度会さんが彼の肩をぽんぽんと軽く叩いた。

「遥琉、お前は何も悪くない。真沙哉よりお前の方が跡目として相応しいと判断した先代の判断は正しかった。そうだろ?」

「度会さん……」

「自分を決して卑下するなよ」

彼と出会うずっと前のことだから、何があったのか分からないけれど、苦痛にゆがんだ表情を浮かべる彼を、度会さんなりに気遣い励ましていた。


「オヤジ!兄貴!」
「大変です!」
息を切らしながら弓削さんや幹部の皆さんが血相を変えて駆け込んできた。

「何だ騒々しい」

「菱沼金融に銃弾が撃ち込まれました」

「何?」

度会さんの表情が一変した。
菱沼金融は、組事務所があるビルの4階、同じフロアーにある。

「裕貴と心は無事か?笹原と千里は?」

「裕貴と、笹原はそれぞれ別の場所にいたから無事だ。四人ともこっちに向かっている」

「そうか……」

短く何度か呼吸を繰り返し、平静を保とうとする度会さん。
弓削さんに、警察とマスコミの対応と、組事務所の警備と自宅の警備を強化するように命じた。

ちょうどその時、同じタイミングで、僕と彼のスマホがブルブルと振動した。

「おっ、遼成か!?久し振りだな」

電話の相手は遼成さん。
僕の方は……

『未知、そっちは大丈夫?』

ずっと声が聞きたかった那奈姉さんからだった。
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