single tear drop

彩矢

文字の大きさ
294 / 985
波紋

波紋

『用件だけ手短に言うわね。私達は無事よ。だから心配しないで』

いつもと変わらない明るい声に安堵し、目の奥に涙が溢れた。

『父から双子を妊娠したって聞いたよ。おめでとう。未知、ごめんね。関係のないあなたや遥琉を身内の揉め事に巻き込んでしまって・・・本当にごめんね』

繰り返し謝罪の言葉を口にする那奈姉さん。誰も悪くないよ。だから自分を責めないで。それに、巻き込まれたってこれっぽっちも思ってないよ。

『遥琉と少し話しがあるの。代わって貰える⁉』

彼の方をチラッと見ると目が合った。

「悪い、あとで掛け直す」

彼が電話を切ろうとしたら、背後からすっーと長い手が音もなく伸びてきた。

彼が後ろを振り返ると、遥香を片腕で抱き上げた柚原さんが憮然とした表情で立っていた。

「遼成に話しがある」

かなりご機嫌が斜めみたいで、イライラしていた。

「分かった」

その原因に心当たりがあるのか、やれやれといった表情でスマホを渡す彼。「遥香、パパっておいで」両手を広げるも、遥香はぶんぶんと首を横に振り柚原さんの首にしがみついた。

「はるちゃん、ぱぱたんがいい」

娘にあっさりとフラれ、ガックリと肩を落とす彼。気を取り直し、那奈姉さんと何やら話し始めた。
一方の柚原さんは、というと・・・

「真沙哉が帰国していること知ってて、何で今まで黙っていたんだ」

遼成さんに小言を並べて食ってかかった。

しまいには「どいつもこいつも新婚生活の邪魔をしやがって」ぶつぶつとボヤきながら一方的に電話を切った。
感想 2

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

貧乏子爵のオメガ令息は、王子妃候補になりたくない

こたま
BL
山あいの田舎で、子爵とは名ばかりの殆ど農家な仲良し一家で育ったラリー。男オメガで貧乏子爵。このまま実家で生きていくつもりであったが。王から未婚の貴族オメガにはすべからく王子妃候補の選定のため王宮に集うようお達しが出た。行きたくないしお金も無い。辞退するよう手紙を書いたのに、近くに遠征している騎士団が帰る時、迎えに行って一緒に連れていくと連絡があった。断れないの?高貴なお嬢様にイジメられない?不安だらけのラリーを迎えに来たのは美丈夫な騎士のニールだった。

愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます

まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。 するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。 初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。 しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。 でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。 執着系α×天然Ω 年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。 Rシーンは※付けます ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。 ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。 Xアカウント(@wawawa_o_o_)

愛され方を教えて

あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。 次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。 そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…