あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢

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宋さんの友だち

宋さんの友だち

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「保大丈夫か?」
キヨちゃんが連行されていったあとたもくんは膝から崩れ落ちるようにその場に倒れ込んだ。
僕やたもくんに対し暴言を吐き続けたキヨちゃん。とどめは、
「僕は不幸なんです。だから守って、構って~~あぁ~~ヘドが出る。馬鹿じゃないの。アハハハ」
狂ったように笑っていた。
「挑発に乗るなよ。我慢しろ」
卯月さんがキヨちゃんに飛びかかろうとした彼と慶悟先輩を止めた。
蜂谷さんがたもくんの壁になり、青空さんが僕の壁になり、なるべく視界に入らないようにしてくれた。
「俺らの四季さんを侮辱するとはな。言い度胸だな」
みんな僕よりうんと年上なのに、菱沼組の皆さんは僕のことをさん付けで呼んでくれる。ポキポキと肩や関節を鳴らしてキヨちゃんを牽制し、睨み付けた。
「顔が真っ青だ。大丈夫か?」
彼が心配そうに顔を覗き込んできた。
「キヨちゃんの視線がここに突き刺さるようですごく怖かった」
心臓のあたりをぎゅっと握り締めた。
僕が知ってるキヨちゃんとはまるっきり別人になっていてかなりショックを受けた。
「キヨの影も形もない。いつの間にか俺の知らないキヨになっている」
それはたもくんも一緒だった。
キヨちゃんと同棲し、結婚まで約束したのに。結局キヨちゃんに一方的に捨てられたたもくん。
経緯を知っているからこそ慶悟先輩も辛いはず。複雑な面持ちでたもくんに寄り添っていた。
「慶悟、岩水の亭主はお前だ。もっと自信を持て」
見るにみかねた卯月さんが慶悟先輩に声を掛けると、
「はい、オヤジ」大きな声で返事をし、
「保、俺の肩に掴まれ」
たもくんの体をゆっくりと起こすと、体を支えて車まで移動すると青空さんたちの力を借りて後部座席に乗せた。
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