あなたの隣で初めての恋を知る

慶悟先輩

慶悟先輩

「あっ、コイツ！」
真山さんがびっくりして大きな声をあげたものだから聡太くんが驚いて泣き出した。
「ごめんな聡太」
真山さんが聡太くんのお尻をぽんぽんと撫でながら必死にあやしたけど、泣き止むどころが、顔を真っ赤にしギャンギャン泣き出した。
｢なにやってんだ。寄越せ」
見るに見かねた卯月さんが真山さんの腕から聡太くんを抱き上げた。

「オヤジ、この男……」
「間違いない。真山をここまで連れてきた運転手の男だ」
ヤスさんも卯月さんも予想外のことに驚いていた。
「渋川の兄貴の運転手をしていた男だ。キヨは運転が出来ない。買い物や病院に行くのに不自由だからと、兄貴が貸してくれたんだ。まさか、コイツだったとは」
「鞠家、真山が連れてきた男たちの所在を大至急確認してくれ。フジヤとロウの共犯が誰か判明した」
卯月さんが聡太くんをあやしながら、鞠家さんに指示を飛ばし、柚原さんにも関係者以外絶対に家に上げるなと指示をしていた。
子供たちと結お姉さんが心配で隣にある家に戻ろうとしたら、
「オヤジ大変です」
「緊急事態です」
若い衆が息を切らし事務所に駆け込んできた。
｢ごめんなさい邪魔して」
ハンドリムをこいで避けようとしたら、
｢あれ？四季さんなんでこんなところに？」
｢じゃあ、さっき菱沼金融にいたのは一体誰なんだ？」
二人して狐に包まれたような表情を浮かべた。