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第二章

旅の仲間 〜アビゲールが見たのも〜

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ソフィア様というご学友を得て マリアベルは学園生活を謳歌していた。

「ほら、マリアベル様お口の端にケチャップが」(ふきふき)
「スカートがシワになってますわ!」(伸ばし伸ばし)
大変気の利く親切な娘さんである。

(ヘルパーの山田さんみたいな人ね。
あの子 ゲームの課金が凄いって言ってたけど大丈夫なのかしら?
破産してなければいいけど、、、)
他人の心配をついついしてしまうおばあちゃんであった。

この光景を目撃した 女の子目線では
「ほら、またソフィア様にお世話をさせているわ、」
「傲慢ね」
「ソフィア様は公爵令嬢なのに 低位の侯爵令嬢がソフィア様にあのような態度を取るなんて、何様のつもりかしら?」

嫉妬の雨あられ
マリアベル悪役令嬢伝説の幕開けである。

男の子目線では
「金の髪がそそるな!」
「そぅかぁ?そんなに美人ではないだろう?」
「綺麗なんだけどなんだか印象がハッキリしないんだよなぁ。」
「いや!あれはいい女だよ」

マリアベルの金のカツラ
魔力量の多さで見え方の違いはあるが 印象が曖昧になるような魔法陣が刻んである。
国王自らが塗布したためこのカツラさえかぶっていれば魔法の痕跡で彼女の場所を特定出来るようにしてある。
国王の癖にストーカー犯罪者予備軍である。

そんな光景を見ながら
両手を強く握りしめながらマリアベルを見つめる緑の髪のメガネ少女がいた。

深い森を思わせる緑の髪、晩秋の紅葉のような落ち着いた赤い目をもつ少女

意を決したようにソフィアに近づき

「キングスバリー公爵令嬢、クラレンス侯爵令嬢、低位の者よりのお声がけご容赦下さい。
わたくしは、ウッドフィールド伯爵が娘アビゲールと申します。」

「お.お、お席をご一緒させていただきたい所存でございますが、、、
御許可をお願いいたします。」
 
まあぁ、ナイナイのお見合いのテレビみたい。
プルプル震えて可愛いわぁ
確かOKのときは握手して、こう言うのよね

「こちらこそ宜しくお願いします!!!」
深々とお辞儀をした。

「「「頭をお上げくださませぇーー」」」

アビゲールは真っ赤になってアワアワし
ソフィアは二人のやり取りを隠すように サッと後ろに立った。


あびげーる が なかまに くわわった



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私はアビゲール•ウッドフィールド

私のクラスには不思議な御令嬢がいらっしゃる。

我が家は伯爵としての歴史はそれ程古くはないが、森の一族として昔から存在している。
私たちは 生き物を慈しみ 緑を育み 自然と共存する一族である。
我が一族は 一代に何人かの「森の乙女」が誕生し 森を敬う依代となり 緑の加護を得る。
森から加護をいただけた者は 濃い薄いの違いはあるが 大抵が緑の髪をもつ。
その中でも赤い紅葉色の瞳を持つ者が森の神の加護が強いと言われている。
それが私、アビゲールである。

加護が強ければ強い程何故か視力が弱い
私はメガネを掛ければ見える程度なのだか、やはり女の子なのでメガネっ子はちょっといやだなぁと思っている。

視力が弱いのには訳がある。
変わりに心の目で人が見えるのだ。

悪い性根をもっている人は、禍々しい黒、
恋に落ちている人は、心躍るようなピンク、
怒りに燃えている人はドス黒い赤、
相手の状態を色で見ることが出来るのである。
この色はオーラと呼ばれている。

しかし、見ようと思い見れる訳ではない。
見る為には かなりの集中と魔力が必要になってくるので日常的にには見えてはいない。
(初代巫女様は盲目で集中せずとも色が見れたという言い伝えがある)

そんな私が、何もせずとも見えてしまった!

侯爵令嬢マリアベル様
身体の回りに金、それを囲むよう銀
そして全身を包むように春の雲のような白いモヤ。

金は太陽 銀は月
そして白は真実

この方は誰 人形を取られた神? 
いったい何者なの、、、、

困惑して判断に迷い 3歳年上の兄 次期ウッドフィールド伯になる予定のアルフレッドに相談した。

「クラレンス侯爵令嬢かぁ、悪い噂しか聞かない令嬢だが•••、人の噂程当てにならないもは無いよ!」

「アビー、お前は我が一族 一番の巫女じゃないのかい。
そのお前の心の目が写し出したモノ。
それなら 自分の目で確かめてみてはどうかい?
生憎ここは学園だ、友達は必要だろ!」

アルフレッドの黄色い紅葉色の瞳が 悪戯っぽく笑った。


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