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第二章

マリアベル 卒業する 1

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ジェイコブの種からは、木がスクスクと育ち、部屋では育てる事が出来なくなってしまった。

「まぁ!ジェイコブ様は樹木になったのですわね。
ウチの領地でも、樹木を咲かせる人は、2,3年に1人出るか出ないくらいですわね。
大変お珍しいですわ。」
アビゲールはそう言うと木を撫ぜた。

「樹木は若木までは成長が早いのですがその後の育ちが緩やかでごさいます。
卒業しても、たまに来て愛情を注いで下さいませ」

ジェイコブは許可取り、木を薬草園の隣に植えた。

「私の木よ!お前はどんな木になるのだろう、、、 
無理に大きくならずともよいぞ!元気に育ってくれればそれで良いのだぞ!」

そして、三月卒業の日、ジェイコブの木は桃の花を白くしたような可愛らしい花を 沢山咲かせた。
それはまるでジェイコブの卒業を祝っているかのようであった。


****************


オルファイド王国にも良い知らせがあった。
アキフューズの王が年末に死去した。
次期王は25,6才の若い王で、オルファイドと友好を結びたいと外交官を通して伝えて来た。

この王交代によりドゥラーク領は、やっと平和を取り戻した。

ウーラノスは2年半ぶりに、やっと、領地を離れる事が出来るようになった。


**************



卒業式は滞りなく終了した。

今年は、マリアベル達は卒業パーティーの送られる側として出席する事となる。


 ー卒業生の入場ですー

そのアナウンスを合図に、開け放されたドアから卒業が入場する

在校生が沢山声を掛けてくれた。

感動して涙が出てきた。

マリアベル達がステージに着いた頃、後ろよりとても大きな拍手と女生徒の黄色い声が響いた。

ジェイコブへの声援だった。
元々大変な美男子だったジェイコブは、この農業生活により日に焼け、筋肉が付き、精悍でとても男らしくなっていた。

おまけに元々王族、侯爵の後継ぎ、モテないはずはない。

殿下の頃ならば当たり前のように歩いていたのであろうが、今の彼はハニカミながら笑顔で歩いている。

本当に人は変わる事が出来るのだ!
マリアベルは、「よかった よかった」と思いジェイコブを暖かい眼差しで見詰めた。


在校生の祝辞はロジャー殿下が担当した。
一年生ながら堂に行ったスピーチは流石王族と思わざるを得ない。将来が楽しみである。

ファーストダンスは父と踊る予定だ。
私の婚約者様は今日は王宮のパーティーに出席している。
アキフューズの使者の謁見があるので後から卒業パーティーに参加したいと連絡が来た。

父は金のポケットチーフと銀の造花を胸に刺し、エスコートする気 満々である。

ソフィア様はキングスバリー公爵がパートナーだ。
ファーストダンスを踊ったら宮廷に戻るとおっしゃっていた。

そしてアビゲール様は、緑がかったベージュをベースにして裾に向かって赤いオーガンジーが広がっているドレスを着ている。
赤はパートナーの色、フレディの色である。

2年前のフレディの卒業パーティーではファーストダンスのお相手はアビゲールだった。

この二年、愛を育んだ2人は 卒業後に婚約する予定だと照れながら話してくれた。

[ベターハーフ]  私が若い頃に流行った言葉だが、そんな言葉がピッタリの2人だと思った。


************


「ドゥラーク卿はまだいらっしゃらないですわね、、、」

ファーストダンスを終えてテーブルに戻って来たソフィアは、周りを見渡し私に聞いた。

キングスバリー公が代わりに答えた
「あぁ、ラストダンスまでに間に合えばばよいがなぁ。
ウーラノス殿とノーザンコート殿は今回の終戦の立役者。パーティーでの根回しで忙しいのであろう。」

「いえ、無理に間に合わなくても•••
今年は私が側にいますのでね! なぁ、マリアベル」
父は始終ニコニコ顔である

そこにウッドフィールド伯爵夫妻とアルフレッドがやって来た。

お互い見知った者同士、会話に花が咲く。

「キングスバリー公、ソフィア嬢をダンスにお誘いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」

「ああ、私もそろそろ王宮に戻らないといけないな、アルフレッド君、ソフィアを頼むよ!」

そう言うとキングスバリー公は名残惜しそうに去って行った。

アルフレッドはソフィアの手を取りフロアに戻って行った。

私はウッドフィールド夫妻とカカオとゴムの話しをする

ううん?この流れ•••三年前と同じ???

ウッドフィールド夫妻と事業の話しをしていると1人の男性がやって来た。

ジェイコブだった。

一瞬緊張が走った。


「ウッドフィールド伯爵並びに伯爵夫人には、何度お詫びしても、お詫び仕切れない程、多大なご迷惑をお掛けしました。」

ジェイコブはパーティーでダンスを楽しんでいた訳ではなかった。
迷惑を掛けた方達にもう一度謝罪をして回っていたのだ。

「クラレンス侯爵、マリアベル様をお貸し願えません出ましょうか?
学園を無事卒業出来たのはひとえにマリアベル様のお陰だと思っております。
この思い出に、一曲、ダンスのお相手をお願いしたい所存でございます。」

そして、あの時のラヴィのように騎士の礼を取り膝跨いだ。

「ジェイコブ殿、もう、私共の間にはわだかまりはありません。
貴方とマリアベルは従兄妹同士、仲良くお付き合いが出来れば幸いです。」

父はそう言うと私をジェイコブの前に押し出した。

ジェイコブは言った。
「「貴方に永遠の忠誠を誓います」」

(もう、みんな大袈裟ね!)

「よろしくお願いします、お兄様。」
私がそう言うと
「こちらこそ、従兄妹殿!」
そうジェイコブは答えた

私達はフロアに向かって行った


























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