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転(まろばし)
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先日のサプライズを経て、その年の大晦日になった。
テレビもそれ程面白い番組もないせいか、二人は推しのバンドのライブ映像を流し、盛り上がっていた。
何度観ても感動してしまう魔力を秘めている。
部屋中にこだまする二人の歌声と、テレビの横に置いてあるアンプから流れる音。
リビングはもはやライブ会場だった。
「このライブ。俺達が初めて行ったライブだったよな」
勇緋はテーブルに広げたお菓子を食べながら話す。
「もう4年前か。もうそんな経つんだねー」
そんな話をしていると、二人の一番大好きな曲がかかり始める。
【今日は皆さん、私達のライブに来てくれてありがとう。最後にこの曲を届けます】
バンドの女性ボーカルのMCを経て、しっとりとしたイントロが流れる。
その音が聞こえた途端、二人はソファに並んで座って、身体を寄せ合いその曲に酔いしれる。
優しく力強いボーカルの歌声に、バンドアンサンブルが乗る。
音が物理的に可視化して、例えば絵画のように額に入れて保存すると言った事が出来たらどんなに素敵だろうか。
いつもそんな事を考えてしまう。
「今年もこうして、推しのバンドを俺の最高の推しと共に観れるなんて、幸せだな」
勇緋は夬皇に身体を傾けてそう呟く。
「俺もだよ。今年は休みが揃う日が少なかったけど、来年はもっと、今まで以上に一緒に居たい」
夬皇も感謝の言葉を続ける。
もうすぐ今年も終わりを告げる。
来年はもっと、二人で濃密な時間を過ごせるようにしたい。
「あ、そうだ。勇緋、ちょっとベランダ出ない?」
「えっ、ベランダ? この寒い中?」
「そう」
「あと数分で新年なのに?」
「そう」
「まぁ、いいけど」
「よしよし。それじゃ行こう!」
二人はそう言って、寒風吹くベランダへと繰り出す。
部屋の温度との差に、全身がびっくりする。
「な、なぁ。風邪引くぞ、コレ。上着持って来るわ」
「ちょっと想像以上だね。駄目だー、寒過ぎる。俺も行く!」
二人はヒィヒィ言いながら、自室へ戻ってアウターを取って来た。
それから二人は気を取り直して、ベランダに出て外の景色を眺める。
空気が澄んでいるので星々がとても綺麗に瞬いていた。
普段と何も変わらない景色も星が輝くだけで、神秘的に見えた。
それから時計の針は進み、新年を迎えた。
その瞬間少し離れた場所から、小さな花火が空へと舞い上がった。
「夬皇、もしかして…」
「そう。地域の人が今日、花火を上げるって聞いたんだ」
「そうだったのか。そう言えば、花火ってしばらく見てなかった気がする」
そんな話をしている間も、小さな花火は何発も空へと打ち上がる。
「勇緋。あけましておめでとう、今年も俺と一緒に居てね」
夬皇の横顔に花火の弾ける光が輝く。
「こちらこそ。いつまでも、ずっとお前の傍に居させてくれよな」
「ねぇ。もっとこっち来て」
夬皇においでと言われた勇緋は静かに頷いて、ピッタリ彼にくっつく。
「やっぱり、俺の隣は勇緋じゃないと落ち着かない」
「俺も。お前の特等席、ずっと守れるようにこれからも努力する。お前に飽きられないように」
二人はベランダの縁に腕を置いて、その小さな光華をいつまでも眺めていた。
だが、この時の二人はまだ知る由もなかった。
神様は彼らに大きな試練を与える事になることを。
テレビもそれ程面白い番組もないせいか、二人は推しのバンドのライブ映像を流し、盛り上がっていた。
何度観ても感動してしまう魔力を秘めている。
部屋中にこだまする二人の歌声と、テレビの横に置いてあるアンプから流れる音。
リビングはもはやライブ会場だった。
「このライブ。俺達が初めて行ったライブだったよな」
勇緋はテーブルに広げたお菓子を食べながら話す。
「もう4年前か。もうそんな経つんだねー」
そんな話をしていると、二人の一番大好きな曲がかかり始める。
【今日は皆さん、私達のライブに来てくれてありがとう。最後にこの曲を届けます】
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いつもそんな事を考えてしまう。
「今年もこうして、推しのバンドを俺の最高の推しと共に観れるなんて、幸せだな」
勇緋は夬皇に身体を傾けてそう呟く。
「俺もだよ。今年は休みが揃う日が少なかったけど、来年はもっと、今まで以上に一緒に居たい」
夬皇も感謝の言葉を続ける。
もうすぐ今年も終わりを告げる。
来年はもっと、二人で濃密な時間を過ごせるようにしたい。
「あ、そうだ。勇緋、ちょっとベランダ出ない?」
「えっ、ベランダ? この寒い中?」
「そう」
「あと数分で新年なのに?」
「そう」
「まぁ、いいけど」
「よしよし。それじゃ行こう!」
二人はそう言って、寒風吹くベランダへと繰り出す。
部屋の温度との差に、全身がびっくりする。
「な、なぁ。風邪引くぞ、コレ。上着持って来るわ」
「ちょっと想像以上だね。駄目だー、寒過ぎる。俺も行く!」
二人はヒィヒィ言いながら、自室へ戻ってアウターを取って来た。
それから二人は気を取り直して、ベランダに出て外の景色を眺める。
空気が澄んでいるので星々がとても綺麗に瞬いていた。
普段と何も変わらない景色も星が輝くだけで、神秘的に見えた。
それから時計の針は進み、新年を迎えた。
その瞬間少し離れた場所から、小さな花火が空へと舞い上がった。
「夬皇、もしかして…」
「そう。地域の人が今日、花火を上げるって聞いたんだ」
「そうだったのか。そう言えば、花火ってしばらく見てなかった気がする」
そんな話をしている間も、小さな花火は何発も空へと打ち上がる。
「勇緋。あけましておめでとう、今年も俺と一緒に居てね」
夬皇の横顔に花火の弾ける光が輝く。
「こちらこそ。いつまでも、ずっとお前の傍に居させてくれよな」
「ねぇ。もっとこっち来て」
夬皇においでと言われた勇緋は静かに頷いて、ピッタリ彼にくっつく。
「やっぱり、俺の隣は勇緋じゃないと落ち着かない」
「俺も。お前の特等席、ずっと守れるようにこれからも努力する。お前に飽きられないように」
二人はベランダの縁に腕を置いて、その小さな光華をいつまでも眺めていた。
だが、この時の二人はまだ知る由もなかった。
神様は彼らに大きな試練を与える事になることを。
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