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俺の建前・君の本音
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土曜日の朝。
まだ夬皇から何時にこっちに来る、と言った詳細は聞かされないまま勇緋はその日を迎えてしまった。
「本当に大丈夫かな、アイツ」
SNSで昨日夜に彼に連絡をしたが 楽しみに待ってて と言う一言を残してから音沙汰が無くなったのだ。
そもそもどうやって来るのかも知らされておらず、勇緋は一人悶々としながら、家の中をウロウロしている。
そんな時、突然彼の家のインターホンが鳴ったのだ。
「んっ、こんな時間に? 何かの荷物か?」
モニターを覗いても人影がない。それから二回程、音が響く。
何かネットで注文したっけと思いながら、とりあえず玄関へ向かってみる。
ゆっくりと玄関を開けてみる。
すると、
「あ、あの…。かみつか君」
「えっ、ちょ…夬皇!?」
なんと、そこには大きなカバンを携えた彼の姿があったのだ。
頭に巻いている傷を隠すバンダナもオシャレになっていた。
「おま…。ど、どうやってココまで来たんだよ!」
「電車とバスで。ちゃんと調べて来たんだ」
そう言いながら、夬皇は綺麗な装丁が施されたノートを取り出して、勇緋に見せた。
電車のルート、時間、バスの路線図、この家の住所。
忘れてはいけない事柄を全てノートに書き出しているらしい。
「ちゃんと、ココなら一人で来れたよ」
彼の言葉を聴いた時、勇緋は何も言わずそのまま夬皇に抱き付いていた。
「かみつか、君?」
「お前、心臓に悪いサプライズはやめろよな」
どれだけ心配したのか分かるのかよ、と心の中で言いながら、勇緋は優しく彼を抱き寄せる。
初めておつかいに出かけた子供がやっと帰ってきた。
親になったことはないけど、今ならその気持ちが分かるような気がした。
「やっぱり、俺の帰るべき場所はこの腕の中なのかも知れない」
夬皇は一言、そう呟く。
朧げな記憶であるがそんな気がする。
身体が覚えているのだろうか。
彼の熱と匂いに触れただけで安心する。
それは勇緋も同じだった。
「とりあえず、中に入って。コーヒー、飲むか?」
「…うん」
それから玄関の扉はゆっくりと閉まったのだった。
どこかよそよそしい二人。
「とりあえず、夬皇。いつもの場所、座ってて」
「え、あ。えっと…」
戸惑う彼の姿に勇緋はすぐに歩み寄る。
「大丈夫。こっち、来て」
二人は寄り添うようにして、リビングにあるいつものテーブルに近づく。
「ほらココ、お前がいつも座る場所なんだ」
椅子を引いて、夬皇をエスコートする。
「ココが俺の場所?」
「そうだよ。そこでいつも俺達は下らない話をしたり、飯食ったりするんだ」
勇緋はそう言いながらキッチンに戻って、ポットでお湯を沸かし始める。
「あの、かみつか君!」
「ど、どうした急に…」
突然大きな声で話始めたので戸惑う勇緋。
「こ、これ!まとめてきたんだけど!」
夬皇はカバンから先程とは別のノートを取り出すと、とあるページを開いてテーブルに少し強めに置いたのだ。
勇緋は文字が見えなかったので、そこへ改めて移動する。
そこには かみつか君とやってみたいこと と言う題名で箇条書きで書いてあった。
・一緒にご飯を食べる
・出かける(とりあえず何処でも)
・買い物に行く(かみつか君が似合う服がありそうな所)
・夜景が見たい
・海が見たい
あ、何もしないで一緒に居るって言うのも良いのかな?
久し振りに彼の書いた字を見た。
丁寧ながら芯のある綺麗な文字たち。
勇緋はその文字を書いている彼の姿を想い浮かべた。
その光景が余りにも純粋無垢で儚い。
何よりも自分の為にここまで考えてくれた事に、彼の感情と涙腺は簡単に崩壊した。
我慢していた涙が一気に零れる。
「かみつか君!?」
急に泣き出した勇緋の姿に夬皇は立ち上がって慌てている。
ノートに涙が落ちて文字が滲む。
「あ、ご、ゴメンなさい。かみつか君の事、考えずに俺が勝手に…」
夬皇が言葉を言い終える前に、突如彼の唇は塞がれた。
勇緋はまるで瞬間移動の如く彼に近づきキスをしていた。
「夬皇、ゴメン。俺、もう無理だわ…」
記憶の無い彼にこんなことをしたら嫌われるかもしれない。
でも最早それは建前だ。
本音は今すぐ彼とあの蕩ける感覚を味わいたいんだ。
でもそれは…あまりにもリスキー。
全てが終わってしまうかも知れない。
「大好き過ぎるよ、夬皇」
だから今はこの言葉が伝えられたら良いとしよう。
そしてまた、唇を重ねた。
対して、
急な事で戸惑う夬皇。
ゆっくりと唇が離れる。
そこに残る熱に、そっと指を添えて何かを確かめていた。
「夬皇、俺達はこう言う関係なんだよ。…嫌か?」
勇緋の言葉に少し間があってから
「…嫌、じゃない」
この気持ちが何かはわからない。
けど、嫌悪感はないし、ずっと唇に残るこの熱はなんだろうかと気になってしまった。唇だけじゃなく、だんだんと顔全体にもその熱が広がって行く。
二人の想いが少し近づいた感覚がすると共に、コーヒーの為にお湯を沸かしていたポットが音を立て始めた。
まるでそれはここからまた新しい想い出を作る門出を祝う汽笛のようだった。
「俺、コーヒーの淹れ方、上手いんだよ? ちゃんと覚えてる?」
「うーん、今は思い出せないけど、今日から覚えるよ!」
それから勇緋が淹れたコーヒーを互いに嗜み、ノートに書かれた内容を一緒に考え始めた。
ノートをゆっくり閉じた勇緋。
「よしっ。これ、全部実現しよう!」
「えっ?」
「お前が一生懸命考えてくれたんだ。時間がかかっても良いから、絶対実現しような」
「うん、楽しみ!」
彼の弾ける笑顔を見た勇緋は きっと大丈夫だ と確信を何故か持つことが出来たのだった。
まだ夬皇から何時にこっちに来る、と言った詳細は聞かされないまま勇緋はその日を迎えてしまった。
「本当に大丈夫かな、アイツ」
SNSで昨日夜に彼に連絡をしたが 楽しみに待ってて と言う一言を残してから音沙汰が無くなったのだ。
そもそもどうやって来るのかも知らされておらず、勇緋は一人悶々としながら、家の中をウロウロしている。
そんな時、突然彼の家のインターホンが鳴ったのだ。
「んっ、こんな時間に? 何かの荷物か?」
モニターを覗いても人影がない。それから二回程、音が響く。
何かネットで注文したっけと思いながら、とりあえず玄関へ向かってみる。
ゆっくりと玄関を開けてみる。
すると、
「あ、あの…。かみつか君」
「えっ、ちょ…夬皇!?」
なんと、そこには大きなカバンを携えた彼の姿があったのだ。
頭に巻いている傷を隠すバンダナもオシャレになっていた。
「おま…。ど、どうやってココまで来たんだよ!」
「電車とバスで。ちゃんと調べて来たんだ」
そう言いながら、夬皇は綺麗な装丁が施されたノートを取り出して、勇緋に見せた。
電車のルート、時間、バスの路線図、この家の住所。
忘れてはいけない事柄を全てノートに書き出しているらしい。
「ちゃんと、ココなら一人で来れたよ」
彼の言葉を聴いた時、勇緋は何も言わずそのまま夬皇に抱き付いていた。
「かみつか、君?」
「お前、心臓に悪いサプライズはやめろよな」
どれだけ心配したのか分かるのかよ、と心の中で言いながら、勇緋は優しく彼を抱き寄せる。
初めておつかいに出かけた子供がやっと帰ってきた。
親になったことはないけど、今ならその気持ちが分かるような気がした。
「やっぱり、俺の帰るべき場所はこの腕の中なのかも知れない」
夬皇は一言、そう呟く。
朧げな記憶であるがそんな気がする。
身体が覚えているのだろうか。
彼の熱と匂いに触れただけで安心する。
それは勇緋も同じだった。
「とりあえず、中に入って。コーヒー、飲むか?」
「…うん」
それから玄関の扉はゆっくりと閉まったのだった。
どこかよそよそしい二人。
「とりあえず、夬皇。いつもの場所、座ってて」
「え、あ。えっと…」
戸惑う彼の姿に勇緋はすぐに歩み寄る。
「大丈夫。こっち、来て」
二人は寄り添うようにして、リビングにあるいつものテーブルに近づく。
「ほらココ、お前がいつも座る場所なんだ」
椅子を引いて、夬皇をエスコートする。
「ココが俺の場所?」
「そうだよ。そこでいつも俺達は下らない話をしたり、飯食ったりするんだ」
勇緋はそう言いながらキッチンに戻って、ポットでお湯を沸かし始める。
「あの、かみつか君!」
「ど、どうした急に…」
突然大きな声で話始めたので戸惑う勇緋。
「こ、これ!まとめてきたんだけど!」
夬皇はカバンから先程とは別のノートを取り出すと、とあるページを開いてテーブルに少し強めに置いたのだ。
勇緋は文字が見えなかったので、そこへ改めて移動する。
そこには かみつか君とやってみたいこと と言う題名で箇条書きで書いてあった。
・一緒にご飯を食べる
・出かける(とりあえず何処でも)
・買い物に行く(かみつか君が似合う服がありそうな所)
・夜景が見たい
・海が見たい
あ、何もしないで一緒に居るって言うのも良いのかな?
久し振りに彼の書いた字を見た。
丁寧ながら芯のある綺麗な文字たち。
勇緋はその文字を書いている彼の姿を想い浮かべた。
その光景が余りにも純粋無垢で儚い。
何よりも自分の為にここまで考えてくれた事に、彼の感情と涙腺は簡単に崩壊した。
我慢していた涙が一気に零れる。
「かみつか君!?」
急に泣き出した勇緋の姿に夬皇は立ち上がって慌てている。
ノートに涙が落ちて文字が滲む。
「あ、ご、ゴメンなさい。かみつか君の事、考えずに俺が勝手に…」
夬皇が言葉を言い終える前に、突如彼の唇は塞がれた。
勇緋はまるで瞬間移動の如く彼に近づきキスをしていた。
「夬皇、ゴメン。俺、もう無理だわ…」
記憶の無い彼にこんなことをしたら嫌われるかもしれない。
でも最早それは建前だ。
本音は今すぐ彼とあの蕩ける感覚を味わいたいんだ。
でもそれは…あまりにもリスキー。
全てが終わってしまうかも知れない。
「大好き過ぎるよ、夬皇」
だから今はこの言葉が伝えられたら良いとしよう。
そしてまた、唇を重ねた。
対して、
急な事で戸惑う夬皇。
ゆっくりと唇が離れる。
そこに残る熱に、そっと指を添えて何かを確かめていた。
「夬皇、俺達はこう言う関係なんだよ。…嫌か?」
勇緋の言葉に少し間があってから
「…嫌、じゃない」
この気持ちが何かはわからない。
けど、嫌悪感はないし、ずっと唇に残るこの熱はなんだろうかと気になってしまった。唇だけじゃなく、だんだんと顔全体にもその熱が広がって行く。
二人の想いが少し近づいた感覚がすると共に、コーヒーの為にお湯を沸かしていたポットが音を立て始めた。
まるでそれはここからまた新しい想い出を作る門出を祝う汽笛のようだった。
「俺、コーヒーの淹れ方、上手いんだよ? ちゃんと覚えてる?」
「うーん、今は思い出せないけど、今日から覚えるよ!」
それから勇緋が淹れたコーヒーを互いに嗜み、ノートに書かれた内容を一緒に考え始めた。
ノートをゆっくり閉じた勇緋。
「よしっ。これ、全部実現しよう!」
「えっ?」
「お前が一生懸命考えてくれたんだ。時間がかかっても良いから、絶対実現しような」
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