君だけの作家でいたかった

鬼怒川 美葵=ミリー

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日記:10月

10月11日。side:椿。

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朝陽さん、退院したんだ。
なんだか寂しいな。
秋桜が綺麗なあのベンチも今日は行く気分じゃない。
茶色い葉の多い桜の木を眺めながら朝陽さんが「面白い」と言ってくれた---小説コンクール応募作品の続きを書こう。
「どこまで進んだっけ?」
ペンが進んでなくて思い出せない。
流れを思い出す為に最初から読んでみる。
「ああ、エピローグの少し前かいあと少し前…。あと少しってところか…。」
ノートに書いた小説はスマホの写真で文字読み取りアプリを使って読み取る。少し編集してから出す。応募したい小説コンクールは小説アプリでしか応募できないからだ。
何故スマホに直接打ち込まず、ノートに書いて手間のかかる方法で執筆しているのかは…〈私が生きた証をデータ以外にも残したいから〉だ。
「よし、あとはエピローグを書いたら完成だ。この話をまずはアプリで出さないと…。」
写真で文字読み取りアプリを起動して、ノートの字を読み取らせようとした。
ドッ---
な……に…?胸が苦しい…。
ドッ……ドッ……ドッ----
息…が…、頭がクラクラする。
カタッ。
手からスマホが落ちる。
私…死ぬの?
この物語、あと少しで完結できるのに…
朝陽さんの秋桜の絵、貰ってないのに.…
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